てこを重さメインで考えるから、エネルギー論に行かないんだよ、きっと。
<てこの原理>
てこの原理を習うのって、小学何年生だっけ?
下の絵みたいなのを見せられて、シーソーのつり合いで説明されていることが多いと思う。
ここでは、メタボ気味の大猫6kgと、
黒い子猫1kgに登場してもらおう。
黒い子猫は大猫より軽いのに、
シーソーは子猫側が下がってる。
これはなぜか?
小学校での説明は以下の通りだ。
真ん中の支点が固定されている。
支点から大猫の距離が15㎝、
支点から子猫までの距離が100㎝とすると、
大猫(6kg×15㎝)<子猫(1kg×100㎝)
となって、子猫側が大きくなるので、下がる。
両側をつりあわせたかったら、
子猫の場所を、ちょっと支点に近づけて、
大猫(6kg×15㎝)=子猫(1kg×90㎝)
あるいは、
子猫よりもうちょっと軽いピンク猫(0.9kg)
に替えてしまえばいい。
大猫(6kg×15㎝)=ピ猫(0.9kg×100㎝)
こんな感じで、つり合う。
重さ×支点からの距離、の値が同じになれば、
左右でつり合うことになるのだ。
<移動距離を考える>
地球上には引力(重力加速度:g)があるので、重さMの物体には、(M×g) の力が働いている。
その力に逆らって、どれだけ動かすか、が仕事であり、それに必要なのがエネルギーである。
極端なシーソーを考えてみる。長さ20メートルくらい。 (バカって言うなよ)
要は、この図のような時に、重い猫をちょっとだけ持ち上げるのと、
軽~い猫だけど、長距離動かすのと、どっちが楽かって言う話だ。
シーソーがつりあっている時は、かかる大変さも同じだ。
小学校で習った関係式は、重さ×支点からの距離 が同じなら、つりあっている、だったかもしれないが、
縦方向に動かす距離は、視点からの距離に比例するし
(水平からの絵じゃないので、⇒の長さが二倍だが、比例係数は三角関数で sinθ、θはシーソーの傾き)、
重力加速度 (g) は地球表面ならどこでも同じである。
まずは物理法則で考えて、
猫の図に合わせて、
両辺を共通するものを消すと、小学校で習った式が出てくる。
つまり、スポーツによって鍛える場所が違うってことなんだと思う。
さて、音楽家は? バイオリニストとピアニストで、体型違うかな?―――― という、話は、まあいいや。
決まった距離だけ、指先を動かすことを考える。 (今度は重さの事はひとまず置いておく)
人間にはたくさん関節があるから、どこから動かすのも自由だし、同時に動かすことも可能だが、
極端な話、指や手首の関節が壊れていても、他の関節を使って同じ距離を動かすことは可能だ。
ただし、腕には重みがあるし、
肘で小さな角度をコントロールするのは、指先でコントロールするより難しいだろう。
でも、ピアニストの人たちは、やってるんだけどもね。
シーソーの板の重さは無視したが、腕には肉があるし、猫の様に定点に重みがかかるものではない。
物理とか数学の人なら、腕長で積分してみてね
<鍵盤を押す>
2,3日前のブログで、鍵盤を押す力の話をした。
力の向きと、鍵盤の動きの話だ。
姿勢が変わって、どこの関節を動かして
どうやって押しているかを考えた。
鍵盤を押す力は小さくて、てこで小さくしても
その効果はあまりなさそうな気がするが、
力の向きが悪ければゼロにもなる。
実際に弾いている動画を見せてもらったら、
力の向き以上に面白そうな影響が見つかったので、
ここに書き加えてみる。
(私はピアノを弾かないので、音の話ではなく、力学のみに限定して話をする)
まず、指を伸ばしている時と、曲げている時、立てている時の手の形をモデル化する。
写真はいただいた動画のスナップショット、モノクロの手はイラストサイトのフリー素材だ。
この手を使って、ピアノの白鍵を、垂直に10mm (10mm±0.5mm) ほど押し下げることを考える。
図は白鍵打鍵部長さ130mm、黒鍵打鍵部長さ85mm、中指長95mm としている。
① 開いた手から、水平方向から指先を第3関節を動かして10mm下げる。
10mm = 95mm×tanθ なので、 計算すると、指を動かす角度は6度になる。
② ところが、上の図の右側の手を見ればわかるように、
ほぼ鉛直方向にたらした指を、いくら第3関節で動かしても、横方向に動くばかりで鍵盤は押せない。
となると、手首関節で曲げるか、肘関節から曲げてて手の全体を下げるか、という動きになる。
③というわけで、肘から曲げて鍵盤を押してみる。
身長によって変わると思うが、(先ほどの中指の長さが自分の値だったのでこちらも自分の値で)
手首を曲げ指を下した状態で、肘関節からの長さ(オレンジの円の半径)が340mm。
肘関節から手首関節までが270mm、
手首の傾斜角度やら何やらも適当に入れてやると、
動きの水平からの角度αは15~20度くらいだろうか? (20度で計算する)
10mm = 340mm×tanθ×cosα 肘を動かす角度はおよそ2度と出た。
④手首を動かす角度も計算したので、書いておく。
手首関節から適当に傾けた手のひらを経由して指先までの長さが130mm、水平からの角度が45度。
半径が大きくなった分、鍵盤面への角度がついてしまって、得じゃなくなっちゃうな。
もちろん、鍵盤を押す瞬間に指(第3関節)をちょっと伸ばすことも可能だが、ひとまず計算はこのままにして、
10mm = 130mm×tanθ×cosα 手首を動かす角度はおよそ6度と出た。
さて、角度が小さければ、その角度を動かすのにかかる時間は短くなる。
つまりは、短い時間 (鋭く) で鍵盤を押せることになる。
一方、重い腕を動かすのは、軽い手首や指を動かすよりも動かしにくいだろう。
重いものは慣性モーメントもデカいし――― (←今回はここまでは考慮に入れない)
指より肘の方が、小さい角度を調整するのが難しくなるかもしれない。
それから、他の効果として、
肘を動かすとき、肘から肩の肉の重さがかかった状態で肘を動かすよりも、
肘を身体に引き付けて肘から肩までの重さを肩に預けちゃったほうが、肘が動かしやすくなる気もする。
(下の図は腰と鍵盤の位置関係も変わっちゃってるけど、腰を浮かし気味って弾き方も可能かな)
それに、実際には脇を横方向に広げる方向にも関節が動くので、そうやって距離を稼ぐのもアリだ。
ものすごくわかりやすい動きをしている動画を、紹介していただいた。
残念ながら音の良し悪しはわからないのだが、体勢が、物理法則にめっちゃ素直だ。
高さ方向、前後方向、左右方向 (右の写真で肘を横に持ち上げている)、そのままボディモデルのようだ。
ロシアのダニール・トリフォノフという方だそうだ。
計算まではしないが、指関節で曲げる弾き方も考えておこう。
指を曲げて弾くのと、延ばして引くのでは、伸ばして引く方が動かす角度が小さくて済む。
なお、ここまで、力学的に動きの無駄がないように計算してきたが、
演奏は人間の身体を用いることなので、
個体差が大きいし、動きやすさも人それぞれだろう。
手のひらを低めに固定して、指を曲げて反りかえらせ、勢いをつけて鍵盤を押す、という形もあるようだ。
この動きも、指の筋力があれば、イケるのだろう。
力(動きの速さと)とその方向だけで決まると思うので、
あとはその動きができる器用さとか、筋力で決まるのかもしれない。
指関節の柔軟性? 練習のたまものになるのだろうか?
筋力に任せた弾き方だと、年齢とともに音が変わったりしないだろうか?
ピアノは、音が良く出て、曲が美しく奏でられれば、どういう鍵盤の押し方をしていても良いのだと思う。
名画を描いた画家が、左利きだろうと右利きだろうと、絵の良し悪しに影響がないのと同じに。
コンテストでのパフォーマンスやら何やら、問題視されることもあるようだが、
いっそ、審査員は目隠しをして、
演者の名前も姿もわからない状態で審査してはいかがだろうか?
音でわかるとしても、新たな発見があると思うけどな。
大学入試や、一部の企業の採用試験では、そういうブラインド審査がはじめられているのだが……
世の中、同じ様な計算をなさっている人がいるもので。
と言っても、ピアノの内部の側の話ですが。
http://piano.s20.xrea.com/mecha/doc01.html
コニーさんに教えていただきました。 ありがとうございます
同じところに書いておかないと、ぷっくマークいれてもわかんなくなっちゃうので、ここに追記します。
(2015.11.01)
てこの原理を習うのって、小学何年生だっけ?
下の絵みたいなのを見せられて、シーソーのつり合いで説明されていることが多いと思う。
ここでは、メタボ気味の大猫6kgと、
黒い子猫1kgに登場してもらおう。
黒い子猫は大猫より軽いのに、
シーソーは子猫側が下がってる。
これはなぜか?
小学校での説明は以下の通りだ。
真ん中の支点が固定されている。
支点から大猫の距離が15㎝、
支点から子猫までの距離が100㎝とすると、
大猫(6kg×15㎝)<子猫(1kg×100㎝)
となって、子猫側が大きくなるので、下がる。
両側をつりあわせたかったら、
子猫の場所を、ちょっと支点に近づけて、
大猫(6kg×15㎝)=子猫(1kg×90㎝)
あるいは、
子猫よりもうちょっと軽いピンク猫(0.9kg)
に替えてしまえばいい。
大猫(6kg×15㎝)=ピ猫(0.9kg×100㎝)
こんな感じで、つり合う。
重さ×支点からの距離、の値が同じになれば、
左右でつり合うことになるのだ。
<移動距離を考える>
地球上には引力(重力加速度:g)があるので、重さMの物体には、(M×g) の力が働いている。
その力に逆らって、どれだけ動かすか、が仕事であり、それに必要なのがエネルギーである。
極端なシーソーを考えてみる。長さ20メートルくらい。 (バカって言うなよ)
要は、この図のような時に、重い猫をちょっとだけ持ち上げるのと、
軽~い猫だけど、長距離動かすのと、どっちが楽かって言う話だ。
シーソーがつりあっている時は、かかる大変さも同じだ。
小学校で習った関係式は、重さ×支点からの距離 が同じなら、つりあっている、だったかもしれないが、
縦方向に動かす距離は、視点からの距離に比例するし
(水平からの絵じゃないので、⇒の長さが二倍だが、比例係数は三角関数で sinθ、θはシーソーの傾き)、
重力加速度 (g) は地球表面ならどこでも同じである。
まずは物理法則で考えて、
左側にかかる力 × 動かす距離 = 右側にかかる力 × 動かす距離
猫の図に合わせて、
(大猫の重さ×g)×(大猫の支点からの距離×sinθ)=(子猫の重さ×g)×(子猫の支点からの距離×sinθ)
両辺を共通するものを消すと、小学校で習った式が出てくる。
大猫の重さ×大猫支点からの距離=子猫の重さ×子猫支点からの距離
ここで何が言いたかったかというと、ものを動かすときや、エネルギーを考える時、
ついつい重さや力に目が行きがちだけど、
この移動距離、というものをもっと考えるべきだと思うんだ。
<決まった距離だけ動したい>
サッカー選手と、バスケット選手と、ラグビー選手って、ユニフォーム着てなくても区別がついたりしないか?
太ももだけ太かったり、上半身が薄かったり、肩幅がやったら広かったり。ここで何が言いたかったかというと、ものを動かすときや、エネルギーを考える時、
ついつい重さや力に目が行きがちだけど、
この移動距離、というものをもっと考えるべきだと思うんだ。
<決まった距離だけ動したい>
サッカー選手と、バスケット選手と、ラグビー選手って、ユニフォーム着てなくても区別がついたりしないか?
つまり、スポーツによって鍛える場所が違うってことなんだと思う。
さて、音楽家は? バイオリニストとピアニストで、体型違うかな?―――― という、話は、まあいいや。
決まった距離だけ、指先を動かすことを考える。 (今度は重さの事はひとまず置いておく)
人間にはたくさん関節があるから、どこから動かすのも自由だし、同時に動かすことも可能だが、
第3関節(MP関節)、手首の手根関節、肘関節のみで動かした場合の、
動かす角度を図解してみた。
極端な話、指や手首の関節が壊れていても、他の関節を使って同じ距離を動かすことは可能だ。
ただし、腕には重みがあるし、
肘で小さな角度をコントロールするのは、指先でコントロールするより難しいだろう。
でも、ピアニストの人たちは、やってるんだけどもね。
シーソーの板の重さは無視したが、腕には肉があるし、猫の様に定点に重みがかかるものではない。
物理とか数学の人なら、腕長で積分してみてね
<鍵盤を押す>
2,3日前のブログで、鍵盤を押す力の話をした。
力の向きと、鍵盤の動きの話だ。
姿勢が変わって、どこの関節を動かして
どうやって押しているかを考えた。
鍵盤を押す力は小さくて、てこで小さくしても
その効果はあまりなさそうな気がするが、
力の向きが悪ければゼロにもなる。
実際に弾いている動画を見せてもらったら、
力の向き以上に面白そうな影響が見つかったので、
ここに書き加えてみる。
(私はピアノを弾かないので、音の話ではなく、力学のみに限定して話をする)
まず、指を伸ばしている時と、曲げている時、立てている時の手の形をモデル化する。
写真はいただいた動画のスナップショット、モノクロの手はイラストサイトのフリー素材だ。
この手を使って、ピアノの白鍵を、垂直に10mm (10mm±0.5mm) ほど押し下げることを考える。
図は白鍵打鍵部長さ130mm、黒鍵打鍵部長さ85mm、中指長95mm としている。
① 開いた手から、水平方向から指先を第3関節を動かして10mm下げる。
10mm = 95mm×tanθ なので、 計算すると、指を動かす角度は6度になる。
② ところが、上の図の右側の手を見ればわかるように、
ほぼ鉛直方向にたらした指を、いくら第3関節で動かしても、横方向に動くばかりで鍵盤は押せない。
となると、手首関節で曲げるか、肘関節から曲げてて手の全体を下げるか、という動きになる。
身長によって変わると思うが、(先ほどの中指の長さが自分の値だったのでこちらも自分の値で)
手首を曲げ指を下した状態で、肘関節からの長さ(オレンジの円の半径)が340mm。
肘関節から手首関節までが270mm、
手首の傾斜角度やら何やらも適当に入れてやると、
動きの水平からの角度αは15~20度くらいだろうか? (20度で計算する)
10mm = 340mm×tanθ×cosα 肘を動かす角度はおよそ2度と出た。
④手首を動かす角度も計算したので、書いておく。
手首関節から適当に傾けた手のひらを経由して指先までの長さが130mm、水平からの角度が45度。
半径が大きくなった分、鍵盤面への角度がついてしまって、得じゃなくなっちゃうな。
もちろん、鍵盤を押す瞬間に指(第3関節)をちょっと伸ばすことも可能だが、ひとまず計算はこのままにして、
10mm = 130mm×tanθ×cosα 手首を動かす角度はおよそ6度と出た。
さて、角度が小さければ、その角度を動かすのにかかる時間は短くなる。
つまりは、短い時間 (鋭く) で鍵盤を押せることになる。
一方、重い腕を動かすのは、軽い手首や指を動かすよりも動かしにくいだろう。
重いものは慣性モーメントもデカいし――― (←今回はここまでは考慮に入れない)
指より肘の方が、小さい角度を調整するのが難しくなるかもしれない。
それから、他の効果として、
肘を動かすとき、肘から肩の肉の重さがかかった状態で肘を動かすよりも、
肘を身体に引き付けて肘から肩までの重さを肩に預けちゃったほうが、肘が動かしやすくなる気もする。
(下の図は腰と鍵盤の位置関係も変わっちゃってるけど、腰を浮かし気味って弾き方も可能かな)
それに、実際には脇を横方向に広げる方向にも関節が動くので、そうやって距離を稼ぐのもアリだ。
ものすごくわかりやすい動きをしている動画を、紹介していただいた。
残念ながら音の良し悪しはわからないのだが、体勢が、物理法則にめっちゃ素直だ。
高さ方向、前後方向、左右方向 (右の写真で肘を横に持ち上げている)、そのままボディモデルのようだ。
ロシアのダニール・トリフォノフという方だそうだ。
計算まではしないが、指関節で曲げる弾き方も考えておこう。
指を曲げて弾くのと、延ばして引くのでは、伸ばして引く方が動かす角度が小さくて済む。
指を伸ばしておくか曲げておくかの手の居心地の良し悪しや、
その結果としての弾きやすさは別として、
角度的には伸ばしておいた方が有利で、その分速く動かせそうだ。
その結果としての弾きやすさは別として、
角度的には伸ばしておいた方が有利で、その分速く動かせそうだ。
なお、ここまで、力学的に動きの無駄がないように計算してきたが、
演奏は人間の身体を用いることなので、
個体差が大きいし、動きやすさも人それぞれだろう。
手のひらを低めに固定して、指を曲げて反りかえらせ、勢いをつけて鍵盤を押す、という形もあるようだ。
この動きも、指の筋力があれば、イケるのだろう。
力(動きの速さと)とその方向だけで決まると思うので、
あとはその動きができる器用さとか、筋力で決まるのかもしれない。
指関節の柔軟性? 練習のたまものになるのだろうか?
筋力に任せた弾き方だと、年齢とともに音が変わったりしないだろうか?
ピアノは、音が良く出て、曲が美しく奏でられれば、どういう鍵盤の押し方をしていても良いのだと思う。
名画を描いた画家が、左利きだろうと右利きだろうと、絵の良し悪しに影響がないのと同じに。
コンテストでのパフォーマンスやら何やら、問題視されることもあるようだが、
いっそ、審査員は目隠しをして、
演者の名前も姿もわからない状態で審査してはいかがだろうか?
音でわかるとしても、新たな発見があると思うけどな。
大学入試や、一部の企業の採用試験では、そういうブラインド審査がはじめられているのだが……
世の中、同じ様な計算をなさっている人がいるもので。
と言っても、ピアノの内部の側の話ですが。
http://piano.s20.xrea.com/mecha/doc01.html
コニーさんに教えていただきました。 ありがとうございます
同じところに書いておかないと、ぷっくマークいれてもわかんなくなっちゃうので、ここに追記します。
(2015.11.01)