ブログ引越し検討中 (仮住まい)

yahooブログからの引越しを検討中です。現在テスト使用中。

音で包む・音で送る

義理の父が亡くなり、通夜、告別式、火葬、納骨、初七日を二日間でとりおこなった。
義父の祖母が(檀家なだけでなく)古~い寺の出身だったので、義父の葬儀もその寺が取り仕切った。

.      寺の創建年代は不詳で、貞永元年に親鸞上人が立ち寄り一夜の宿をとって云々(←1200年代にあったということ)
.      歴史音痴にはフォローしきれなかったので、後で調べようと思いつつ、キーワードすらうろ覚えだ。


孫であるお抹茶BOYと娘は大泣きしたが、
義父の兄弟たちは終始穏やかで(←義父が高齢だったためか)、ほとんど涙のない葬儀だった。
その分、神聖な儀式に参加している気がした。

鳴り物(数種の鐘や木魚)の音と和尚さんの声が、寺中に反響し、
(もちろん、お経や鳴り物を鳴らす順には宗教的な意味もあるのだろうが)イメージ 1
鳴り物の周波数で空気が振動し、遺体や霊を包んでいくような気がした。

まず、引磬という、手のついた小さな鐘が、細い棒で打たれる。
隣は通販サイトで拾った絵だが、
( http://item.rakuten.co.jp/mgohnoya/04-10-082/ )
この赤い柄の部分を左手で持ち、紐についた棒で打つ。
打っていない時、棒は鐘の下の二段の布団の間に刺しておく。
鐘のサイズは、湯呑くらい。
キーン、と、澄んだ高い音で。
緊張感と清涼感はあるが、人の注意を促す、仕切りのような音だと思う。

次の鳴り物は、磬子(中磬)、あるいはりん(鈴?)と呼ばれる鐘で、イメージ 2
大きめのどんぶりくらいのサイズだった。
一般家庭の仏壇にある磬子(小磬)は、湯呑サイズだが、
これはその相似形で、二回りくらい大きい。 
音は、一般家庭の磬子や引磬よりも低く、クァーンという大きな音だ。
りん棒は、革製のように見えた。
図は通販サイトからいただいた。
http://item.rakuten.co.jp/kumada/10012326/

一番大きな鳴り物(大磬)も、やはり金属製の鐘で、イメージ 3
形としては相似形だが、両手で抱えるほどの大きさがある。
包みこむような形になった布団で、床置きで、グアーンという音が出る。
釣鐘ほどではないが、いくぶん澄んだ、釣鐘系の音だ。
画像は寺院用品の会社のHPから、いただいた。
http://www.syouryu.co.jp/shimatani/products/index.html


遠方から参列者のためなのか、告別式と同日に、初七日と納骨を行う。
引磬で始まるのは同じだが、初七日の儀には、中磬と木魚が使われる。
木魚は巨大(大磬サイズ)な、木彫りの鈴で、ポクポクというとてもまろやかな音を出す。
初七日の鳴り物は(鳴らし方は?)、告別式までの厳しさや緊張とは異なり、とても穏やかだ。
念仏を唱え、両手で金属の鳴り物と木製の鳴り物をタイミングよく鳴らす和尚さんは、ドラマーのようでもある。

念仏は聞き取れないし、また、聞き取れる部分があっても私にはその意味が分からない。
だから、外国語の歌を聴いているようなものだ。
でも、鳴り物の音だけで、(霊に)厳しく接しているのか、優しく宥めているのかが、伝わってくる。
とても、理解しやすい。

ヨーロッパの教会の宗教画が、歴史や教えを強引なくらいわかりやすく伝えてくるのに対し、
日本の神社仏閣はそれほどの強引な説得力がないと思っていたが、
この2日で聞いた音は、その説得力を持っていた気がする。

祖母が亡くなった時は大きな葬儀場での葬儀で、
和尚が念仏を唱え、告別式も初七日も行ったはずだが、
儀式そのもの(←故人との別離の悲しさではなく)に、これほど心を動かされることがなかった。
それを考えると、説得力は寺の歴史や仏具の重みのせいなのか、寺という建物のなせるわざなのか……



そういうわけで、故人の冥福を祈るのと同時に、仏具の音に感動してしまった。
音が振動で、人の周りのすべてを取り囲んで振動していることを考えると、
形のない霊を宥めたり、捕えたり、あるいはもてなしたりできるのも、はやり音波や電磁波である気がするのだ。


*なお、周波数の違う複数の音源があってなぜうねりが出ないのかな、とか、
 打楽器系って周波数帯の幅が広かったり復温が出てたりするから大丈夫なのかな、とか、
 いろいろと無粋なことも考えて、周波数帯をちょっと調べてみたら、
 固有振動数を上げないように小型化する手法がどこぞの寺で特許化されていたようで、
 (他人の事はどうこう言える行動をしていないくせに) なんだかなあ、と、思った。