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読書録 『うそうそ』

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久々に読書録。
新潮文庫 畠中恵 『うそうそ』 読了
妖怪と病弱な若旦那のお江戸推理物語 しゃばけシリーズ (勝手に命名) の続きです。

   これが、前の記事  http://blogs.yahoo.co.jp/green_zebra_2008/11279194.html

おふざけ&お笑い部分の掛け合いと、少し考え込ませる部分の共存は、小説としてうまいなあ、と思う。

シリーズ物は何作か続くと、キャラクター達のセリフまわしや性格、背景をわかった上で
ストーリーが展開されるので、
細かい説明でリズムが削がれることもなく、調子がいい。
その一方で、キャラクターの性格が安定してくると、バカバカしい掛け合いも許される雰囲気になって、
(そればかりになると) 小説としてうんざりする出来になってしまうこともある。

初めのころはよかったのに、赤川次郎氏の三毛猫ホームズシリーズなど、
初期の面白さはなくなってしまった、と、個人的には思う。

しゃばけシリーズの『うそうそ』も、一瞬、そうなってしまうかな、と懸念して読み始めたが、
いつものキャラクターたちが離れていたせいで、今回はセーフ。
そのかわり、主人公格の手代二人はどっちがどーでもいいような感じになってた(笑) 
ま、そのへんは今回のストリーなら仕方ないかも。


以下、ネタばれ注意。

普通に楽しかったです。

自分の保身と眼先の目的達成しか考えない、公務員的思考を持つ武士が二人出てきて、
まるで不祥事のしっぽ切りのように、友人を切り捨てる所業を繰り返すなど、
現代のお役所を見ているようで、苦笑しつつ、
どーしてこいつらこうなんだろう? と、やりきれない思いもよぎりました。

成功するかどうかもわからない、調査も熟考もされていない思いつきに、
それが唯一のものとばかりすがって、
水門を封じている朝顔を奪うことで、天変地異が起き、
多くの人々が亡くなってもやむを得ないとまで考えてしまう.....
しかもそれが自分達の藩の守るの崇高な使命だからと考えて、
恥入りもしないどころか胸を張っている。
ああ、これって、日本の官僚の姿かもなあ、と思うわけです。

かたや、自分の力をコントロールできない (自分がやっていることを知らない) 幼い神様が出てきて、
情緒不安定になるたびに、噴火やら、地殻変動を起こす。
いっそ情緒不安定のネタの人物 (こじ付け的に、これが主人公の若旦那) を抹殺してしまえ、と、
神様のお守役の天狗たちが若旦那に襲いかかる。

いずれの立場にも、守りたいものがあり、それぞれにおいて明確な悪意はない。
公務員的バカの武士はいるものの、彼らにしても藩が大事という使命感であることに変わりはない。
というわけで、ハッピーエンドではあるものの、少し空しい。

脱サラ(違うだろw)して、ホームレスにまで落ちて(だから違うだろw)
その後に独自の価値観で生きることを選んだ雲助は、唯一の希望なのかな。

なお、今回は家鳴達が大活躍する。
一匹欲しいな~(笑) と思いつつ、そういえばずーーーーーーーーーっと昔の大学生の頃、
座敷わらしの絵を描いていたことがあって、
家鳴の出てくるシーンはそのイメージだったのに気づいた。
ワシャワシャ増えて(私の座敷わらしは、集まったり増殖したりした)主人公の周りを駆けまわるのも
家鳴とちょうど同じだったから、ダブルイメージになっていたのかもしれない。

昔の原稿(&本)を探してみようかと思ったけれど、見つかるはずもなく、
まだ描けるかなあ、と思って久々に鉛筆を持ってはみたが見る影もない(苦笑)
たまにコメントをくれるGale君たち、よく描いてるよなあ..... すごいなぁ.......

トップの写真は、チビの保育園に飾ってあった、どんぐりトトロです。
あまり関係ないけれど、小さな神様が、どんぐりを投げるシーンがあったので。