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柿の季節

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研究所で、柿をいただいたのだが、私は食べないので他の人に譲ってしまった。

柿の色はとても好き。
和服用のバッグや、羽織も、この色のものを持っている。


生の柿を食べなくなって、5,6年になるだろうか?

本当はね、柿は、食べるのも好きだったんですよ。
秋の味覚。優しい甘さ。

柿料理 (?) も、 柿羊羹やら柿クレープやら、いろいろ作った。
柿羊羹は、ノーベル賞の小柴先生の奥様に作り方を教えていただいたもの、
クレープは、適当に自分で作り方を考えた。

大量にいただいた柿は、そのまま置いておくと完熟状態になってしまうので、
それをただ単に細かく切り刻んで、
生クリームと一緒にプレープ皮で包む。

それだけのものだが、好評だった。
中に入れていた柿がおいしかったのだろう。

柿は、秋になると大量に、研究所の事務員さんから貰っていた。
たまにお昼を一緒に食べていた人で、完熟柿をもらった翌日に、
クレープにして持っていって、一緒にお茶休憩をしてりしていた。

私より10歳くらい年下の女性で、元気で活発で、仕事ができて、
かわいくておしゃれなのに、なぜか色気のない人だった。
健康的過ぎたのかもしれない。

彼女を思い出すとき、いつも元気に走り回っているシーンばかりが浮かぶ。
病気には、縁のない人だと思っていた。



でも、ある年のお正月、彼女はくも膜下出血で亡くなってしまった。
まだ20代だったのに........


あまり急だったから、涙は出たけど、実感がわかなかった。

形見分けのハンドバッグを、出張先に持っていったりしたけど (彼女が海外旅行の話をしていたから)
それでも、ひょい、とまた、研究室を訪ねてくるのではないかと、
なんとなく、思っていた。



その年の秋、やっぱりあたりまえに柿の季節になった。

理由もなく…………
    いや、多分言葉にできないだけで理由はあるのだが…… 食べられなかった。

それ以来、柿料理もしていない。

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富山に住んでいる友達が送ってきてくれた干し柿は平気だし、
レストランで出てくる料理の中で柿を使ったものがあるのは、かろうじて食べるようになったが、
生の柿を手に取ると、どうしても、思いだしてしまう。

彼女がいなくなって、彼女の親友だった事務員さんも研究所を辞めてしまったりして、
一緒に食事をするメンバーは解散になった。



……… トップの写真、
ほんの一瞬席を外したタイミングに、
机の携帯電話の横に置かれた柿を見て、一瞬、〇〇さんかな、と、思ったのだ。


亡くなって、何年もたつのにね。