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信用と好き嫌いと

前記事 http://blogs.yahoo.co.jp/green_zebra_2008/30930463.html の、なんとなく、続き。
 
信用できる人、信用できない人、同意できる人、同意できない人、
この場合の信用と言うのは、自分にとってプラスかマイナスか、と、言うのは別にして、
その人の発する言葉や、行動を信用できるかできないかという意味だ。
                            表裏の無さ、といってもいいかもしれない。
だから、普段のその人の言動から、“その人が自分の敵という判断が明確にできる” としたら、
その人は、発する言葉を信用できる人、となる。
 
以前、有名私立大学の教授が不祥事で失脚した時に、「いい気味だ」 と、言い放った女性がいる。
彼女は帝大の教授で、成果もある人だ。やり手でもある。
私は、その人がやり手の教授だから、 (くだらない理由で) その人に異見したりはしないが、
そういうことを口走る人だったから、その人が嫌いだった。 
用がなければ会話するのも嫌だった。
 
普通、ある程度、こうやって嫌っていればいつの間にか相手にも伝わり、
距離を置いてもらえるようになるものだが、
彼女はそう言った部分の無頓着さも持ち合わせていたため、ごくごく普通に私に話しかけてきていた。
 
 
先日の会議のことだ。 彼女も同じ会議に参加していた。
議題の中に、大学における研究や研究生活と省庁などの政治活動のハザマの、非常に微妙なものがあった。
政策的には ◎ だけど、研究者のなすべきものとしてはいかがなものか、という類の活動だ。
 
(大学ではなく、本務が研究所のせいもあると思うのだが) 私の立場は、大抵、政策側に振れる。
結果的に、研究費が手に入る時も多く、政策に乗ったほうが有利だと考える。
あまり褒められたことではないが、政策側と言うのは、オフレコの情報も含んでいる。
その会議の場には、私以外にもオフレコ的に政府の情報の入ってくる人がたくさんいた。
だから、政策と研究者活動の双方からの、うまい落とし所、
つまりは自分たちと学会へのエクスキューズを探そうと、私たちは、議論を続けていた。
 
雰囲気的に司会担当 (下っ端なのでやらされてる) になっていた私は、
その場で、めずらしく無言でいた例の帝大教授に声をかけた。
とにかく目立ちたがりで、研究費を獲ることにも貪欲な人だから、政策側の意見を出してくれると思ったからだ。
 
帝大教授曰く、
  「私、そういうのは嫌い。
  表に出せない情報は、無いものと思ったほうがいい。
  正直にやったほうが、楽でいいのよ。あれこれ取りつくろうと、必ずボロが出る」
 
その人の発言としては、ちょっと目から鱗だった。 そう、ボロを出す人が出て来ないとも限らないんだ。
で、思い当たった。
そうだよな、この人、自分の思ったことを全部口にするもんな~
裏情報なんて、扱えない人だよな~(笑)
 
おかげでそのあと、会議はサクサク進み、
 「外部と共有できない情報は、なかったことにする、あるいは、情報取得者が責任を持って処理する」
という、当たり前で明確な結論に至った。
一言で、会議の流れをひっくり返したことに感激したので、終了後、遠くの席に座っていた彼女に挨拶に行った。
 「初心に帰らせてくださって、ありがとうございました。
            硬直していた会議が、おかげで正しい方向に進みました」
 「あら」 と、彼女は言う。 
            「当前の意見です、最近の政策寄りの姿勢はあーだこーだあーだこーだ」
 「・・・・・・・・・・・・・・・(話しかけるんじゃなかった)」
 
 
いくら偉そうな話を聞いても、好きにはなれないのは変わらない。
でも、この態度で地位を築いているんだから、ものすごい成果があるんだろうな、なんて失礼なことを考える。
それから、多分きっと、彼女の言葉は信用していいのかもしれない。
思っているまま、素直で、作為がない。その素直さで、ここまで成長してきてるんだろう。
 
      きっと、話しかけられても、これまでほど不愉快じゃないだくなるだろうな、と、思った。
 

 
<ちょっと追加>
最近、わがままな高齢研究者に振り回されることも多く、
ただ単に年齢が上だということだけだったり、元からその学会にいたということだけで、
無意味に意地をはったり、横暴だったりする方々の、間接被害にあうことが少なからずあった。
そんなに成果があったなら、自分でどこにでも売り込めばいいだろう、
私に対してこんな場所で威張ってどうするのだ、と、私だって思っているのだが、
学会の作業目的上、そういうのはどうでもいいことなので、黙っている。
 
まあ、そういう輩に比べれば、
彼女のように自己完結型で、しかもきちんと研究者として成功している人なのは、
やっぱり尊敬できるかな、と思うのだ。