気を付ける以外にできそうなこと
福知山の花火大会爆発事故に思う。
露天商の使うガソリンの携行缶が気温が高い中に放置されたため、温度が高まり、
中で気化したガソリンの気圧が上昇、開栓時に噴出し、
それが周囲の何らかの火に引火したために起きた事故だとのことだ。
花火を楽しみに来て、怪我をなさった方々は、本当にお気の毒だ。
消防署が注意喚起を呼びかける
「ガソリンが入った容器は換気の良い場所に置いたり、ふたをしっかり閉めたりするなど、
取り扱いに気をつけてほしい」 以外に何ができるか、考えてみる。
事故時の罰則や補償を引きあげていくよりも、
危険の発生可能性を考えて、先手で対策を取っていく事も、できるかもしれないし。
例えば、子供の玩具の小さな部品を 「子供が呑み込まないように」 苦く味付けしておくとか、
海水浴場に監視員をつけて 「素人が危険な泳ぎ方をしないように」 見張るとか、
自動車にリミッターをつけて 「ドライバーが無謀な暴走をしないように」 車側を調整する等の様に。
●環境●
古い映画に、飛行場に視察に来た男が煙草に火を点けようとしてぶん殴られるシーンがあった。
ガソリンが充満していそうなところは火気厳禁が当たり前なのだが、
花火会場で火気厳禁は無理だ。 禁煙だって無理だろう。
一番金のかからない方法なのだが、できることは 「注意喚起」、となってしまうのだろうな。
内圧が上がっても、一気に口を開けずにガス出しをするなどの回避方はあるらしい。
この事故に関しては、商店や的屋に減圧弁を開ける指導をするというのもできる事の一つかと思う。
と言っても、注意を怠った本人だけではなく、爆発は周りを巻き込んでしまうからねえ……
●ガスセンサー●
ガソリンは強い臭気があるが、人間の鼻は「慣れ」が速いため、ゆっくりした変化に気付きにくい。
そのために、キッチンにはガス検知器や火災報知機がたくさんある。
電池式のセンサーを、そこら辺中(例えば店毎)につけておくというのはどうだろうか?
いや、大気圧は粘性流だからねえ、空気やガスの流れで、センサー位置には行かないけど、
一部の場所は高濃度ガソリンがくる、ってことがあるし。
だから、ある程度の対策にはなるかもしれないけど、完璧じゃないだろうな。
●ボンベや携行缶●
私が普段使用しているガスボンベは容器壁が厚さ数ミリの鉄系の合金で出来ていて、
バルブもうんざりするほどがっしりしたものなのだが、
それでもお馬鹿さんが日向に横置きにして、温度上昇で圧力が上がったガスでバルブがすっ飛び、
噴出するガスでボンベが走り回り、人に当たり怪我をさせる、などと言う事故を聞いたことがある。
(バルブのつけ方のミスと屋外に横置きにする暴挙と、大学内&死者が出なかったことでニュースにはなっていないと思うが)
気化したガスでタンクや瓶の中が高圧になり、爆発する恐れがあるからだ。
液体窒素のデュワー(容器)には大きい蓋を緩くかぶせ、
ガスが漏れるに任せて蓋をカタカタ言わせている。
液体ヘリウムの場合は調整(減圧)弁というのを使って、
内圧が高くなった時には自動的に放出させる。
そうそう、ちょうど圧力鍋の上で、くるくる回っている
減圧弁と同じものだ。
タンクの内側が一定圧力になると、圧力鍋と同様、
ふしゅ~っとガスを吹き出すから、驚くんだけどさ。
さて、ボンベではなく、移動に使うための携行缶は
どちらかというと、我々のデュワーに近いだろう。
でも相手が危険物なのだから、圧力鍋みたいな自動減圧弁をつけていてもいいんじゃないかな?
少なくとも、口を開けた途端に高濃度ガスが噴き出すことは避けられる気がする。
どのくらいの設定圧力にするか、価格がどのくらいかかるか、使用法を守ってもらえるのか、って、
あれこれ決めていかなきゃならないことがあるだろうと思うが。
昔、プリンターのトナー交換をする時、周りの湿度が高いとトナーが湿気を吸い、
目詰まりなどの原因になるから、トナー袋に簡易湿度計のシール(湿度で色が変わる)をつけたい。
適当なものはないでしょうか? という相談を受けたことがある。
湿度変動のレベルで色が変わる物はなさそうだなあ、それより、
「何故プリンター側につけないの?」 で、終わってしまったのだが、
携行缶の表面や周囲の柱に、危険ガス圧が上がると、色の変わる塗料が塗られてたりしたら、
きっと、便利だろうなあ……… でもこれは化学屋さんの研究範囲っぽいな。
●容器や携行缶●
ところで、常温保管の醤油瓶、をしっているだろうか?
醤油側に保存料が入っているわけではなく、空気(酸素)に醤油が触れないようにすることで、
保存期間を長くしているらしい。
ポリ系の二重の瓶になっていて、内側のパックが醤油使用につれて萎んでいくので、
液体が酸素に触れずにすむ、という構造だ。
ビニール系の材質だから、高価なわけではない。容器のせいで高価だったら売れないだろう。
携行缶にガソリンが十分入っている時にはいいが、
少なくなってくるとガスが充満して、口を開けたときにふしゅ、と吹き出すようになる。
醤油瓶の構造が、ガソリンの携行缶に使えるかと言ったら無理なのだが、
こんなちょっとした開発を安全につなげることもできるのかもしれない。
圧力、強度、蒸気圧などの計算はある程度の知識がないとできないかもしれない。
が、アイディアに学歴は必要ない気がする。
アイディアが浮かんだら、これって可能かな、と、関連会社や学会にでも、知恵袋にでも
送りつけてしまうのも面白いかもしれない。計算やアレンジができる人は山ほどいるだろう。
それに事故の後に有識者会議をして、条例や決め事を作るのがこの国の定番だが、
実際の現場の、例えば的屋さんたちが、何には気を配りやすくて、何を忘れがちなのか、
ルーティンワーク的な対応でなく、前向きに取り組んだ方が良いかもしれないね……
酸素ボンベの事故事例 http://blogs.yahoo.co.jp/yozaisho/37286401.html 高圧ガスの専門家さんのページ