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(大阪) 動植物に倣う

わけ合って大阪出張の帰りに京都に寄り、京都から東京に向かう700系新幹線の中で書いている。
 
アルバイトのマイク係から、発表者、座長や委員になったりと、立場は変わっていても、
この会議には学生時代からほとんど参加して、あいかわらず興味深い発表が多い。
(先週の京都の材料工学会ほどではないにしても) 出口 (目的?) 志向の研究と、
新しい興味から来る何に繋がるのか分からない研究との割合が、とても性にあうのだ。
                     #ここで育ってきてるから、ここが心地よいというのもあると思う
 
さて、ちょっと前頃から、水の研究云々と言っていて、
水滴が斜面をころがり上がっていく動画(九州工業大学)をリンクしたが、
                          http://blogs.yahoo.co.jp/green_zebra_2008/33163285.html
この会議でも、他の超撥水膜で、同様の動作を映像化したものがあって、
こちらの方が我々には使い勝手がよさそうだったので、早速名刺交換などをしてきた。
 
で、家で夫(同業者)説明していて、割り込んできた娘(中2)が親水も撥水もわからなかったので、図にした。 
      中学生向けのプレゼンがある時、文系かつ物分かりが悪い娘を使うと便利なのだ♪
      彼女にわかれば、大抵の子供はわかってくれる。
ディテールはともかく、直感に訴えかけるなら、こんな感じ。
 
イメージ 2
 
親水表面とは、水に来てほしいと思っている表面だ。
その結果、リクエストに応えよう(?)とした水はできるだけ多くの表面に触れようとし、広がる。
一方、撥水表面は水を嫌って反発するので、水はなるべくその面に触らないように、
丸まって着地部分を小さくする。
               山登りしていて、毛虫がたくさんいる地面を歩く時、つま先立ちになるのと似ている(by 娘) <おいっ
webで探した写真を使わせてもらったが、左から、親水表面、撥水表面、超撥水表面となる。
車のフロントガラスにフッ素加工して、水をはじかせるなんて言うCMもあるので、イメージは難しくないだろう。 
同じ車でもボディについては、親水面にしておいた方が、美しい。
                  撥水表面画像元ページ http://www.renault-kyoto.com/service/car_care/window
                  親水表面画像元ページ http://odoroki-coating.com/34.html
                  接触角などの説明    http://www.kyouei.biz/aircatalyst02.html
 
親水加工にしても、撥水加工にしても、車以外にだって需要が大きい。
洋服の撥水加工は汚れを抑えるのに役立つし、レインコートだってそうだ。
逆に、それで拭くと髪の毛がすぐに乾くという高吸収タオルは、その繊維構造のせいで親水性がとても高い。
                                  (これのトリックは、毛管凝縮など別のものもある)
レインコートの材質で、汗を拭こうという人はいない。
適所適所で、必要とされるものが異なり、どちらも重要なのだ。
 
 
さて、親水性、撥水性の度合いについては、イメージ 1
真横から見た時の接触角で議論する。
接触角が小さければ小さいほど親水性が高く、
角度が大きいほど撥水性が高い。
接触角が、150度を超えるものを、超撥水と言う。
 
親水表面、撥水表面については、私の知識では、
表面……材料の最表面が水素で覆われているかどうか、
表面にいる分子の水素原子側が外を向いているかどうか、
あるいは表面をシリコンカーバイドで覆うとかフッ素加工するとか
そんな、ケミカルなものばかり考えていた。
 
      #原子レベルで見て平坦な単結晶表面だったり、
      #シリコン単結晶表面から、研究を始めているのだから、この辺は仕方がない。←自分に甘いかな
 
ところが、自然界には、撥水表面を持つ植物の葉と、親水表面を持つ植物の葉がある。
植物の材質が、それほど違うとは思えない。。。。一体なぜだろう?
というわけで、その表面の形 (表面が凸凹だとか滑らかだとか、細かい髭が生えてるとか) を
マニアックに観察していくと………
イメージ 3
これはハスの葉の表面である。
こんな風に徹底的に水をはじいて、水面に浮かんでいる。
安易にwikiの模式図を使って申し訳ないが、
葉の表面を細かく見ると、こんな風になっているんだそうだ。
 
この表面の凹凸の形や大きさ、間隔を、
シリコンでも、他の材料でもいいから、似せて作ってやると、
蓮と同じように、水をはじく、超撥水の状態になる。
 
(ここでや~っと学会の話  疲れたから適当でいいや to 娘)
 
ポリスチレンとポリアクリルアミドの共重合体で、
10ミクロンくらいのハニカム構造を作って、
超撥水表面を得る..... という研究発表を聞かせていただいた。
また、シリコンのスパイクアレイによっても、超撥水表面が作れるんだそうだ。
                                               すごいな~
植物の撥水表面の構造は、講演のイントロに使われるので、
たまに見ていたけど、それをこんなふうに作れるって知らなかった。 楽しそう♪
サンプルの作り方教えてくださいっ。うちの研究室でもちょっといじってみたいです~♪
                              口約束だったから、メールも出しておかなければっ
…………植物ってさ、すごいよね~ と、思っていたら、もっとうわ手がいた。
 
砂漠は日夜の気温の差が非常に大きいので、急激に温度が下がった所に朝霧など発生すると、
空気中の水蒸気が結露して、水滴になったりする。
その、ごくわずかなチャンスを利用して、水を得る昆虫がいた。
アフリカのナミブ砂漠に住むゴミムシダマシナミビアン・ダークリング・ビートル)という甲虫は
疎水性と親水性のパターン化された甲羅を持ち、
撥水部分で結露しした水蒸気を、親水性部分にため、水を手に入れるのだそうだ。
 
親水撥水のパターニングによる、水の入手は、水不足の地区の開発にも役立つだろう。
生物のヒントを得て、それを似せた構造を作る学問をバイオミメティクスと言うのだが、
化学も物理も工学も、一見、生物学とかけ離れが分野でも、
彼らの組織や構造を利用していく時期に来ているのかなあ、と、思う。
そしてナノサイエンスと、観察手法の発達、作っていく技術が、それを可能にしたのかもしれないな~ と。
 
      ゴミムシダマシの説明など  http://www.monominami.jp/5nagasa.html 
      こんなのもあります、超撥水ゲーム http://www.asovision.com/aqua/about.html
 

 
もう間もなく新横浜につく。 
関係ないが、 毎回、静岡駅の周辺で伊藤園の看板を探しているのだが。 <何故かはまた~  
市川縁 川本ポンプ 静岡銀行 あの太陽マークって、どこの電気屋だっけ?
催事場・・・・・・・・・・ 何で伊藤園が見つからないんだろう、私は?
これは、地理音痴とは関係ないと思うんだけどな~