「日本の英語教育は間違っていないと思うんですっ」
大阪での出来事。
同じ学会の、同じ委員をしている先生方がいる。
知り合いの先生方とは、招待講演をしあったり、集中講義を頼みあったりするので、
そこの大学の学生さんは、私の顔を知っていることが多い。
大阪の学会のバンケットの時に、学生さんたちに掴まった。
何でも、私の講義を受けたことがあって、
学位論文の研究に、私が昔書いた論文を参考にしてくれているのだそうだ。 かなり恥ずかしい
で、博士課程の学生さんたちと、修士課程の学生さんと、
いずれも学会で賞をとるくらい優秀な研究をしていたから、それを素直に称賛したら、
よほど気分が良かったらしく、いい感じで酔っぱらって、ぶっちゃけトーク炸裂。
学年が違ったり、出身学部が違ったりするので、学生同士もこれまであまり個人的なことを知らなかったらしい。
確かに帝大の学生さんたちは、学生同士の付き合いが(私立大学の学生に比べて)距離があったりして、
大人だなあ、と思うことがなくもない。
それでも研究室に入ってしばらくすると、競い合うだけでなくそれぞれの特質を生かすことを覚えたり、
方向性やパラメータが多すぎて、「競争できなくなる」 ことに気付くのだが。
留学経験のある担当教授と同じくらい、英会話なども巧みなんだそうだ。
研究が出来て、語学も堪能だというのは研究者にとってすごいメリットだから、
「帰国子女だったりする?」 と、気軽に聞いてみた。
「いえ、学会以外で海外にいったことありません。高校での勉強だけです」
「え~!?」 と、私より先に驚いたのは、一緒の学生たち。
「ビートルズが好きで、そりゃあもう、ものすごく好きで、
ぼくの中では、いかにビートルズが好きかがいかに英語が出来るのかと、繋がっちゃってるんです」
「・・・・・・・・それにしても」
「日本の学校英語って、いろいろ言われますけど、ちゃんとやってれば、
いくらでもしゃべれるようになるんですよ。
ぼくは、捨てたもんじゃないと思います」 ←この辺が、さすが東京大学の学生さん
「すげええ」 と、他の学生さんたち。
こういった話は、研究室ではほとんどしていなかったらしい。
私が担当教授と親しいのも、彼らが気やすく話す原因の一つなのかもしれないが、
どうしたんだ、どうしてこんなに情熱的に喋るんだ、と、私は困惑中。
「英語で、誰かに抜かれることは、そいつの方がビートルズを理解してるって
言われてるみたいで許せなかったです」
・・・・・・・・・・・ビートルズって、いや、若者の趣味と情熱って、すごい。
それにしても、情熱さえあれば、日本の中学高校の英語教育で、あんな英語力がつくんですね。
発音もボキャブラリーも、言い回しの的確さも (もっともこれは、英語力ではなく、国語も同じだと思いますが)
異国でポスドクやっても、ネイティブの人たちに全然引けを取らないだろう、というレベルのようです。
まだ博士課程の学生だからなあ。 将来楽しみです。
それに、学会の場で、学生同士が打ち解けてくれたのもなんか嬉しかったです。
いや~、面白い学生さんたちでした。
#教授に言わせると、今年は近年まれに見る当たり年で、
#その場にいた学生さんたち、全員が優秀だということでした。
#切磋琢磨して、悩んで、素晴らしい研究者になってくれるといいですね。