読書録 『狂言サイボーグ』
強風で電車が止まっていた時間に、読了。
著者にとっての教養とは、「生きていくために身につけるべき機能」のことである。
狂言師が舞台をつとめるための教養は「型」である。
その「型」を個性・経験でアレンジしながら使っていくことで表現になる。
Bookデータベースより。
ご本人は撫で肩で首が長くて、和服体型なのだろうが、
洋服を着た時と、和服を着た時で、それも和服の種類で、体の形も印象もがらりと変わる。
役(雷とか蟲とか)の形を作った身体が、腕が、肩が、ぴたりと動かない。
すげぇな、と、思っていた。
『のぼうの城』 も、主演した人だ。
原作とのギャップなのか、私の回りの人達の映画評は低かったが、
不思議と主演の野村萬斎については好評だった。
そりゃあ、あの人、顔まで含めて役になりきれるもん、と、心の中で思っていた。
普段エッセイは好まない私も、狂言の蘊蓄がふりまかれているせいか、とても面白く読むことが出来た。
文章が固いのに、読みやすい。
現代語、若者言葉を使っているのに、全体として受ける印象は、ちゃんと古典に外れるものではない。
著者本人の生き方と一致した様な文章だなあ、と思いながら読みました。
ちょっとお勧め。