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昔の読書録 Gavin Lyall " The wrong side of the sky "

読書録に入れてあるが、特に感想や書評というわけではないです。
飛行機小説を読んだおかげで、多感な子どもの頃 (?) に好きだった小説を思い出した。

Gavin Lyall " The wrong side of the sky "
英語のペーパーバックで読んだ飛行機小説だ (今となっては信じられないが、当時は英語の方が楽だった)。
荷物運びの Jack と、どこかの殿下のお抱え運転手 Ken が、大金を手にする話、 
と書くと、内容が歪んで解釈されてしまうかな。

しかし、Jack に Ken というポピュラーすぎる名前、そうそう、Miss Brown という人もいた。 
ライアルは英国人のはずなのだが、なんてベタな名前の主人公たちなのだろう。

アルコール中毒のKenの愛機はPiaggio、淡々と輸送機を飛ばすJackの愛機はDakotaである。
                                 両方とも拾い物画像です。

イメージ 1

http://www.p166.com/  
     :ピアジオ p166  今、ピアジオ社といったらべスパしか思い浮かばない
http://en.wikipedia.org/wiki/DC-3   
     :ダグラスDC3(愛称ダック)KLFでこの機を使っていたことがあるらしい



さて、小説の彼等はいずれも昔は名パイロットだが、現在はその飛行テクニックを使っていないし、
戦争中ではないから、自分のテクニックを生かせる仕事もない。
ただ、運転手や、貨物輸送などの仕事はある。
大金を手に入れるチャンスがあったら、手を出してもかまわないものだろうか?
自分のこれまでの生き方に反してはいないだろうか?
自分が今飛んでいる空は、間違った場所ではないだろうか?
爽やかではあるのだが、全体的にカラッと晴れた喪失感がある、と、当時の私は読んだ。

ずいぶんとませた子だったが、「ここは自分の居場所じゃない、自分は本当はこんな人間じゃない」
と、ずっと悩んでいる子供だった。ここでは、自分の力を出すこともできない、と。

KenもJackも、酔いつぶれているだけで、悲観しているのでも拗ねているのでもなく、
特にJackなど、信頼に足る、ちゃんとした会社経営者だ。
ライアルの初期小説の主人公たちのほとんどが、リタイアした「昔の(動乱中の)ヒーロー」で、
今の自分をもどかしく思いながら、平和な現代に甘んじているタイプだ。
現役のヒーローよりかっこ良く見えるので、映画などではこの手の主人公がやたら増えてしまった。
映画のランボーがそうだし、ボブ=リー=スワガーもそう。
セガールが演じたライバックだってそうだ。
で、平和の中で、ひとたびコトが起こると、彼らは本来の姿であるヒーローに戻る。
 
 
  私は、理解できてるくせに英語では会話してくれなくなった両親と、
  言葉の通じないクラスメートと、習慣の違う社会と、日本の重く低い空に辟易しながら、
  それでも自分はここにいるしかないのだと諦めていたのだと思う。

  現実は小説ではないから、私がヒーローに戻るような事件はない。
  小説の中の空の色は鮮やかで、雲の上の強い日差しは、南半球の日差しに重なった。

       帰りたい.... 帰りたい   ここは自分のいるところではない。


LとRはおろか、WとUの発音の区別もつかない英語教師に、繰り返し音読を聞かされ、
こともあろうに私が発音を直させられたりする。
「その発音じゃ誰にも通じないよ」 そう英語でつぶやいても、それすら聞きとってくれない。
他の生徒の口から、私が帰国子女であることが伝わったのちには、
オーストラリアの発音は悪いだのなんだのホザいたあげく、私を二度と指名しなくなった。

      ふんっ

中学校をサボり始めたのは、英語教師のせいだったかもしれない。

   #指導要領が変わって、小学生から英語教育が始まるようだが、
   #間違った発音を繰り返し聞かされるくらいなら、習わない方がいいと思う。 
   #成人してから1,2年留学したくらいじゃ、発音は直らんよ、先生。

制服の中学生がサボっていても見つかりにくいのは、イメージ 2
大病院の待合室だ。 
長い時間、座って本を読んでいても、違和感はない。
成形外科なら、なおいい。毎日通院してもおかしくない。
 
そして私はその後、Midnight Plus One という
名作中の名作に出会い、
ハードボイルド小説にはまり込むことになる。
ピットさんのカッスラーや、
スワガーシリーズのスティーブン=ハンターなど、
モロにその系統に繋がる小説である。
 
ただ、図書館や病院に洋書は置いていなかったし、
ペーパーバッグもそんなに手に入りやすくはなかったから、
そうやって漫画や小説を読んでいるうちに、
日本語も不自由なくなっていったのだが………


語学の占める割合が低い自然科学に出会って、
自分の居場所を見つけてからも、
飛行機好きと、小説好きは残った。

今もスクリーンセーバーはF22だ。