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読書録 『源内なかま講』

電車の中で日本語の論文の査読をしようと思っていたのだが、
あまりのすばらしい文章力に酔いそうになって(←ヤマダ某レベル)、あわてて小説に変更した。
いや、机で読んでも大変だとは思うけども。 研究内容としては面白いので頭を抱えそうだ。
 
さて、そんなこんなで、
高橋克彦 『源内なかま講』 文春文庫、読了  
 
『おこう紅絵暦』の続編、というか、まだ読んでいない『だましゑ歌麿』 のシリーズの最新作。
短編集とはいえ、途中をすっ飛ばしてしまった あとでまた探そう。
 
さくっと読めて面白い。
ちょっと他人にしゃべってみたくなるいろんな歴史知識もふんだんに入っていたりする。
 
この作者の美術への造詣、歴史への造詣にはいつも恐れ入る。
小説の中の知識(特殊な職業の知識だったり、歴史だったり科学だったり)が面白い小説家は、
真保裕一や荒俣弘など、何人かお気に入りがいるのだが、
高橋克彦は群を抜いている。
また、小説家以上に研究家であるのか、小説に使ったフィクションの知識や、完全には認められていない説は、
小説内でも注意深く使われているように思う。
登場人物に「こういう説があるというだけだ、信用するな」と言わせてみたり、
犯人のでっち上げた発見として、小説の最後で再び「謎」に戻したり。
 
最後のエレキテルの話、厄介講はともかく、全体的に楽しめます。
いや、厄介講も幽霊の話、と思えばそれはそれでいいんですけどね。
 
登場人物たちのイラストが描きたくなるような、冒険譚です。
誰かマンガにしてくれないかなあ。
青木朋(「幇間探偵しゃろく」の人)か、ゆうきまさみあたりに描いてほしい……
 
軽く読めて、でも、何も残らないわけではない。
お勧めです。