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(高知) 絵金蔵

雪、やんじゃいましたね、東京の東側は、ぜんぜん積りませんでした。

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さて、小説家の高橋克彦の話題が発端なのだが……
トリック>高橋克彦>浮世絵収集>残酷絵>絵金 というわけで、
以前 (2006年11月) 訪問した、高知の絵金蔵の記事。
 
弘瀬金蔵  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B5%E9%87%91

金蔵は幕府御用達の絵描きだったが、スキャンダルだか足の引っ張りにあったかで
地方に隠居し、そこで描いた絵が地元に残っていて、今でも結構な価値がある........
絵金蔵は弘瀬金蔵の高知に戻ってからの絵画を集めた美術館である。
2006年に訪問した時は、出来立て (?) だったと思う。

日本画も浮世絵もどういうものが価値があって、高価なのだか、私にはわからないのだが、
絵金 (絵師金蔵の略) の絵には、インパクトがある。
子どもが殺されていたり、腹や手足を切って流血沙汰になっていたり、処刑場の絵だったり、
ストレートな残酷絵が多いのだが、それよりも、
一見、楽しげに見える食事風景の向こうの襖の陰に、刃物を持った男が隠れていたり、
子どもに菓子を与える乳母の着物の裾に、髑髏が描かれていて彼女の心の奥を表していたり、
と、当時の事件や歌舞伎の物語の中に、社会批判や皮肉を込めていて、
性格の悪い画家だなあ(笑) と、思っていた。

とまあ、実際に絵を見る前に、画集を見ているとそんなものだったのだが........
絵金のトリックはそれだけではないのだ。

もともと、真昼間に太陽のもとで絵を見るならともかく、彼が作品を描いた当時の室内は薄暗い。
手灯りや提灯の明かりで見る限り、絵金の巨大な屏風絵の全貌を、同時に見ることはできない。
提燈を掲げ、絵の真ん中あたりを見る。
絵の中央は、鮮やかで豪華な和服の女がいたり、酒の席でだったり。
その美しさに、ほお....と、灯りを寄せ、女のまわりを見ようとすると、
女の足もとに血が流れてきていてぎょっとなる。
血の後を追うように、提燈を動かすと、宴のすぐ横で惨劇が広がっていたりするのだ。
さてはこれは、暗殺の成功を祝う宴だったのか。

当時の手法で、一枚の絵の中に、歌舞伎のストーリーを全部入れるというのがあったらしいのだが、
                     (あっちこっちに、同じ人が何度も出てくる)
絵金の選ぶ題材でそれをやるから、すさまじいことになっている。

彼の作品ばかりの絵金蔵は、そのあたりをよく心得ていて、
薄暗い部屋に並べられた屏風絵の前に、一人にひとつずつ提燈を渡され、送りだされる。

赤岡町で行われていた絵金祭りでは、街の道沿いに、夜になってから絵金の絵画を飾り、
それを蝋燭の明かりで見るという手法をとっているそうだ。
     [http://www.webkochi.net/kanko/sanpo32.php5]
                                  (写真の絵金祭りの様子は、絵金蔵のHPから)
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更新時期が違うのか、年々変わっているのか、絵金祭りに関してググると、情報が錯綜している。
現在は、美術館で提燈で見る絵も、祭りで路上に出す絵もレプリカで、
本物は美術館の中で、一時期に一枚づつしか公開しない.....と、聞いたような気がするのだが、
その辺は不明。 チャンスがあったら、本物を見てみたいような気もする。

なお、地方の美術館に行ったり、自治体のHPを見ると、
街おこしなのだかなんだか、余計なものまで売り込んでこられて、鼻につくことも多いのだが、
ここ、絵金蔵は比較的さっぱりしていた。 http://www.ekingura.com/


ちなみに、そのときの高知には研究会と高知工科大学への出張で、
金曜、土曜と週末にかかっていたので、当時小学校4年生だった娘を連れて行った。
娘は私が研究会に参加している間は、一人で路面電車に乗って高知城を見に行ったりしていたのだが、
電車の中で知らないおばさんに、「学校は?」 と聞かれて、
「今日は学校は記念日でお休みだから、ママと一緒に東京から来てる」、と答えたそうで、
後半はウソじゃないが、前半は真っ赤な嘘である。

   小学生未満は乗ってはいけない遊園地のコースターに、保育園のクラスみんなで行ったときに、
   「いくつ?」 と聞かれて、そろいもそろって 「小学1年生」 「2年生(←この子は背が高い)」
   と言っていただけはある。

叱られなかったよ、と、本人は意気揚々と報告してくれたが、
いずれもあまり褒められたものではない。

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さて、その娘、絵金蔵にも一緒に行ったのだが、
怖がりながらも、絵を一緒に見て、そのあと、絵に中ったのか鼻血を出して、ふら~っと倒れた。
図々しく見えて、そのくせなにもわからないように見えても、
子どもは感受性が強いのかもしれない、と、思った。
  (中学の受験勉強で、そのへんの感受性はすっ跳んで消えたように思うのだが、どうなんだろうか?)

介抱してくれた絵金蔵スタッフのみなさん、その節はありがとうございます。
実は、どなたがスタッフで、どなたがお客さんで、どなたがスタッフのお友達なのか
ぜんぜんわかりませんでした.................. orz

高知の皆さん、ありがとう。