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いいかげんにせーよ --- ポスドク問題など ---

関係ない人には全然関係ない記事になっちゃうんですが、
理系研究者には、ポスドク (ポスト・ドクトラル・フェロー)という立場がありまして。

どう説明しても例外がありそうだし、噛みつかれるのも不本意なので、
ポスドクの定義に関してはwikiを参照してください。
私の目から見て、比較的リベラルな視点で説明されていると思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%89%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC

さて....... wikiにもあるように2006年から始まっているキャリアパス事業は、
日本の景気後退と共に、どう頑張っても形骸化してきてしまったように思います。
その一方で、昨今、「限りなく常勤に近い非常勤ポジションは違法だ」 との法律....
                                というよりは考え方が浸透してきて、
ポスドクも定年制の正規雇用者と同じ扱いをしましょう、
        ポスドクではなく定年制研究者として雇いましょう、
                  ポスドクの費用は正規雇用の人件費と同じように考えてね、
みたいな社会的圧力が、発生してきたりします。
社会的圧力は、すぐに省庁など上位組織が作る圧力になったりします。

まあ、当然ですね。主張は非常~~によくわかります。
いろんなポスドクが居ますが、(中には問題がある人が存在するのも確かですが)
同じような (完全に同じとは言わない) 仕事をしていながら、
片や終身雇用、片や期限付き雇用、というのは心境的にも仕事のモチベーション的にも問題があるでしょう。


さて、ここで問題。
応用物理学会物理学会での問題提起の比較を見てもわかるんですが (←私は両方に所属)、
日本の企業でポスドクのポジションを作っているところは非常に少ないです。
 #大学関係者の多い物理学会からはポスドク問題の議論が上がってきますが、
 #企業関係者がほとんとの応用物理学会では、あまり問題になってきませんでした
                                   (最近ちょっと違いますが)。
 #つまり、ポスドクの多くが大学や研究所に所属しているということです。

で、ついでに言うと、ポスドクを多く抱えているのは、
国立大学だったり国立研究所だったり、元国立の独立行政法人だったりして、
            言い換えると、これらの組織における定年制の職員というのは
            『パブリックサーバント』 つまりは 『公務員』 に当たるわけですね。
つまり、人事院勧告にある程度(?)従わなければならない組織です。

政権を取る前の引用で申し訳ないんですが、http://www.dpj.or.jp/news/?num=7149
今もあまり変わっていなさそうなので、抽出すると、
    (1) 公務員の新規採用の停止・抑制 
    (2) 公務員の給与・諸手当等の見直し....... 
あ、最近も何か出てますね。 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090703/164962/
まあ、毎年毎年、公務員を減らそう、という政治的社会的圧力があるわけです。
  (2)は、いいとしましょう。 世の中の動向に合わせて給与変動(削減)があるのも、私は構いません。
  諸手当に関しても、“男性公務員で配偶者が専業主婦”を想定した手当がほとんどなので、
  私のような者はもともと恩恵がありませんし。

でも、(1)の新規採用の抑制、停止……って どうするんでしょうね? 
ポスドクさんたち、どうするんですか? 
我が研究所で見ると、毎年、定年退職して減る職員数に比べて、ポスドクって5-10倍くらいいますけど?
彼らの給与を、これから正規雇用公務員として人件費扱いにするなんて、いきなり言われたら、
ポスドク状態すらキープできなくて、解雇するしかないですよ?

日本は米国とは違うので、企業にポスドクポジションはないんですよ?
おまけにアカデミック以外は、学位取得者の仕事じゃないみたいな考え方が、日本には蔓延してるんですよ?
こんなドタキャンタイミングで補正予算を白紙撤回したことで、
何人のポスドクが予定の職を得られなくなったかわかってんですか?

国民の中におけるポスドクなんて、大した割合じゃないから、彼らの叫びは無視ですか?

   ポスドクの立場で雇用してはいけない。>ポスドクを雇用してはいけない。
   なるほど、ポスドクを経験したあとに正規雇用ポジション探しで苦労するのではなくて、
   ポスドクポジションが激減して、ポスドクの職すら得られないってことですよね。
   あー、でも大学院の定員増やしてましたよねー、どうするんっすか?
   大学院を卒業しても、ポスドクになられたら困るから、学位をあげないことにでもしますか?



ポスドクの方たちのブログを、数多く見かけます。
実力のある人、ない人、世の中をすねている人、楽天的な人、いろいろいらっしゃるようですが、
自分の身近なポスドクは、ちゃんとした人が多かったので、現在の流れは非常に心苦しいです。
学生さんたちにも、とても大学院に進学しろ、とは勧められません。
そう思うスタッフがいる一方で、定員割れを恐れて、学位を取得するのは難しいと思われる学生さんにまで、
進学を勧める大学もあるみたいですけどね......
で、モラトリアムの学生さんたちと、とにかく定員割れが嫌だっていう教授陣がシンクロして、
なんかとんでもねーことになってる大学もあるみたいですけど。

 #今の自分に何ができるかと、考えるとね。
 #自分の研究室にいる学生やポスドクを鍛えて、他のポスドクを蹴り落としてポジションを取れ、
 #って、いうことしかできないんだわ.....
 #それなのにキャリアパス支援とか、ポスドク問題を考える会議なんかに出てると
 #なんだか自分が凄く偽善者になったみたいな気分になるのよね。

 #前に誰かのブログで、夏休みを控えた小学生に向かって、
        「誰にでも、きちんと挨拶をしましょう」
         ↑ ↑ 近所の爺さんからの苦情に応答
 #と、指導した次の日に
        「親しくない人とは、口をきかないようにしましょう」 
         ↑ ↑ 子どもが他の子の親に殺されるという事件のニュースを反映
 #と、教える学校の先生の話があったけど、どうなんだろうね。
 #矛盾でもなんでも、自分は決まったことを伝えるだけの 「スピーカー」 や、
 #ただ単に、決まったことを作業していけば いいんでしょうかね?

具体案はないです。
というより、山ほど具体案を考えて、でも、ユニバーサルな解法がないのが現状だと思います。
つまるところ、それぞれの組織で対応するしかない....のですが。
大丈夫かなあ.... うちの研究所 (涙)
ポスドクの人数は、論文数や特許数みたいな、単なる数字じゃないんだよ.....



ずいぶん前に電車の中で書いてる時は、一般記事にしようかとも思ったけど、
公務員削減とかポスドク問題でググってみたら、あまりにも多種・多様・奇抜な主張が繰り広げられてたので、
小心者のゼブラは限定記事とします。
  (>MASA先生のお言葉で、ちょっと限定(ファンのみ公開)を解除してみます)

ついでに、内容の重さを緩和するためと、自分の力が及ばない自嘲をこめてたのか、
あえてふざけた口調になっていたようです。
心からふざけているわけでも、バカにしてるわけでもありませんので、あしからず。
なお、コメント内での議論は、本記事からシフトして外れていってしまうことが多いので、
極力、リンクや、トラックバックなどの活用をお願いいたします。

………明日から海外出張です。
今回は自分の研究のために行くのですが、
他国に、参考になりそうなシステムがあったら、少しでも勉強してきたいです。