真夏と真冬に思い出す施設
カエルさんのブログに、真夏の瑕疵物件の話題が出ていた。
心理的瑕疵物件とか、精神的瑕疵物件というもので、
近隣に原発や暴力団事務所があるなどと同様に、その部屋で自殺者が出たとか、殺人事件が起きたとか、
病死だけれど死後何日も見つからなかったとか………幽霊が出そうなシチュエーションのある物件がそれだ。
読んでいて、ふと、病院勤務の友人から聞いた苦労話を思い出した。
空きベッドに、新しい入院患者を案内したところ、
前にそのベッドにいた人が亡くなったことを伝えなかった、という理由で、大騒ぎされたというのだ。
病院は病気の人が行くところである。 重病患者が入院するところである。
全員が直るわけではないし、だったら、病院で亡くなった人がいて当たり前だろう……と、思うのだが、
その男性にとっては、不吉極まりないベッドに映ったんだそうだ。 なんだかなあ
幼少期（保育園年齢）のお抹茶BOYは、病院では人が亡くなるけれど、
赤ちゃんも病院で生まれるから、それで人数や吉兆の（？）つり合いが取れていると、言っていた。
なにかが違うことを説明したかったけど、うまく説明できなかった。
ちなみに木造家屋が主流で、マンション類も50年程度で建て替えることの多い日本だからこそ、
こういう瑕疵物件の話題が成立するのであって、
何百年も持つ石の家に住む人々にしたら、心理的瑕疵だのなんだのと言っていたら、大変だろう。
いや、でも、そういえば、新撰組が斬りあった部屋には普通に人が住んで寝室にしてるって、聞いたな。
歴史のある町や国に住んでいれば、幽霊話や不吉な履歴も、皆無にしておくことはできないのだろう。
10年くらい前まで、大学所有の合宿所のようなものがいろんな場所にあって、
臨海学校用の沼津の施設や、スキー合宿用の八幡平の施設などが、とても安価に利用できた。
現役から大学院時代、それから娘が小さい頃は、それらの施設を利用させてもらっていた。
さて、八幡平には、廃鉱となった松尾鉱山があり、かつて使われていたアパート群の廃墟がある。
大学の合宿所はそこからすぐの所だったから、夏の合宿で利用している時は、良い肝試し場所だった。
なおかつ、合宿所は、その地の大病院の建物を、そのまま使っていた。
普段使用していない合宿所の３階も、我々の肝試し場所だった。
アパートの廃墟も、病院の上階も、肝試し場所でしかなかったし、
その割に毎年来ている親しい場所だったから、心から怖いと思う施設ですらなかった。
(松尾鉱山の廃アパート群)
修士の学生の頃だったと思う。
当時は、2週間くらい八幡平校舎に居続けて、気が向くとスキーをする、なんていう優雅な（ヒマな）学生だった。
私達は八幡平のゴンドラに乗って、季節外れの前夜の肝試しの話をしていた。
人影が見えただの、声が聞こえただの。
同じゴンドラに乗っていた50過ぎくらいの男性が 「君たちは、学習院の学生さんかい？」と、声をかけてきた。
そうだというと、緩やかに、、、本当に緩やかに注意された。
私達が使っている八幡平校舎は、かつて地元の人たちのとても大切な病院であったこと、
あの病院がなければ、助からなかった人がもっとずっと大勢いただろうこと、
もしも、助からなかった人がいたとしても、その人はきっと病院に感謝していただろうこと。
病院があるから安心して働けた。
だから、病院には幽霊は出ないし、怖い事があるはずがない、と。
謝罪を求める口調ではなかったから、自分たちが謝ったかどうかは覚えていない。
別の街から来て、彼らが大切に思っていた設備で騒いだことを、
なんだかとてもとても申し訳なく思った。
そしてそれ以降、病院で治療してもらったくせに化けて出る幽霊は、世間知らず＆恩知らずだと思うようになった。
生体実験でもされたのなら恨んでもいいが、お前、それ、わがままだろ、と。 出会ったら、幽霊に説教してしまいそうだ。
なお、松尾鉱山病院が現役の病院だったのは、少なくとも学習院大学が買い取る1970年以前だろうし、
あの時の男性の年齢から推測してみて、たぶん、彼が子供のころの記憶なんだろう、と思う。
子供だったから、というのを差し引いても、いい思い出しかないんだろうな。
夏の番組で、時折、松尾鉱山の廃墟が特集される。
いかにも幽霊の出そうな場所として、芸人がきゃあきゃあいう様子が中継される。
そんな時、スキー場で話しかけてきた地元の人の言葉を思い出すのだ。
騒いでも、そこには幽霊はいないんだよ。
東の軍艦島 アパート群の屋上めぐり http://heyaneko.web.fc2.com/zs16.html
懐かしの学習院八幡平校舎 http://blog.goo.ne.jp/onsen_shouyou/e/37c5340a947d2bb9a2163994c5cdff53
松尾鉱山病院 http://zerotaka.web.fc2.com/ma08.html
＜追記＞
昨日は江戸川の花火大会の音が良く聞こえていましたが、
今日はすぐ近くのマンションと、反対側を数百メートルいった中学校でお祭りをしているみたいです。
あっちからもこっちからも、太鼓の音が良く聞こえてきます。
浴衣を着た夜のお祭りは、どんなに楽しくても、お盆や、送り火などを連想させます。
賑やかで楽しいけれど、それだけじゃない。
日本だなあ、と、思います。
心理的瑕疵物件とか、精神的瑕疵物件というもので、
近隣に原発や暴力団事務所があるなどと同様に、その部屋で自殺者が出たとか、殺人事件が起きたとか、
病死だけれど死後何日も見つからなかったとか………幽霊が出そうなシチュエーションのある物件がそれだ。
読んでいて、ふと、病院勤務の友人から聞いた苦労話を思い出した。
空きベッドに、新しい入院患者を案内したところ、
前にそのベッドにいた人が亡くなったことを伝えなかった、という理由で、大騒ぎされたというのだ。
病院は病気の人が行くところである。 重病患者が入院するところである。
全員が直るわけではないし、だったら、病院で亡くなった人がいて当たり前だろう……と、思うのだが、
その男性にとっては、不吉極まりないベッドに映ったんだそうだ。 なんだかなあ
幼少期（保育園年齢）のお抹茶BOYは、病院では人が亡くなるけれど、
赤ちゃんも病院で生まれるから、それで人数や吉兆の（？）つり合いが取れていると、言っていた。
なにかが違うことを説明したかったけど、うまく説明できなかった。
ちなみに木造家屋が主流で、マンション類も50年程度で建て替えることの多い日本だからこそ、
こういう瑕疵物件の話題が成立するのであって、
何百年も持つ石の家に住む人々にしたら、心理的瑕疵だのなんだのと言っていたら、大変だろう。
いや、でも、そういえば、新撰組が斬りあった部屋には普通に人が住んで寝室にしてるって、聞いたな。
歴史のある町や国に住んでいれば、幽霊話や不吉な履歴も、皆無にしておくことはできないのだろう。
10年くらい前まで、大学所有の合宿所のようなものがいろんな場所にあって、
臨海学校用の沼津の施設や、スキー合宿用の八幡平の施設などが、とても安価に利用できた。
現役から大学院時代、それから娘が小さい頃は、それらの施設を利用させてもらっていた。
さて、八幡平には、廃鉱となった松尾鉱山があり、かつて使われていたアパート群の廃墟がある。
大学の合宿所はそこからすぐの所だったから、夏の合宿で利用している時は、良い肝試し場所だった。
なおかつ、合宿所は、その地の大病院の建物を、そのまま使っていた。
普段使用していない合宿所の３階も、我々の肝試し場所だった。
アパートの廃墟も、病院の上階も、肝試し場所でしかなかったし、
その割に毎年来ている親しい場所だったから、心から怖いと思う施設ですらなかった。
(松尾鉱山の廃アパート群)
修士の学生の頃だったと思う。
当時は、2週間くらい八幡平校舎に居続けて、気が向くとスキーをする、なんていう優雅な（ヒマな）学生だった。
私達は八幡平のゴンドラに乗って、季節外れの前夜の肝試しの話をしていた。
人影が見えただの、声が聞こえただの。
同じゴンドラに乗っていた50過ぎくらいの男性が 「君たちは、学習院の学生さんかい？」と、声をかけてきた。
そうだというと、緩やかに、、、本当に緩やかに注意された。
私達が使っている八幡平校舎は、かつて地元の人たちのとても大切な病院であったこと、
あの病院がなければ、助からなかった人がもっとずっと大勢いただろうこと、
もしも、助からなかった人がいたとしても、その人はきっと病院に感謝していただろうこと。
病院があるから安心して働けた。
だから、病院には幽霊は出ないし、怖い事があるはずがない、と。
謝罪を求める口調ではなかったから、自分たちが謝ったかどうかは覚えていない。
別の街から来て、彼らが大切に思っていた設備で騒いだことを、
なんだかとてもとても申し訳なく思った。
そしてそれ以降、病院で治療してもらったくせに化けて出る幽霊は、世間知らず＆恩知らずだと思うようになった。
生体実験でもされたのなら恨んでもいいが、お前、それ、わがままだろ、と。 出会ったら、幽霊に説教してしまいそうだ。
なお、松尾鉱山病院が現役の病院だったのは、少なくとも学習院大学が買い取る1970年以前だろうし、
あの時の男性の年齢から推測してみて、たぶん、彼が子供のころの記憶なんだろう、と思う。
子供だったから、というのを差し引いても、いい思い出しかないんだろうな。
夏の番組で、時折、松尾鉱山の廃墟が特集される。
いかにも幽霊の出そうな場所として、芸人がきゃあきゃあいう様子が中継される。
そんな時、スキー場で話しかけてきた地元の人の言葉を思い出すのだ。
騒いでも、そこには幽霊はいないんだよ。
東の軍艦島 アパート群の屋上めぐり http://heyaneko.web.fc2.com/zs16.html
懐かしの学習院八幡平校舎 http://blog.goo.ne.jp/onsen_shouyou/e/37c5340a947d2bb9a2163994c5cdff53
松尾鉱山病院 http://zerotaka.web.fc2.com/ma08.html
＜追記＞
昨日は江戸川の花火大会の音が良く聞こえていましたが、
今日はすぐ近くのマンションと、反対側を数百メートルいった中学校でお祭りをしているみたいです。
あっちからもこっちからも、太鼓の音が良く聞こえてきます。
浴衣を着た夜のお祭りは、どんなに楽しくても、お盆や、送り火などを連想させます。
賑やかで楽しいけれど、それだけじゃない。
日本だなあ、と、思います。
