ブログ引越し検討中 (仮住まい)

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まだ十分じゃない

急な雨が降る。土砂降りになる。
息子は今日は傘を持っていたかしら、濡れていないかしら、と、思う。

5時52分に震度5、5時 57分、 6時2分、6時4分、6時9分、6時14分に震度3……
熊本地方の人は、地震酔いどころではないだろう。
部下の一人に九州出身の人がいて、奥様の実家がまさに震源の近くなのだそうだ。
無事であることは確認したそうだ。電気は来ているけれど、水が出ないという。
心配だけれど、飛行機は飛ばないし、今行っても迷惑になるだけだから、と、電話も控えている。

つくば駅でちょうど落雷があって、エスカレーターが止まった。
瞬間停電の後、照明は点いたが、エスカレーターは何か不具合があって動かなかくなった。
エレベーターは止まっているときだったので、トラブルはなさそうだった。でも動かない。
人が閉じ込められたりしなくてよかったが、それは偶然ラッキーだっただけ、だろう。

今朝、ジャーナリストでもある柴田哲孝の小説 『漂流者たち』 を読んだ。

前作、『国境の雪』は、日中韓とロシアの政治攻防の話で、
実際の出来事とリンクしてはいたけれど、自分でそれほど詳しい分野ではなかったので、
小説家の筆力にただ、感心するばかりで読み終わってしまったが、
今回の 『漂流者たち』 は、東日本大震災と、原発事故、放射能症である白血病の話だ。

原子力反対派だった代議士が、推進派に寝返り、
そのための裏金と、そのための殺人が―――という話だった。
小説の進行上の都合もあるとは思うのだが、六ヶ所村原子力施設について、
反対派がいたのに、金の力で抑え込まれてしまって、いまや反対する人はいない、という風に描かれていた。

確かに、六ヶ所村の人々の平均年収は1000万を超えていて、
それは原子力産業のお金が流れているからに他ならない。
だが、そればかりでないことを、青森の住人たちから聞いている。
青森の動燃の人には、福島原発の装置、セキュリティと事故対策が信じがたいほど遅れていたことを聞いた。
青森の大学(原子力関係でない学部)からは、福島の避難訓練や通常の講習会などの少なさを聞いた。
何よりも、福島の原子力施設と住人たちの信頼関係のなさに驚いた、と聞いた。
そして、「我々はそうではない」、と、彼らは言う。

原子力関係の学部の教授の多くが、リタイアした後、青森に招かれて講演を行っている。
原研や動燃に高額で雇われているわけではないそうだが、
県や市に招かれて、子供向けの、一般市民向けの講演を行うらしい。
最先端である必要はない、ゆっくり、正確に、知識を積み上げさせてくれ、という要求だという。
昼間の時間のある先生がいい、じっくり向き合ってくれる人がいい、だから、リタイアした我々が呼ばれる、という。
危険性と安全性の双方を講演しているだろうことは、普段の彼らの行動を見ればわかる。


研究者の良いところでもあり、悪いところでもあると思うのだが、
研究者のほとんどは、原発推進派でも反対派でもない。
ただ、危険率や被爆の確率、被爆した場合のがんの発症率などの情報をもち、計算するだけだ。
発症率0.1パーセントや、0.01パーセントを、危険と思うか安全と思うかは、
個人の考え方によるので、答えようがない、と、思ってしまう。
同様に、想定外の災害で事故が起きたと聞けば、想定が間違っていたのだ、と、思う。
  (そもそも、確率○○パーセント以上の安全性を基準にしてくれといわれて設計することはあっても、
   科学者にとって「想定」の「限界」数値などありえないのだ。)

研究者は、だから安全とか危険とかの言葉は使わない(使えない)。
放射線とはこういうものである、こうなったときにはこう対処する、普段から心がけることはこういうことである、
と、理解を促すために、講演を行う。
理解が安心につながるのかどうか、それは知ったことではないが、
たぶん理解が安心につながり、いざというときの行動を知ることが安全につながると思う自治体が、
研究者たちを呼び、講演させているんだろう、と、思う。



九州には活断層がたくさん走っている。

国土地理院活断層マップを公表しているし、
地震を予測し、その大きさに打ち勝つだけの強度で建築物を作られているし、
日本の建築法は、細かにその基準を設定している。(国交省の書き物って、もともとわかりにくいんだけども)
原子力施設としての耐震基準などが法律で明確に定められていないのも問題かもしれない。
数が少ないから、数値としての設定がされていなくて、観念的で実にわかりにくい言い回しになる。

東日本の震災の後、それまで積み上げてきたデータがいったん無意味になって、
その測り直しなり、修正をしなければならなくなっているのだと思うのだが、
震災前のレベルまで、測定が進んだかどうか、定かではない。
防災研究所地震研究所も、注意深く、詳細なデータを公表する様になったが、
データが詳細すぎて、昔よりわかりにくくなった気がする。


鹿児島には、九州電力川内原発1、2号機が動いている。
あんなに活断層だらけの上に、原発があっていいのだろうか?


確かに、耐震基準は満たしているのだろうし、それを言うなら福島プラントだって、
地震だけなら何も壊れなかった。
現在彼らが安全だと思う基準となっている 『想定』 は、正しいのだろうか?
想定をきちんと議論したことはあるのだろうか?

材料強度計算や、建築学は研究として十分進んでいると思う。だって、実験できるから。
でも、その強度計算の根拠となる、地震の震度、捩れ変位などは、十分研究されているのだろうか?
十分ではないのではないか、と、思う。
だから、安心・安全のネタがない。理解しておくべき情報が十分ではない気がする。




お前は原子力推進派か、反対派かと問われれば、
自分は推進派だと思う。


地球の資源は十分ではなく、現時点では原子力発電は
(安全さえ満たせれば)割のいいエネルギー確保法だと思う。
自然の猛威には太刀打ちできなくても、核は飼いならすもの、と、思っている。

人間は、雷ひとつ止められない。
だが、バックアップ電源を作ることはできるし、
雨には傘、豪雨ならば屋内に入り、竜巻にも地下室を作ることができる。
雨が降るかもしれない、雷が落ちるかもしれない、竜巻が来るかもしれない、
それを知っていれば、対処ができる。

でも、日本で、活断層の上で、火山の近くで、
原発を動かすのはまだ早い気がする。


心配だからではない、
心配を判断する情報が不十分で、
必要とされる措置を行えていると思えないから
だ。



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