ブログ引越し検討中 (仮住まい)

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(創作) 中二病 あるいは 残暑にまつわる1シーン

(創作物です)
声が出ない。
小さな生き物が腹を破って侵入し、内臓を喰っている気がする。

日差しがジリジリして、潮のにおいがして、
うんざりするくらい緑色になったのは感じていた。
誰もが浮かれて夜中まで遊びまわり、夏を謳歌している風だった。

俺はその中に入らなかった。

他人よりも不細工だとか、ほんのちょっと体が小さいだとか、
そんな理由をつけて、何年も引きこもっていた。
 

どうして外に出る気になったのかわからない。
女の子に呼ばれた気がしたからか、いや、誰かの声が聞こえただけか。
うだるような暑さに辟易してみたかったのかもしれない。
 
 

久しぶりに出た外は、まぶしかった。

…………?
さっき俺を呼んだ女の子はどこだ?
………………?

声をかけてみた。誰も答えてくれなかった。
近づこうとした、誰も笑いかけてくれなかった。
 

いや……そもそも俺、友達いたっけか?
長い間引きこもりすぎて、それさえ忘れた。

大声でわめいて、罵ったけど、何もないので疲れてしまった。
 

打ちひしがれたら、寄ってきた連中がいた。
威嚇すれば、ぱっと散る。
でも、また遠巻きに俺を見て、じりじりと寄ってくる。

そうだよな、こいつら、弱った奴を見つけると、数にまかせて攻撃してくるんだ。
 

また、ちくんと胸が痛んだ。
こいつらはいくらたくさんいても俺の仲間じゃない。
奴らが何を言っているのかわからないが、俺は傷つく。
傷の一つ一つは致命傷ではないが、
小さな痛みが積み重なって、最後には俺の命を奪うのだろう。
 
死ぬ前に、もう一叫びしたい。 
でも、声が出ない。
 
出てくるのが遅すぎたんだよな、俺。
ほんのちょっとだけ勇気がなかったんだよ。
 
 
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カノジョ、欲しかったなあ。
 
 
今朝、見かけた蝉とアリで、連想したんですが
良く考えると、雌蝉だった可能性もあるわけで……
でも、蝉ってうっとうしくて、薄幸そうな気がするよね