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手に負えない

 
出来ること、出来ないこと、出来ると思ったけど経過を見て辞退すること。
私はそれらがはっきりしていて、抱えたあげく手に負えなくなって困ることは少ない。
                                                                                    ………と、思っていた。
 
 
 手におえない in my family 

お抹茶BOYが寝言で  放射能が……」  と、言った。
私や夫に聞かされた怖さではない。
私も夫も、科学系の質問をされれば答えるから、子供にはショッキングなことを告げてしまうこともある。
ただし、放射能とは言わない。 一律、放射線、である。 放射というキーワードは使わない。
 

<ここで一見どうでもいい豆知識> イメージ 1
 
人体に悪影響を及ぼすのは放射線で、
放射能放射線をどれだけ出すかという能力だ。
 
放射能の強さはベクレル。
 
いっぽう、放射線の量は
放射線のエネルギーがどれだけ物質に
  吸収されたか(吸収線量)が、グレイ、
●人体への影響はどの程度か(線量当量)は
  シーベルトが使われる。
 
めちゃくちゃ分かりやすい中部電力の説明
 

 
そういうわけで、 
お抹茶BOYの放射能妄想が際限なく広がっているようなので、きちんと説明しておいた方がいいかと
放射線被害の映像などをネットで調べて、見せる事にした。 (毒々しいのは控えたつもりだ)
火傷の様な直接被害と、遺伝として現れた巨大植物や、奇形の動物等の写真があった。
その中に、10枚程度がマトリクスになっていて、(そんなに各々が大きいものではなかったのだが)、
身体に瘤などのある新生児の写真を一覧表に並べたものがあった。
一つ一つはよく見えなかったから、かまわないかな、と思って、映像をクリックした。
抹茶は黙って見ていたが、次の画像に移ってから、バックスペースで戻して、言った。
 
   「宝物の、写真だよね?」
        「え?」
   「赤ちゃんはみんな、お母さんには宝物だよね?」
 
私は抹茶の第一声で、彼の思考がどこに飛んで行ってしまったのか、追いかけられなかった。
幼児教育などを専門にしている人なら、子供の世界が “親子中心” なことにすぐに思い当たるかもしれない。
でも、私にはわからなかった。 
 
普段から口で言わなきゃ分からない、とばかり私は彼に 「あなたは私の宝物、世界一かわいい」と言っている。
それに対して、抹茶が好きな言いまわしは
「けんと君のお母さんはけんと君が世界一で、さくらちゃんのママはさくらちゃんが世界一で…」である。
保育園には、自分より(顔が)かわいい子がいる、とクールに判断した彼が見出したエクスキューズだ。
「お母さんには宝物だよね?」 という言葉の中には、
奇形の子供でも、親には大切にしてもらえるのだろうか、という不安が含まれていたような気がする。
それは (見かけを重視する彼の) 自分が被爆して醜くなっても、宝物でいられるだろうか、があった気もする。
 
ハムスターを育てれば猿に進化すると信じていた彼だ。お前は生まれた時ハムスターだったのかと娘に突っ込まれていた。
生まれ変わったら、人間以上の生物になりたい彼だ。人間が進化したら、空が飛べるようになると考えているらしい。
そんな風に、医療番組や生物が好きで、科学が好きで、自分の事にも他人の事にもクールだから、
ここでいきなり親子の関係を引き合いに出してくるとは思わなかった。
より正確な知識や、資料を与えることはできる。
でも、その先に彼がどう考えるかは、よほど慎重に考えても、軽く予測の域を超えてしまう。
                           (それでも親なんだから、考えなきゃいけないんだけどさ)
 
 
 手におえない in my field
 
今日、外勤で、共同研究先の大学へ向かう途中、かつて週1で講義を持っていた医学部の隣を通った。
とても偏差値の高い大学だったが、物理学の得意な学生は少なかった。
辞めてしまった今だから言うが、医学部生が臨床医を目指す場合、必要な物理学は非常に少ない。
患者への説明責任を満たすための語学力でも高めてくれた方がはるかに良いと思う。
           ずいぶん前に書いてた記事  http://blogs.yahoo.co.jp/green_zebra_2008/20555598.html
同様に、というかその結果というか、放射線医療に関する知識を十分に持っている医者は、驚くほど少ない。
米国には医療物理士という資格があって、放射線医療に関しては医者と同様に(治療に)口を出せるのだが、
日本にはその資格がない (作ろうとして東大医学部でシンポジウムを開いてたのは知っている)。
医療機器メーカーに対して、 機器ユーザーとしての医者だから、放射線そのものの知識は双方欠落している。
その部分の担当をする者がいない。 分業もされていない。 
放射線を突き詰めると医者の手には負えないはずだ。 かといって、原子力学者に患者は診られない。
薬剤師のような放射線師が必要だと思うのだが。 (←オペレータである放射線技師が頑張っている部分もあるが。)
        ブラックボックスでも、使えりゃいい、って話も確かにありだと思うが、限界があるよね。
 
 
 手におえない in Japan
 
放射線だの放射性物質だの、それが安全だの危険だの、
の報道で、感じていた事がある。イメージ 2
 
公式発表での 「安全である」 という言葉を聞いて、それを信じ、
安心する人達も、たしかに居るだろう。 (仮にA groupとする)
報道などあてにせずに自分の原子力知識を生かし、
データを拾ってきて判断する人もいるだろう。C group)
報道を聞いてひとまず疑い、論理的かどうか考え、
データや他の情報なども調べてから納得する人や、
判定がつかないまま疑い続ける人もいるだろう。 B group)
 
原子力の知識 (or情報に対する負の信用度) を縦軸にして、
隣のような模式図をイメージしていたが、
それぞれどのくらい人数がいるのか、私には見当もつかない
 
今、政府の報道で A group にいても、
B groupで不信感を持った人が流したマイナス情報を信じて、不安に駆られる A group も出てくるだろう。
そのためには、B group に不信感を与えないような情報の開示が必要だと思うのだが、
その情報の開示によって、かえって不安を感じる A group もいるかもしれない。
各省庁から本来出せたはずの情報を政府で押さえていたのは、
情報開示によって、それが安全なレベルであるとわかっても、
数値が出たことで不安を感じパニックになる人々が多い、と判断されたからに他ならない。
 
食物の放射能の、暫定基準を変えるという話も出ていたが、
暫定基準の100分の一の放射線量で、不信感からほうれん草の購入を控えていた消費者が、
200分の一になったからと言って、安心して購入するようになるだろうか?
むしろ、暫定基準って、そんなにあてにならないものだったのね、と、不信感が増えるのではないだろうか?
 
そういう見積もりは、誰が考え、算出すればいいのだろうか?
放射線の知識があったって、その辺の人の心理状態を予測できるはずもない。
 
  米国の大統領選では、人々に好感をもたれる話し方、聞きやすい内容の分量、情報提供の順序など、
  それぞれ専門家が分析し、その時の聴衆と候補者のキャラクターに合わせて調整していると聞く。
  群集の心理を、どう動かすか、それが大統領選を左右するとも聞く。
 
現在の報道と、政府の原発関連の発表はダメダメだと思うが、
同じ事をするにも、もう少し不安感を与えないですむ方法はなかったのだろうか、と思う。
ただ単に正確な情報を出すだけではだめだ。
言葉で安心しろ、というのでもダメだ。
その辺のコントロールは、多分、原子力専門家にはできない。 どう考えても手に余る。
 
その手の専門家は、日本にはいないのかね? 少なくとも、政府のブレーンにはいないのかね?
 
 
 
ここで、心理学者や有識者を集めて、新たな委員会なんて作られた日には、もう笑うしかないが。
                        
 
 

 
そうそう、お抹茶BOYに与える科学知識と、ショックに関しては、
今回のことについては私も反省していますし、個人個人で考え方が違うと思いますので、
たとえ専門家を名乗る方々であっても、ブログ面での
  お説教(お節介?)は控えていただけると幸いです。