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(仙台) オルガンの物理

仙台に出張してきている。
東北大に物理学会の会場に適した大きな教室がなかくなってしまったので(←震災後に建て直した)、
東北学院大のキャンパスを借りている。

東北学院大学はミッションスクールで、三つのキャンパスのそれぞれに礼拝堂があり、
それぞれにパイプオルガンが置かれている。

昼休み、オルガンのミニコンサートがあった。

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演奏者は、この大学の教授で、今井奈緒子先生という方だ。
演奏はバッハずくしで、演奏の良し悪しは私には判断しきれないが、
そのあとにパイプオルガンを見に行った物理学者たちに、実に見事に、オルガン構造の解説をしてくださった。

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倍音、和音、音色の変わる様子を、実演しながら示してくれる。
ストップノブを動かすと、鍵盤をひとつしか押していないのに和音が出るようになったり、
オルガンの音だったのがトランペットのような音質が変わったり。
知らないことばかりで、とても面白かった。

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パイプオルガンのパイプには、発音原理がリコーダーと同じフルー管と
内部に金属性のリードが入ったリード管があることや、
気温の変化で双方の音のずれ方が変わるので、リード管のほうを調整して調音するとか、
パイプの材質は錫と鉛の合金で、要はハンダ付けに使うハンダと同じなのだけど、
溶接時の熱伝導がどうだこうだとか……
物理学者たちの質問に、われわれが理解する言葉で回答してくれた。

楽家物理屋の質問に答えないことは多い。
人間の体も、楽器も、物理学に従っているのだから、
原理を考えるのは悪くないと思うのだが、
物理法則や原理のその上にある精神教育や芸術性を追求している意識があるのか、
物理学を基礎的なこと、当たり前のことと馬鹿にする。

ところが、今井教授の話はとても面白く、しかも物理や工学にも精通もしているようで、
工学部と協力して、オルガンの論文を書くこともあるのだそうだ。
教会の宗教音楽から、オルガンは開発されていったのだし、大学も教会に付随して発生していったのだから、
楽器を科学するのは当たり前だし、相性がいいはずだ、と言う。

ええ、すごく面白かったです。
それに、見上げる錫銅合金のパイプは、ステンドグラスと張り合うくらい、美しかったです。

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そうそう、この今井教授、
名探偵コナンの「戦慄の楽譜」 のパイプオルガン監修をなさったそうで、
実際の指の動きを撮影し、音に合わせた指の動きのアニメを作っていて、
演奏したのも教え子(?ご友人だったかな?)だとか。
でも、物語のオルガンが作られたと設定された時代と、鍵盤サイズ(長さ)があっていなかったので
直すべきだと抗議なさったそうだ。
オルガンの歴史も面白いものなのだなあ、と、これも感激した。

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(写真はいただいたパンフレット)