ブログ引越し検討中 (仮住まい)

yahooブログからの引越しを検討中です。現在テスト使用中。

走っても走っても......プラナリアのお話

長いのと.... 興味ない人は全く興味のなさそうな記事ですので、
発生学や自然科学が好きな方だけどうぞ。
また、完全に科学だけのエッセンスを知りたい方は、
(私は素人ですので)記事の下のURLから参考文献を当たってください。

限定記事にしようかどうしようか悩みつつ、ひとまずオープン。
「アリス」 と 「性」 という言葉でおかしな人が来るようだったら限定にしよう(笑)

イメージ 1


男女共同参画関連のシンポジウムに参加してきました。
この手の会議は興味がなくはないものの、パッシブな仕事なんですが、
発生学の講演がとても面白かったので、ノートを記事化してみます。

  先生方にうかがったお話の部分と、自分のコメントは極力区別するように
  自分の発言は #や##で改行して書いていますが、
  ご講演の中から、何をメモに残すかは、私の思惑が入っていますので、文責はゼブラにあります。


慶応大学は発生学の先生のご講演、
有性生殖、無性生殖の話 「生物におけるライフワークバランス」

●まず予備知識として、

  性とは何か? 
      遺伝子が混ざることによって、親とは遺伝的に異なるような子を生み出すこと 

  地球上の生物 既知の種 170万種(そのうち有性生殖〇〇種)←聞き落としたので、後で調べます
         未知のものも含めた推定種 1362種

  有性生殖 減数分裂によって、世代ごとに遺伝子がかき回されるもの 
           有性生殖の意義は遺伝子の混ざりあいによって多様性を獲得し、
           環境悪化時に対処できる変異を増やす。   
           哺乳類、脊椎動物たち、昆虫、植物 その他いろいろ 

  無性生殖 自分のコピーを作る。親と全く同じ生物が生まれる(遺伝情報が全く同じ) 
           突然変異が生じない限り世代を重ねても変わらない。環境が良い時に効率よく数が増える
           プラナリア ヒドラ ヒトデなど

  混在(ヒヨドリバナなど) 有性生殖型と無性生殖型が混在している、トラブルの時に有性生殖型が生き残る。
       http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A8%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%8A

      無性生殖は多様性がなく進化の袋小路に入っている 絶滅あるのみなのか?
         #ほんとか? ヒトデとかは? その割にはタイムリーな突然変異がでてくるよね?

  進化云々の解として、『赤の女王説』みたいなのがある。
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%8E%8B%E4%BB%AE%E8%AA%AC
  生物の進化は抵抗性獲得と感染性獲得の追いかけっこである。たとえば免疫はその典型。 
   「一生懸命走っているのに、風景が全然変わらないわっ(アリス)」 みたいに、
          つまりは周り (の進化) も自分 (の進化) も、同じ速度で追いかけっこをしている。
      #私風に言うなら、相対速度ゼロですね。
      #冒頭の絵は、アリスです。


●性と生の関係

  性は通常、生の誕生とともに雌雄が決まっているが、発生の途中の環境に依存して♂・♀が決定するものと、
  成熟した後でも生活環境の変化によって♂が♀、あるいは♀が♂に転換するものがいる。

  性の有ること(=有性生殖)の運命として、子どもは子どもの遺伝子のパターンになっいて、
  親の遺伝子パターンはなくなってしまう。  
  親の持つ遺伝子パターンの消失(=死滅?)である。  
  「性の有無は寿命の有無」 でもあるのだ。

     #無性生殖の代表格だと思ってたプラナリアが環境が悪化すると雌雄別れると聞いて、大仰天っ
     #雌雄異体のプラナリアをちぎったら、それぞれまた、無性生殖プラナリアになるのかな?
     #有性プラナリアの再生能力って、無性プラナリアより弱いのかしらん??
     #などという山のような疑問を抱きつつ......

     #先端すぎるのか、あまり読み物っぽい参考文献がないが、
              http://www.cdb.riken.jp/jp/millennium/2_1.html

     #ふと浮かんだフレーズ。単なる言葉遊びで、深い意味はないが
     # 「ヒトは恋と引き換えに、永遠を捨てた
     #      ああ.... だから恋は永遠じゃないんだな」  なあんて

  生物と性の話はほかにもいろいろ面白いのがあって、

     #ボネリムシ........ 雄は雌の体内に寄生する 
      http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%A0%E3%82%B7%E5%8B%95%E7%89%A9
      次の子供は成長速度でオスになったりメスになったり(海水、海水と体幹断片など環境起因)
     #爬虫類........ 卵の時の温度変化で性別が決まるものもいる(ワニ、カメなど)
     #ジュラシックパークで、雌だけのはずの恐竜が増えちゃったのって、このあたりの話だっけ?  
     #クマノミは、環境に適応しながら、個体の中で性転換ができる。
     #ということは、ニモ.... お母さん探してるうちに性別変わったりするのか......


●すぐに脱線してしまうが、ここで生から寿命の話にうつる。

   クローン羊はなぜ短命?
 
   あたかも親が過ごした分の年齢が本人(本羊)の寿命から差し引かれているように
   老化を規定する因子のテロテアが通常より短いのは、親の生まれた年から数えているからだろうか?
   テロメア長(DNAの末端部分)は 細胞分裂、複製回数とともに短くなっていく。
       http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%A2

    #はじっこまですべてコピーし切れていないというイメージだろうか?
    #テロメア長の変化は、以前どこかで 「DNAに蓄積される老化」 と説明されていたような気がする。

イメージ 2


  有性生殖型と無性生殖型(あるサイズになると自分の体をちぎって増える分裂型)両方のあるプラナリアは、
  有性生殖型のプラナリアが、細胞分裂を繰り返すと、DNAの末端(テロメア長)が短くなっていくのに対し、
  無性生殖型のプラナリアは、分裂・コピーを繰り返してもテロメア長の変化がない。

     #そりゃあそうだよね、細胞分裂で個体が増えることだけで古代から同じ形をしてるんだから、
     #テロメアを含むDNAが変わってきてたら、種として生き残ってないよね。
   
  同然のようにわき上がる疑問疑問は
  テロメア長変化の原因は、本当に無性生殖か有性生殖かという理由なのだろうか?
 
  そこで 「生殖情報とテロメア長の実験」につづく


実験目的と概略
  無性生殖か有性生殖かということが、テロメア長の変化に影響を及ぼしているかを調べるために、
  プラナリアの有性型、無性型を意図的にコントロールし、 
  意図的に有性生殖にした連中の、テロメア長をの変化を測定する。
  意図的に有性生殖にした連中(他の条件は無性生殖型の時と変わっていない)は、
  細胞分裂によりテロメアが短縮化するか?

実験方法
  無性生殖型プラナリア >> 細胞分裂の前後で、テロメア長を比較する       
  無性生殖型プラナリア >>有性化因子を与えて有性生殖プラナリアにする(*)
                         >>細胞分裂の前後で、テロメア長を比較する
  有性生殖プラナリア >> 細胞分裂の前後で、テロメア長を比較する  

 *イズミオオミムシ(?)は、冬場は有性生殖夏場は無性生殖 環境が悪くなると、有性生殖になるという、
 環境に適応して、有性無性が変わる生物。これを有性化因子として用いる。
 無性生殖型プラナリアがこれを食べて悪い環境に行くと、有性生殖プラナリアにかわる。
            (もともと有性生殖プラナリアもいるので、変化はさせやすい)   

結果
  無性生殖のしていたころにはコピーを繰り返しても、DNA長の減少が見られなかったにもかかわらず、
  無性生殖型から有性生殖型に変えられたプラナリアの分裂細胞内のDNA長は、
  分裂するたびに、短くなっていた。


  #すごい、というか、大成功な実験だなあ.....

ただ、この点について、質疑応答時の参加者からの質問は
      「ところでっ......テロメア説 と寿命というのは、確立した議論なのか?」 だった。

  #お、鋭い(笑)
  #そうなのか。そういうレベルの講演だったのか。確かに、このネタで研究費とってるんだもんね。
  #最先端=まだ不確定 だよね~
  #.....でも、ちょっと信じたくなるなあ
  #さすが大型予算を取ってる人だねえ~ 面白い講演だなあ。

この後、遺伝子によって性が決まる、環境によって性が決まる
あるいは、Sry遺伝子の発現できまる (y染色体の上に乗る 男性の発現)みたいな話に発展しつつ、
子育てに関しても、
   ・オスは巣作りメスは卵を抱く (ブルーギルなど
   ・オスが保育 (サンショウウオなど
   ・オスが保護そうを持つ (タツノオトシゴなど
          など、ライフサイクルに応じて様々に適応.....という、会議本来の話につづき

さまざまな個性を持った個人による多様な人生選択を可能にする。
               多様な人生を許容する社会にしていかなければならない、
などとテーマにあった方向でまとまるのだが、
研究者的興味本位を刺激された私は、そのあたりはすっかり聞き飛ばしておりました。 駄目じゃん orz

  #ちなみに、サザエさんだの、映画のニモだの、話をわかりやすく楽しくさせるために
  #スライドに入れていたのだと思いますが、
  #私的にはとってつけたようで、少し引いちゃったり(苦笑)

  ##自分のプレゼンでは、そういうことはないように気をつけよう


#最終的に、こんなのと併せて読むと、おもしろいかもです。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E5%88%A5
#また、上記のテロメア長の実験にご興味をもたれた方は、、
    http://www.med.kyushu-u.ac.jp/sei/publi/publi_matsumoto.html
    あたりの記事から参考のものを孫引きなさると、詳細が分かると思います。