いったい何なのよ【1】 文字の災い
読書が好きだ。小説も、学術書も、漫画も読む。
自分でもいろいろと書き物をする。論文も教科書も週刊誌記事も、ブログも書く。
学術誌の編集作業もする。日本語でも、英語でも。
文字にとらわれているんじゃないかとも思うが、たいていの研究者はそんなもんだ。
さて、編集作業でトラブルがあった。
●話は少し前に遡る(←少しといっても、私の知らない数年前)●
某大学の名誉教授が、超長編(100ページ弱(?))の解説文(日本語)を投稿してきた。
解説の文章ではあるが、研究や装置開発の歴史のような、読み物的な面も含んでいて、
最新トピックを数ページにまとめる月間学術誌には、
分量的にも内容的にもそぐわないものだった。
いったんリジェクト(掲載拒絶)して、
「月刊誌である学術学会誌ではなく、学会からの電子書籍として出版してはいかがですか?」と提案したそうだ。
●その少し後(←私が編集業務を手伝うようになってから)●
某大学教授から、電話があって、
「あの先生の原稿はいつ掲載されるんだ?」と、尋ねられた。
「分量とテーマが合わないから、リジェクトしましたそうですよ?」
「いや、いい論文なんだから、ぜひ掲載しなさいよ」
「記録を見る限り何回か編集会議で検討して、いずれも内容・分量理由でNOだったようです。
全文掲載すると、3ヶ月くらいあの先生の原稿で埋まっちゃいますし」
「そこを何とか頼むよ」
「先生が学会長を説得してくだされば、どうにかなるんじゃないかと思います」
*学会長は堅物で変人で人望がないので、けんもほろろだったようだが、
分量を大幅に減らすことにし、掲載可能な解説にすることに決まったようだ。
センセ、がんばったのね。
●そして一週間ほど前●
編集事務局のさんに、某大学名誉教授から、怒りのメールが届いた。
曰く 「何で何ヶ月もまったく連絡がないんだ! せっかく書き直したのにふざけている!
編集委員の自己満足のための学会誌編纂ならやめろ……云々かんぬん悪口雑言」
「ええええ…… 何? 何を投稿されてたの?」
一応、機械的に、 「■月号に入れるためには、8月末までに投稿していただかないと……」 と、リプライ。
再びバーニング 「何をわけのわからないことを言っているんだ! 既に編集に送ってあるだろう!」
(という内容のメールのようだが、句点がなく誤字と変換ミスがあるので、わかりにくい。)
今日びの学会誌への投稿原稿はweb投稿が基本なんだけど、
どうやらその先生、実際の原稿を、「奥様」に「メールに添付して」送ってもらったらしい。
もちろん、編集事務局ではどれだけ探しても見つからない。
もしやと思って、web投稿システムもひっくり返して履歴を調べてみたけど、見つからない。
穏やかで、人格者な編集事務局員が
「大変失礼いたしました。こちらには届いていないので、恐れ入りますが、再投稿していただけますか?」
「けちからん」 ←怒りのあまりなのか、ミスタイプなのか妙にかわいい。
ぶつぶつ言いながらも原稿は投稿はしてきたようだが、まだ怒ってんな~
わけわかんねーよ、もう。
明日は、先だってごり押ししようとしていた教授に会うから、
先生が変にへそ曲げないよう、フォローしておいてくれ、って、頼んでおこう。
「私たち下っ端が言ってもご機嫌は治らないと思うので、
親しくされてらした先生か、人望がなくて変人の学会長にお願いしようと思います」
とでも伝えれば、あわてて連絡してくれることでしょう。
あ、念のために言っておくと、名誉教授の書かれた解説、面白かったです。
分量が多すぎて、投稿先の雑誌の記事内容と、合わなかっただけなんだけどなあ。
投稿の仕方が違っただけなんだけどなあ。
その辺がわからなくて、ついでに回答を待てなくて、怒り始めちゃっただけだと思うんだけどなあ。
まったく、おじい様教授たち、なんだかなあ――――です。
自分でもいろいろと書き物をする。論文も教科書も週刊誌記事も、ブログも書く。
学術誌の編集作業もする。日本語でも、英語でも。
文字にとらわれているんじゃないかとも思うが、たいていの研究者はそんなもんだ。
さて、編集作業でトラブルがあった。
●話は少し前に遡る(←少しといっても、私の知らない数年前)●
某大学の名誉教授が、超長編(100ページ弱(?))の解説文(日本語)を投稿してきた。
解説の文章ではあるが、研究や装置開発の歴史のような、読み物的な面も含んでいて、
最新トピックを数ページにまとめる月間学術誌には、
分量的にも内容的にもそぐわないものだった。
いったんリジェクト(掲載拒絶)して、
「月刊誌である学術学会誌ではなく、学会からの電子書籍として出版してはいかがですか?」と提案したそうだ。
●その少し後(←私が編集業務を手伝うようになってから)●
某大学教授から、電話があって、
「あの先生の原稿はいつ掲載されるんだ?」と、尋ねられた。
「分量とテーマが合わないから、リジェクトしましたそうですよ?」
「いや、いい論文なんだから、ぜひ掲載しなさいよ」
「記録を見る限り何回か編集会議で検討して、いずれも内容・分量理由でNOだったようです。
全文掲載すると、3ヶ月くらいあの先生の原稿で埋まっちゃいますし」
「そこを何とか頼むよ」
「先生が学会長を説得してくだされば、どうにかなるんじゃないかと思います」
*学会長は堅物
分量を大幅に減らすことにし、掲載可能な解説にすることに決まったようだ。
センセ、がんばったのね。
●そして一週間ほど前●
編集事務局のさんに、某大学名誉教授から、怒りのメールが届いた。
曰く 「何で何ヶ月もまったく連絡がないんだ! せっかく書き直したのにふざけている!
編集委員の自己満足のための学会誌編纂ならやめろ……云々かんぬん悪口雑言」
「ええええ…… 何? 何を投稿されてたの?」
一応、機械的に、 「■月号に入れるためには、8月末までに投稿していただかないと……」 と、リプライ。
再びバーニング 「何をわけのわからないことを言っているんだ! 既に編集に送ってあるだろう!」
(という内容のメールのようだが、句点がなく誤字と変換ミスがあるので、わかりにくい。)
今日びの学会誌への投稿原稿はweb投稿が基本なんだけど、
どうやらその先生、実際の原稿を、「奥様」に「メールに添付して」送ってもらったらしい。
もちろん、編集事務局ではどれだけ探しても見つからない。
もしやと思って、web投稿システムもひっくり返して履歴を調べてみたけど、見つからない。
穏やかで、人格者な編集事務局員が
「大変失礼いたしました。こちらには届いていないので、恐れ入りますが、再投稿していただけますか?」
「けちからん」 ←怒りのあまりなのか、ミスタイプなのか妙にかわいい。
ぶつぶつ言いながらも原稿は投稿はしてきたようだが、まだ怒ってんな~
わけわかんねーよ、もう。
明日は、先だってごり押ししようとしていた教授に会うから、
先生が変にへそ曲げないよう、フォローしておいてくれ、って、頼んでおこう。
「私たち下っ端が言ってもご機嫌は治らないと思うので、
親しくされてらした先生か、
とでも伝えれば、あわてて連絡してくれることでしょう。
あ、念のために言っておくと、名誉教授の書かれた解説、面白かったです。
分量が多すぎて、投稿先の雑誌の記事内容と、合わなかっただけなんだけどなあ。
投稿の仕方が違っただけなんだけどなあ。
その辺がわからなくて、ついでに回答を待てなくて、怒り始めちゃっただけだと思うんだけどなあ。
まったく、おじい様教授たち、なんだかなあ――――です。