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映画鑑賞録  『僕らはみんな生きている』

前の記事へのコメントに、原作つきの映画についての話が多かったので、
ふと思い出した映画を 記事にしてみる。

観たのもずいぶん前だから、もしかすると印象が変わっているかもしれないが....
これが映画のストーリー。
   http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id87936/
レビューを見ると……
日本のビジネスマンの強さとか、クーデターが起きた国のリアリティだとか、そんな感想が多いのだが、
…………………連載中の原作を毎週、読んでいたのだよ、私は。

『僕らはみんな生きている』 1992からビッグコミックスピリッツに連載された、山本直樹の漫画。

山本直樹というのは、有害コミック指定を片っ端から受けているこういう人である。
   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E7%9B%B4%E6%A8%B9
wikiから拾うと、
大胆な性描写とシャープな演出センスで問題作を発表しつづける。
愛とセックスに溺れる弱い人間たちが織り成す悲哀を過激に、シニカルに、
そしてややユーモラスに描く。

そう、ユーモラスなのだ。
ユーモラスというより、時々思いきりブラック。
クーデターもテロも、処刑シーンですら、笑いを誘う画面を混ぜて描く。笑いは冷笑だったりする。

長期海外出張中の主人公の恋人は、日本で罪悪感なく浮気しまくってるし、
主人公も、脳の解けるような暑さの現地で、平然とメイドに手を出す。
貪欲に生きているだけで、感情のないようなメイドは、
何年か前のクーデターで、目の前で家族を殺された、元お嬢様だ。
でも、目の前で生きることだけに専念しているように描かれている。

悪意のない人々が、平然と盗みをしたり、人を騙したり、それを貧しいから許される国。
許さない人々に、殴られても、迫害されても、それはそれで仕方ないと言って引き下がる。
現地の人と、駐在している先進国の人々が平等でない国。
現地人たちは、たとえ信頼されて良い給料を支払われていても、
主人の留守中に家中のものを持ち出して売りさばいたりする。
共通の論理さえないように見える。
現地人は現地人でたくましく生きている。まさにこの歌の、螻蛄やアメンボウのように。

………シャレではないのだ。
現実のものを極端に描いているだけで、熱気とか、論理のずれとか、
雨季、乾季、不衛生な熱気と、良くわからない地元の病気も、
東南アジアに海外赴任歴のある家族なら、たいていは知っているものだ。
それをこの漫画は、ユーモラスでブラックに、かわいい絵柄で描いている。

後半、メイドがクーデターにかかわっていることとか、
主人公たちが、ブチ切れて行動を起こすところとか、
そう言う風になってくると、少しほっとしたくらいだ。


で、まあ、そう言うわけで、原作をしっかり読んでて、
原作の不思議な終わり方も納得できる気がしたりもしたんだけど、
映画は、ええ、と

      そのメイド役、セーナが その名前のまま、男になってた orz

その時点で、半分以上内容が変わっちゃうんだな。


それでもそれでも、映画はyahoo映画のレビューにもあったように、別物として面白かったです。
面白くなきゃ、覚えてもいなかっただろうし。