ブログ引越し検討中 (仮住まい)

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空気が凍った

このところ、電車の中で小説を読んでいないので、
電車話題がたくさんあって、でも、今朝のツッコミ所には入れられなかった分。

どの書庫に入れていいかわからないけど、一応通勤途中だから、仕事関連にでもしておこうか。


高齢者の一団が乗っていた武蔵野線の車両に、
1歳以下と思われる赤ちゃんを、抱っこ紐で抱っこして、
いかにも赤ちゃん連れの人が持つような大きなバッグを持った男性が乗り込んできた。

なぜか知らないが、高齢者団体は、赤ん坊を手で触ろうとするか、
赤ん坊を連れている人を攻撃するか、の二択になる場合が多い。

夕刻の場合は、特に、妊婦や若い母親をいじめるパターンが多い気がする。
 (その点、一般的に口うるさいおばさん世代は、口うるさいなりに育児の記憶がまだ残っているのか、
 妊婦たちには意外に優しい。「赤ちゃんいるならちゃんと座らなきゃダメでしょ」 という方向性である)


さて、赤ちゃん連れが男性だったらどうなのかな、と、眺めていた。

案の定、爺さんがちょっかいを出した。

 「昔は、赤ん坊は母親が抱いてるもんだったけどねえ」
 「ほら、今のお父さんたちは、お嫁さんの言いなりだから」
 「まったく、もう、あんた、だらしないと思わないのか」

赤ちゃんは寝ていた。男性もはじめは、聞こえても無視していたんだと思う。でも、

 「聞こえないのか、あんたも男なら、その辺はしっかり……」 と、爺さんは直接話しかけた。


        「母親は、死んだんだから、しょうがないでしょう?」


決して感情的ではない、低めでよく通る、でも、冷ややかな声が答えた。


車両中、凍りついた。 老人たちも黙った。
だがそこで、老人が謝罪すればまだこんなに気分は悪くならなかっただろう。

だが、老人は、ちっ と、高らかに舌打ちした。
それから縁起悪いものを見るように、さげすむように男性を見て、背を向けた。
男性は何も言わなかった、老人を軽蔑しきっていたんだと思う。


私は老人たちを、黙って眺めていた。
他の乗客も、冷たい目で眺めていた。
何かひとことでもこっちに言ってきたら、5倍返し10倍返しくらいに言い返してやろう、と、
罵りの言葉をリストアップしていたのは、たぶん私だけじゃなかったろう。


爺さんが3人、婆さんが2人、その誰一人として、男性に謝罪しなかったんだ。
これが、日本(正確には千葉)の老人だ。