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山の登り方

 
『研究を登山にたとえたならば,山の裏側には別のもっと楽なルートがあるかもしれません』
                      https://www.adcom-media.co.jp/remark/2010/05/25/2014/
 
小中高時代の不遇を払拭するみたいに、大学に入ってからは師や先輩方に恵まれていたと思う。
上記をおしゃった山本先生は、学生時代に脚光を浴びる研究 (発明?) をして、
いっきに研究者の仲間入りをした方だ。
背が高くて、スマートで、静かで温厚で、ダンディというよりは貴族的な感じのする人だ。
バイオリニストのお父様も、芸大の教授をなさってたと思う。
 
私の学位論文の副査をしてくださった時には、すでに東北大の教授職の方だったが、
夫にとっては、たいして距離感のない、自分のいた大学の助教さんで、
だから、私も夫に合わせて、彼を ゾウさん と、呼ぶ。 
生まれた時からの知り合いだから、娘もお抹茶BOYも ゾウさん と呼ばせていただいている。
娘が幼い頃 「どうしてゾウさんなの?」 と、ダイレクトに聞いてしまって、「うあああぁ」、と慌てる私をよそに、
ニコニコしながら、「お耳が大きいからだよ」 と、答えてらした。
                              お耳が大きいから、ゾウさん、と言うのは本当らしい。
 
ゾウさんは、エリートだ。 彼の教え子たちも、若くから華々しい活躍をしている研究者が多い。
だけど……いや、だからなのかな。 

ゾウさんは 「がむしゃらに頑張るより、よそ見をしてごらん」 と言う。

私も、何度か言われた。  
私の研究姿勢は短距離走者で、彼からもそう見えたらしく、
いつまでもそんな無茶な仕事の仕方をしてはいけない、と、あの穏やかな口調で諭された。
 
おごっていただいたこと、数知れず。
つくばにいらしたときは、大抵、「今、どう言う研究してるの?」 と、研究室をチェックにいらした。
いくら口調は穏やかでも、質問の切っ先は鋭いから、いつもとても緊張した。
「ゾウさんは 頭いいから、のんびりしてても成果出せるかもしれないけど、
     私は全力で突っ走ってもこの程度なんですっ」  なんて、頭のデキの差を呪ったりした。
                    (もっと頑張る研究者が多いので、私が全力だなんていうと、それはそれで苦情が来そうだが)
 
抗がん剤の治療のためか、最近のお写真は別人のようで、だから、とても悲しかった。

何度か手術をしては、東北大の研究室に戻ってらしていた。
去年、退官されたばかりで、助教さんたちが残っているから、研究室には顔を出していたと聞いていた。
 
 
こんなに急に、亡くなるなんて、考えていなかった・・・・・・・・・・
                           どうしよう、まだ、全然、借りを返していないのに。
 
 
 
                           去年から、今年、自然科学系の先生方で、亡くなる方が多かった。
                           いつかは来ること、と、覚悟をしていたけれど、辛いものである。