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Creative Commons : クラシックと科学の課題は同じか

息子の小学校で、トヨタ・マスタープレイヤーズ・ウィ-ンのふれあいコンサートがありました。
 
ウィ-ンフィル管弦楽団OBなどを含む六名の演奏者で、
しかも体育館での演奏、おまけに、床に座った生徒たちと同じ高さに楽器を置いての演奏でしたが、
だからこそ、小学生にはいい刺激になったんじゃないかと思います
 
同じ高さにいれば、コントラバスの振動が、そのまま伝わってきます。
司会をしていた人(ドイツ人と、その通訳)が、
自分たちの机のせいで、横から見ていた人たちの視線を遮ると思ったのか、
演奏の合間の短い時間に、(自分たちで)そっと机をひっこめていたのも、印象的でした。
なんというのか、形式張っていなくて、とても身近で、そこだけヨーロッバを切り取って持ってきた感じです。
 
楽器を習っている子、音楽をやっている子はともかく、小中学生がクラシックコンサートに出かけたり、
テレビやCDでクラシックを聴くチャンスというのは、日本ではあまりないのではないかと思います。
クラシックを聴くチャンスと言ったら、学校の音楽の授業くらいな子もいると思います。
 
ヨーロッパでは、無料だったりめちゃくちゃ安価だったりするクラシックコンサートがあります。
バイロイト音楽祭でさえ、地元民なら数十ユーロ。
親がコンサートに連れて行かなくても、子供が“クラシックを聴くこと”を好きになるチャンスがたくさんあります。
子供たちは、まず、演奏者のファンになるのではなく、作曲家や、クラシック自体のファンになります。
好きになるチャンスが多くあるから、そのうち演奏の良しあしがわかったり、好みも別れたりもあるでしょう。
大人になってから、ある程度のお金を出してコンサートに足を運ぶことにもつながるでしょう。
 
で、薄利多売じゃないけど、大勢の人が足を運んでくれるから、
コンサートのチケット代も(日本より)安く出来るのかもしれません。
 
何でしょうね、つまり、まずは種を撒いて、裾野を広げるのが大事なんだろうな~という気がするのです。
 
 
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そんな午前中のコンサートを途中で切り上げて、午後は都内で会議がありました。
 
学会誌や、学術誌、学会から出す書籍、あるいはweb版のジャーナルなどの話になった時に、
コピーライトをどうするか、というのはいつもついて回ります。
コピーライト=著作権は特許や商標権となどと同様の、知的財産権の一つです。
これにより他人による複製や利用が許されず、また、大抵は無料で閲覧することも制限されます。
 
    まあ、当然ですよね。
    書籍をバラして電子ファイルにして、それを無料(or安価)でばらまかれるのが違法でなかったら、
    出版社も著作者も簡単に死にます。
 
    著作権のほかに版権とかいろんなものがあって、自分で出版した本の英語版を作ろうと思っても、
    版権が引っ掛かって、出版社にお金を払わなきゃならなかったり……いや、色々ありますが。
 
著作権を全く放棄している雑誌もあります。
パクリ上等、ってわけじゃないでしょうけど、コピーされて広がってくれた方がうれしいものもあるでしょう。
よその団体や会社が営利目的で自分たちの著作物を使うのはやめてほしいけれど、
営利目的じゃなければどんどん広めてください、なんていうのも多いですよね。
 
    ブログに掲載された写真の多くも、「使わせてくれませんか?」 と、撮影者に連絡すると、
    「どうぞどうぞ、営利目的でなかったら」 という感じの答えが来ることが多いです。
    逆に、以前MIXIが、ブログに書かれた文章の著作権MIXIにある、みたいなことを口走ったことがあって、
    その時に引き上げた(将来プロを目指す)アマチュアライターさんがたくさんいたんじゃなかったかな。
 
我々(←今日の会議の出席者)が書いているのは、自然科学の著作物です。
専門家に向けた難しいものも、一般向けのわかりやすい解説記事もあります。
著作権は守りたいけれど、アカデミック、つまり大学の授業難彼は積極的に使ってほしいです。
そのこころは、科学書籍の価値は、
「文章が良くてわかりやすい」ことよりも、「内容自体にこそ意味や価値」 があり、
その部分は誰が書いても不変なのだから、文章自体に権利を主張しない、という事かと思います。
 
……この手の課題は、どこの国にも同じようにあるので、最近は
Creative Commons (クリエイティブコモンズ) という段階的な権利範囲の著作物保護が増えています。
クリックするとwikiにリンクしているので、いろいろ例が出ていると思いますが、
 
  ・教育目的なら使用可
  ・非営利目的ならば使用可
  ・元の著作物を加工するのはダメだけど、複製はOK
  ・本の著作物を、加工して使うのもOK
 
などなど、いろんな条件付けを段階的につけることが可能です。
 
我々は大抵、アカデミックユース(教育目的の利用)であれば、著作権を主張しないことに賛成です。
その理由は、正しい知識を広めたいからです。
学生たちの理科離れに歯止めをかけたい、
学校の先生方が正しい知識を手に入れ、それを子供たちに伝えてほしい、
何よりも知識立国にならざるを得ない日本の、知識のすそ野を広げたい…… そんな所かと思います。
 
 
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ひと月くらい前から、高校生を含む一般向けの読み物を執筆しています。
その中に使う写真などを、webで探し、適当な写真の掲載されているサイトの管理者に連絡をし、
写真の使用許可を貰うことがあります。
既出の書籍やジャーナルに乗せたものだから、そちらで使いやすいよう、版権に引っかからないよう、
少しアレンジして新しいのを送ってあげるよ、大抵の方は、そう言ってくださいます。
 
私も、科学のすそ野を広げることに、少しでも役に立てば、と、考えざるを得ません。
 
 
 
………というわけで、明日は職場の一般公開です。
どこでもここでも、同じような課題に取り組んでいるのですかね。