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(兵庫)加速器を見てきました

SPring8に来ています。田舎です。遠くの山々がきれいです。
 
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私は加速器の専門家ではなく、一般検索でヒットされたくはないので、限定記事にしておきます。
 
              

昔、共同研究の学生さんがSPring8に車で来た時に、道をシカが横切り、
横跳びでなく縦跳びっぽい動きが動物とは思えなくて、悲鳴を上げたと話していました。
昨夜は相生駅から、バスで向かったのですが、結構なスピードで走るおよそ一時間の間、
あたりの風景は、ずうっと、真っ暗……… 確かに、いろいろ出そうです。
 
加速器の近くにある、研究所の宿泊施設は、一泊2,000円と、安くて便利なんだけど
タオルにロゴが入ってたり…………ここまでやるとホテルっぽい
 
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昔、リニアックだの、サイクロトロンだの、シンクロトロンだのの説明を
ブログでした記憶があるんですが、ここの加速器もその仲間。

丸い部分がSPring8、直径500メートルくらい、右下の黄緑の横長い建物がSACLAです。
いずれも、粒子線を、磁場(磁石)を使って加速しています。
 
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何のために加速したいかというと、エネルギーの高い電子や、粒子が欲しいから。
あるいはエネルギーの高い粒子線が曲がる時に放出する、X線や、ガンマー線など放射線が欲しいから。
                電子や陽子等粒子の重さは変わらないので、エネルギーを高くすること=速度を早くすること、なのです。
 
さて、ガンマー線なら癌細胞を殺します。
なので、放射線医療研究所にあるのは、ガンマー線を取り出すのに適した加速器です。
いっぽう、このSPring8は電子を加速して、波長の短いX線を取り出すのに適しています。
何のために短波長のX線が欲しいかですが………
物質や分子の内部の原子の配置を、X線の回折や反射で測ることができます。
この時、電子やX線の波長は物差しのようなものです。
波長が短ければ短いほど、細かい目盛の物差しがあることになるので、
より波長の短いX線を手に入れたいのです。X線の場合、波長が短いこと=エネルギーが高いこと、です。
 
世界のいくつかの加速器で、波長の短さを競っていますが、
現在のところ、米国の0.12nm (1nmは1000分の1㎜) が世界で第2位。
波長0.06nmのSPring8(SACLA)は、ぶっちぎりの第1位を走っているのです。 
 
この、0.12と0.6の違いを侮るなかれ、たとえば、物差しのサイズを変えた図を描いてみますが、
この左の踊ってるロボットみたいなのが、
 
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    メッシュの一片の長さを半分にすると、青という文なのがわかります。いや、宇宙人かもしれないのです。
                      (この絵、学生にそのうち使おうと思って、帰りの新幹線の中で作ってました。酔いました
 
1nm(1,000分の1㎜)、2nm(1000分の2㎜)の細胞の中を知りたい時、この波長の違いは偉大です。
細胞の中を詳細に研究することで、たとえば光合成中の分子や原子の動きを解明し、
植物のないところで、人工的な光合成(空気と水と光から澱粉を作る)を行う、
そんな切り口で食糧問題に対応することも可能なのです。 ←これは受け売り。

さて、そういうわけで、SACLAは直線、SPring8は電子を加速して円軌道に回し、接線方向にX線を出します。
円軌道を一周すると、1.5キロくらいになります。 http://ja.wikipedia.org/wiki/SPring-8
ちなみに、ジュネーブCERN(『天使と悪魔』に出てきた加速器)は直径が山手線くらいあります。
 
自転車がたくさんありましたが………、みなさん、リング状の構内を自転車で移動しているようです。
 
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電子が加速されてるのは、真空排気されたパイプの中で、(空気分子があるとぶつかって減速してしまうから)
その中ではX線もガンマー線も出ているので、すべてが厚さ1メートルのコンクリートで囲われています。
今、加速器が止まっているので、ゲートが開けられていますが、加速中は当然、絶対開けられません。
重いドアと、いたるところにある放射線マークがが物々しいです。
 
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これだけ巨大サイズの加速器からビームを取出し、1ミクロンの試料中の1nmの細胞に当てるわけで。
ほんの少しアライメント(光線の方向あわせ)がずれたら、当たらなくなってしまうから、
熱膨張やひずみもご法度、建物が太陽光に当たって歪むので、
その熱や歪みが装置に伝わらないよう、壁とビームラインのコンクリートは、分断しているそうです。
 
他にも、山ほどノウハウが詰まっていて、さすが●兆円かけて作った大型施設だけあります。
ぶっちぎりで、世界最短波かぁ……
「2位じゃダメなんですか?」 なんてものではなく、順位じゃなくて、
その順位の差をもたらすスペックの差で、何ができるようになるか、なんですよね……
 
そうそう、いろんなところに、このマスコットみたいなものが置いてあって、何かと聞いたら、
水準器(傾斜を測るもの)だという事でした。
 
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上でも書いたように、ちょっとでもビームラインの軸をずらすと仕事にならないから、だそうですが、
なんでこんなに可愛らしいんだ…………(でも、精密そうだし、高そうです)
 
 
原子力と名のつくことで、また、放射線を出していることで、少し世間の目はきついようです。
利用できる放射線は、制御しつつ利用して、世の中に役立ててほしいものだと思います。