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映画鑑賞録 (裏記事) 『Baby Mama』

さて、映画鑑賞録 『Baby Mama』 の続き。ここからは鍵記事。

キャリアパスだの、女性研究者支援だののセミナーに参加しているとよく会うのだが、
私と同じ世代で仕事をフルタイムでやっている人は、
半数 (研究所の外に出れば半数以上か?) は、子どもがいない。
我が研究所は、比較的女性研究者の結婚、出産率が高いが、
大学に働く女性たちなどでは結婚していない人もかなりいる。

私は同じ業界が長いのと、同じような仕事の忙しさだということで、
子どもがいないけれど本心を話してくれるようになった女性研究者の友達がいる。

 #一般的に女性は、自分の知らない知識を知りたいと思うより同じ境遇で同意し合うのが好きだから
 #同じような環境の人同士が仲良くなる場合が多い。
 #子持ちは子持ち、仕事を持ってる人は仕事を持ってる人、
 #夫の職業や、経済状態までそろえる傾向がある。

 #だから異境遇で話せる私の友人たちは、とても心が広く、偏見がない人たちだと思うのだ。
 #遊べる時間帯も違うから、話し合う時間がない人たちがいても、仕方ないこともあるけどね。


私は子供や家族に煩わされることなく研究に没頭できる彼女らを、羨ましく思う。
「研究の時間はここまで」 と、後ろ髪を引かれるように帰国する私を見ているから、
私の羨ましいという言葉が、口だけのお世辞や嫌味などではないことを、彼女は理解しているのだろう。

だから、彼女も口にする。
あの時、結婚しておけばよかった。子どもを産んでいればよかった。
だけどもう、タイムリミット。仮に結婚相手を見つけても、出産にはハイリスク。

 彼女は言う、「貴女ができたなら、私も両立できたはずだ。どうして踏み切れなかったんだろう?」

私もそう思う。私にできたんだから、きっと、その気になれば誰でも両立できたんだ。



あるシンポジウムで、彼女は、高齢出産のハイリスクについて質問をした。

出産してもちゃんと仕事を続けるべきだ、女は男と同等以上の研究能力がある、
人類にとって子育ては男女両方に必要なことなのだから、男も〇〇民族のように育児に手を出すべきだ。
そんなことを主張する女医や、生物研究者のいる席で、彼女はストレートに聞いた。

彼女の質問は浮きまくっていた。

 「年齢が高くなると、ハイリスクになるのだから、教授職の女性の産休を取りやすくするよりも、
  早いうちに子どもを産めるような支援システムを作るべきではないのか」 と。

たしかに、セミナーの趣旨とは違う質問だった。
でも、大学院生の女の子や、若いポスドクがたくさんいる席で、質問をした彼女の意図はよくわかった。

だけど、バーさん教授たち、総攻撃。いや、攻撃ではない、

  「ハイリスクなど、その年齢で出産している人が少ないから
               パーセンテージ的に上がるのであって、数としてはあーだこーだ」
  「高齢での出産は、若いうちより親に余裕があるから良いものだのなんだの」


バカじゃないのか? 統計や確率をなんだと思ってる?、それでも科学者のつもりか?

高齢になれば、絶対的に妊娠の確率は下がるし、リスク児は多いんだよ。
じゃなかったら、なぜ、年齢とともに妊婦健診での検査項目が増えるのさ?

高齢の方が余裕がある? 
仕事してたら、年々忙しくなってるだろ? あんたらがそれを知らないわけないだろ?

挙手して、バーさん教授の意見をかろうじて尊重しつつ、彼女を擁護する発言をしてみせる。
中国人研究者の話、博士課程の学生のうちの、若い卵子と、
産んでから親元に預けて経験のある親に育ててもらうメリット。
親へもシッター料金などを払う、中国の習慣とシステム。
すべてがうまくいっているわけではないし、彼女たちからも子どもと暮らせない苦悩を聞くけれど
中国人女性たちは、実によくやってる。
若いうちの卵子を保存しておくのもいいよね、バイオ系の研究者の人、頑張ってくださいよ。

その場にいる、多くの研究者を笑わせる。まぜっかえす。正攻法ではないが、
性悪と言うよりは善意あふれる婆さん(正し独善的)から、彼女をかばうにはそれしかできない。



今、子育てしながら働く女性を支援してくれる人たちは多い。だが、そんなのは単なる流行だ。
事実を曲げて、いつになっても子どもを産むのはいいものよ、だから仕事を持ってても生みましょうね、では、
説得力もないし、だまされた女性が不幸だ。

だけど、この現在の女性保護の流行は、そういうバーさんたちが仕切っている。



セミナーが終わって、彼女は私に手を振った。
久しぶりに会った昼時の話題は、最近の研究の話、新しい職場の話。 
             とても、デリケートな人なのだよね........

    こういったシンポジウムには、仕事だから出席している。
    セミコンや高分子やバイオミメティクスのようにワクワクはしない。
    だけど、私は彼女が好きだ。


日本で 『Baby Mama』 みたいな映画が受け入れられるのはいつだろう?
ちゃんと現実を見据えて、女性の生き方を認めてもらえるのはいつだろう?
いつになったら、邪魔する人がいなくなるのだろう?

そろそろ飛行機が日本につく。
さて、帰りがけに、チビをお迎えに行こう。
報告書は、子どもが眠ってからだ。
       (帰国途中の飛行機の中で書いたものです)