ブログ引越し検討中 (仮住まい)

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最近、光学系のシンポジウムを拾って聞いています

学会のために、神戸に来ています。、
京コンピュータが隣にある、ポートアイランドという所です。
会場から見えるのは、明石大橋……でしたっけ? 
 
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さて、色弱模擬フィルターの開発 の招待講演。 聞いたお話の、備忘録風に。

       色覚異常は、かつては赤緑色盲などという言葉で呼ばれ、
       医者や警察官になれない、JRに就職できない、等、さまざまな職業制限があった。
       現在は、医療関係者は色覚異常、新聞などでは色覚障害(or色覚障がい)と表記し、
       また、警察官や、一部医療関係にも就職できるようになっている。
 
さて、眼球網膜の、cone mozaicを見ると、赤色を感知するL錐体、緑のD錐体、青のS錐体が散らばっていて、
例えば眼球の中央にはS錐体が少ないなどの、大まかな傾向はあるのだが、
個体差が非常に大きいことがわかっている。  http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_senten.jsp
また、色覚異常者のほとんどは、生まれつき(遺伝的に)特定の錐体が少ない人であり、
その遺伝情報はX染色体に乗ることも知られている。 
 
色覚異常者の割合は、白人種>黄色人種>黒人種の順に多く、
日本男子では5%、女性では0.2%が色覚異常者であるという。
女性はX染色体を二つ持つので、発症しなくても保因者である場合もあり、保因者の割合は、10%程度。
 
  男性の5%二色覚異常がある、という認識は、私には無かった。
  友人に一人、自分は色弱だから医学部には行けなかった、と話した人がいたことはいたが、
  普段、何の問題もなく生活しているように見えたので、気にする事もなく、忘れていた。
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これは、かつての豊橋市地震防災マップである。
被害の大きそうな所から、
赤>黄色>緑系の色の変化を
つけてある事が多いのだが、
色覚異常のある人が見ると、こんな風になってしまう。
 
大変さが実感される。
緑エリアの区別はほとんどできない。
 
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結論から言うと、現在の豊橋市の防災マップは、
左のように色替えしてある。
 
色覚正常者から見ると、
緑部分の色合いが、ほんの少し変わっただけである。
並べていなければ、気付かない程度だろう。
 
ところが、新しい色味の防災マップを、
色覚異常者が見た時の画像は、
右下のように、緑部分がグレイに代わることによって、
黄色エリアや赤エリアから、区別できるようになっている。
 
このようなデザイン、まあ地図ばかりでなく、
車いすの通れる改札口や、
背の高い人でも低い人でも使いやすいキッチンなど、
誰にでも都合がいい、という意味なのだが、
豊橋市の防災マップは、ユニバーサルデザインなのだ。
 
 
ユニバーサルデザインを取り入れているNHKのポスターは、
見えている色味が色覚正常者と違っても、ポスター内容や文字が背景に埋まることはないらしい。
しかし、特急を特定の赤、急行・準急を緑で表示する鉄道会社は依然として多く、
しかもいったん決めてしまうと、その色合いを変更することを拒否されることも少なくない……そうだ。
 
防災マップの緑の色味を、ほんのわずかに変えることで、ユニバーサルデザインか否かが変わることからも、
色覚異常のない人間が確認して、あるいなシミュレーションによる簡単な色変換とカラーコードを使って
この組み合わせはダメ、これはOK、と決められるものでもないらしい。
 
 (冒頭に、色覚異常の人が見えるのはこんな映像、と例を出したので、
  簡単に変換できる印象を与えてしまったかもしれないが、
  シミュレータはこの色はこの色に代わる、という一対一の変換ができるだけなので、
  色を変えてソフトに入れて変換して、また色を変えてまた変換して、と、
  これまでの変換ソフトを使った方法では、かなり手間がかかるそうなのである)
 
というわけで、セミナータイトルの色弱模擬フィルターの開発、となるのだが、
マニアックでない部分だけ説明すると、SiO2 とTiO2 を100nmくらいずつ層状に成膜し、
それを30層くらい繰り返すことによって、特定の光だけ透過させることができ、
ユニバーサルデザインなポスターや、表示板のカラー指定をする時に、
簡単に見え方チェックをする事ができる、という研究なのだ。
 
なお、赤いレーザーポインターは、色覚異常のある人には見えない事が多いらしい。
プレゼンテーターで、「自分は指示してる場所が見えてないから、適当にあててるだけ」 という人もいるそうだ。
 
………日本男性、20人に一人………  
かつて行われていた、色覚異常の検査は、今は小学校では行われていないそうである。
確かに、20人(女の子は少ないから、40人くらいのひとクラスでも)に一人という割合だと、
見えない子が、気にしちゃうかなあ、という気もしなくはないのだが。
ちゃんと、自分の目の特性、友達の特性を把握して、対応していくことを覚えた方がいいと思うんだけどなあ。
また空や海を違う色で染めることで、色覚ではなく、精神を疑う事も行われてしまいがちなのだそうだが、
これらもまず、正しい理解を周囲がすることが必要、なんだと思う。
 
 
現在のところ、遺伝性の色覚異常の治療法はない、という事だが……
 
        研究すべきこと、改善すべきことは、まだまだたくさん控えている、という事ですね。
 
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会場近くに、こんなモニュメントがありました、、、と、思ったら、内部は甲南大学の図書室でした。
地球儀が、なんとなくユニバーサルイメージを象徴しているような気がしたので……
 
 
明日は、学生さんの発表が終わったら、大阪に移動です……… 学会キャラバン