三人官女
会社を休んで時間があったので、雛人形をしまいました。
長柄銚子(ながえのちょうし)を持っている、この官女が私は一番好きです。
女の兄弟がいなくて、雛人形を間近に見たことのなかった夫は、
いまでも、三人官女の並び方がわかりません。 官女の顔が違うなど、考えてもみないようです。
三人官女のうちの、長柄銚子の人が好きだとは言いましたが、
どの雛人形セットでも、たいてい、この人の顔が一番気に入ります。
今年は島台(松と花の台)を持たせましたが、
「眉なし」、と呼ばれるお顔です。(年齢が高い(既婚?)ため、眉を剃っているそうです)
向かって左の官女は、「眉あり」 というお顔です。 「口あき」 と、書かれている時もあります。
右手で銚子を持つので、右手だけを握っています。にこやかなお顔に作られていることが多いです。
(ちっちゃい頃は、私は、ケトル(薬缶)の官女さん、と呼んでいました)
そして私の好きな、向って右の官女。 「むすび」 というお顔です。 この人だけが口を閉じて(むすんで)ます。
お顔を良く見てみると、唇の紅の真ん中に、他の官女の様な白い部分がありません。
長い柄のついた銚子を持つので、右手も、柄を支える左手も握っています。
上品で、優しそうで、でも、口をきゅっと結んでいる様子は、少しだけ気位が高そうで、
なんとなく、いいお家のお嬢さんっぽいんです
実家にあったには人形のこの官女は、中学校の時の友達に、すごく似てたんですよねぇ……・
胡粉で埋め込んだ硝子の眼球を、あとから眼窩の位置を切りだして……‥と、説明を聞いたことがあります。
大量生産が多くなっているのだろうとは思いますが、それにしたって、手がこんでますよね。
なお、官女に比べると、右大臣や左大臣は持ち物も簡単だし、
五人囃子に至っては、現代の合唱と同じ風に考えて並べれば良いのかもしれません。
向かって左から、低そうな音を出す順に、太鼓(たいこ)、大鼓(おおつづみ)、小鼓(こつづみ)、笛、謡。
笛と謡(人間の声)と、どっちが高いんだ、と聞かれる気もしますが ……・きっとボーイソプラノなのよ
来年まで、おやすみなさい。