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読書録『レオナルドの扉』

角川文庫 真保裕一 『レオナルドの扉』 一気に読了。

真保裕一の小説が好きだ。

オタクとしか思えないようなマニアックな専門職の知識の羅列と、
丁寧で矛盾のない物語運びが、映画のようにヴィジュアルで、かつエンターテイメントだと思う。
楮三椏を植えるところから偽札作りを始める 『奪取』 とか、
テロリストと戦うというよりも、雪と戦っている 『ホワイトアウト』 とか。
『連鎖』も『震源』も好き。
震源か連鎖のどちらかを初めて読んだとき、
マニアックで本格推理っぽく難解なくせに、ストーリーはトリックメインでなくエンターテイメント、
だから誰にヒットさせようとして書かれているのかわからなかった。
本格人口は落ち始めていたころだし、そもそも人数少ないし、だから万人ウケするとは思わなかった。
アニメの脚本家だといわれれば、ああ、そうなのか、とも思う。
取材マニアで、その内容を全部使いたい様子も、
建物を建てるような、骨格と肉付きがはっきりした構成も、納得できた。

ただ、『誘拐の果実』『奇跡の人』『繋がれた明日』という(私的には) “どハズレ三部作” もあるので、
この人の小説も油断ならないといえば油断ならないが、
『ダイスを転がせ』も、『灰色の北壁』も悪くなかった。
――――――――――――――

前置きが長くなったが、そういうわけで、『レオナルドの扉』 だ。
アニメっぽい表紙のせいもあるが、少年漫画っぽい設定と、少年漫画っぽいキャラクターで、
昭和から平成初期の、ストレートなアニメ原作として読んでしまった。
もう、広川太一郎のナレーションが聞こえそう。

   腕利きの時計職人ジャンは突如侵攻してきたフランス軍に幼いころ失踪した父のことを話せと脅される。
   祖父によると父はレオナルド・ダ・ヴィンチが遺した秘密のノートの行方を知るという。
   仏皇帝ナポレオンは戦争に利用しようとノートを狙っているのだ。謎の修道女に助けられたが彼女にも企みが。
   ジャンは知恵と勇気を胸に、隠された数々の仕掛けに挑み、強大な敵に立ち向かう!
   実在の手稿が題材の手に汗握る歴史冒険小説。  (Bookデータベースよりあらすじ

そのとおりなんだけどね……
宝探しも、気球や飛行艇の設計も、天才のダビンチの子孫って設定も、
しかも男の子と、その親友と、女の子と、おじいさんに、飼い犬、って言うもう鉄板のキャラ達。
アニメだなあ……、海外が舞台になっていても、日本人的に鼻が小さくて目の大きい子供たちが走っていそう。

中学生の息子に薦めてみたい本でした。

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まあ、この表紙がすべてを物語ってる気もするんだけどね。
ただ、ほんとは、犬は黒いんだよ……