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地球環境のセミナーを聞いてきました。その2

前記事の続きです。
根津神社から近かったので、つい、参加したセミナーについて。
 


 
『身近な行動の環境影響を測る-リサイクルは環境に良いことか?-』                          東京大学 平尾雅彦教授
 
ペットボトルを例に、リユース、リサイクルのあり方を、
大学の先生らしくとてもわかりやすく、実物を見せながら説明してくださいました。
 
検索すると多く出てくると思いますが、ペットボトルは
PET(ポリエチレンテレフタレート)の材料から、プリフォームと言う蓋付の試験管形状のものを作り、
それを型の中でブローし、風船のように膨らますことでペットボトルの形にするそうです。
破れないように、薄く均一に膨らますことができるプリフォーム形状や、
膨らまし方がたくさん開発されているようです。 
 
      知らなかったので、とてもおもしろかったです。
 
リサイクルですが、日本のペットボトルの回収率は7割以上で、
デポジットのつかないボトルとしては、とても回収率が高いのだそうです。
また、商品名のビニールラベルもミシン目がついて簡単に外せることから、リサイクルしやすく、
例えば、粉砕した後に、風を当てるとビニール部分を飛ばして外すことができ、
その次に洗浄するために水の中に入れると、
フタやボトルの首回りのポリエチレン(orプラスチック)は浮き、PETは沈むので分離することができます。
また、日本製のペットボトルは全メーカー透明ボトルを使用しているのも、再生にとっては利点なので、
再生PETの50%ほどが中国などに輸出されているようです。
 
しかしながら、ペットボトルからペットボトルを作るのは環境負荷が大きく、
リサイクルによってCO排出量があがってしまいます。
リサイクルによって、例えばフリースの衣類や卵のパックを作ったり、ボールペンの軸にしたり、
環境負荷の小さいリサイクルのやり方を考えていかなければならない、とのことでした。
 
 
そうそう、エコバッグや、木綿の袋の方が環境にやさしいと思われがちだが、
レジ袋を何回か使いまわす方が、環境には優しいそうです。
木綿に関しては、世界の農薬の1/4は木綿に使われているそうで、
それを何枚も使ったら、本末転倒、だとか。
 
それから、「いろはす」などのクシャクシャにつぶせるPETは、薄いので材料的にはエコですが、
あまり小さく潰されると再生工場で裁断しにくいので、平たくする程度にしてね、とのことでした。
後は…… フタがあってもいいけど、再生のためにはきつく締めないでください、とか
不燃物やPETボトルの回収をすると、電池と100円ライターがたくさん混じっているのは、
捨て場に困って悩んだ挙句、ここに分類して入れちゃうんだろうな、とか、
細かなところでたくさんの社会科勉強になりました。
 
小中学生や、その先生方に聞いてほしかったな、と思いました。
 
      専門から離れすぎているので、科学者とは思えない、単なる聴衆として聞いてました。
 


 
    『資源をめぐるサスティナビリティ』  
                       物・材機構   原田幸明博士
 
この方も、都市鉱山などの話でいろんなところに記事が出ているようです。
                                http://www.ecobeing.net/ecopeople/peo40/index.html
 
人間にとって必要で、かつ不足している、あるいは不足が予期される金属は、
亜鉛、銅、金などなど、漢字で書けるものが多い、との前ふりがありましたが。
 
      つまりは昔から使っていたものでしょうか
 
これらの資源の制約の四要素は、
量的要素:金、銅、亜鉛などは現有技術て掘り出せる絶対量に限界がある。
地政学的要素:ニオブ、ディスプロシウムなどは、中国に偏在している。
製造技術的要素(エネルギー要素):電力価格等に依存してしまう。
環境要素:希土類金属は、排水、廃鉱石など環境コストが高くなってしまった。
 +供給速度の問題:肥料に用いるカリウムの副産物であるリチウムなど問題が大きい。…そうです。
 
現在、地下資源は中国、ブラジル、アメリカが産出のほとんどを占め、
一方それを扱う資源メジャー同志が会社の食い合いをしている状態。
独占するのに必要な企業数が、どんどん減ってきているそうな。<<独占しやすくなってるってことね。 
また、以前の、良質のものを集めて、先進国に向けてすぐれたものを作る、と言う日本の方式から、
そこそこのものを集めて、安価で途上国に輸出する、と言う中国方式が蔓延していて、
そのため、少しでも安価に材料を手に入れようとする結果、
採掘場などで環境破壊が甚だしい……ことが、グーグルアースの衛星写真でも見て取れる、とか。
 
   でも、鉱山という鉱山を掘り繰り返して作るハイブリッドカーは、本当にエコなのでしょうか? 
 
オーストラリアの鉱山など、環境保全の必要性に気づいて、緑化が成功したところもあるようです。
でも、中国が環境保護のために山肌を壊さないために行っているという、
硫酸アンモニウムを地面に浸透させ、
中生代花崗岩のイオン吸着鉱にあるディスプロシウム溶かす手法は、
確かにディスプロシウムは溶け出て回収しやすいかもしれませんが、
こんな乱暴な手法が(他の国なら)認められるはずもない……にもかかわらず、
排水処理もきちんとしていると、排水処理施設の写真まで撮影させて貰えるようです。
 
当然、植物の根がやられてしまったり、周囲の水が汚染されたり、があるようですが、
そのへんはモグリの業者も大量にいることから、原因(&責任)は不明……と。
まあ、そういうわけで世界で一番コストが安い(安かった)ようです。
 
  ディスプロシウムはハイブリッドモーターに使われているネオジム磁石に必須のレアメタルです。
   以前、尖閣問題>>希土類売ってやらないよ>>トヨタハイブリッド車ピ~ンチ! と書きましたが、
   ほかの地域でとれないのなら、国策として値段をつり上げることも容易なわけですよね。
                     http://blogs.yahoo.co.jp/green_zebra_2008/34856819.html
 
中国以外にディスプロシウムを採掘できる場所を探しても、
採掘に係る環境アセスメントや、廃土の処理等、課題はたくさんあってどうにもならないまま、
一時期、価格が高騰しましたが………
 
ディスプロシウムを使わないマグネットを使った、ハイブリッドカーが発表されたり、
有機ELと組み合わせることで、インジウムを使わずに済むディスプレイが開発されたり、
その途端に、レアメタルの単価は激的に変動し、世界経済がひっくり返るようです。
 
なんとも緊張感のある研究分野だな、と、今更ながら思いました。
 
            (セミナー記事は、私個人の備忘録のためです。文責はゼブラにありますが、
             二次配布する場合には、オリジナルの研究者のサイトを参考になさってください)