読書録 『ココナットの実』 『あやかしの鼓』
携帯でフリーで読める中にあったので、短編を選んだのだが。
『ドグラ・マグラ』も、ピンとこなかったんだっけ、と、再認識しました。
『ココナットの実』 http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2107_14851.html <<全文読めます
幻想性の色濃い作風で知られる昭和初期の作家、夢野久作の短編小説。
粉砕された高利貸王・赤岩権六、全裸で射殺された美少女エラ子のコック兼従僕のインド人……。
号外新聞に踊る複雑怪奇な事件の数々――その鍵を握るのは美少女エラ子。その行方は?
そしてその正体とはいったい? (amazonの内容紹介)
きっと当時は画期的だったのだと思うし、退廃的な所が魅力だったのかもしれないと思います。
でも、読みにくい文体を苦労して読んだ割に、なんだかなあ、でした。
『あやかしの鼓』 http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/531_13345.html <<全文読めます
鼓作りの男が想い焦がれた女性へ、嫁ぐ時に贈った自作の鼓。その音色は尋常とは違い、皆を驚かせた。
それは恐ろしく陰気な、けれども静かな美しい音であった…。 (BOOKデータベースより)
まあ、この鼓の音を聞くと、早死にしちゃうとか不幸になるとかってことで、
封印されていたのに、持ち出してしまった人がいて………歴史は繰り返される、しかも関係者の子孫が。
みたいな、ありふれているといえばありふれているストーリー。 『魔笛』? なんてちょっと思った。
それでも、『ドグラ・マグラ』や『ココナットの実』よりずっとおもしろかったです。
読みにくいとは言ったものの、私は夢野作品をはじめとする、
樟脳の匂い(いや、古い和服のにおいというべきか)のするような文体が嫌いなわけではない。
聞き取るのが面倒、読み解くのが面倒だったら、お能なんて見れないしね。
夢野作品の持つ猥雑さが、ギリギリのところで合わないんだよな~ と、思う。
鼓と言えば、観世流の『綾鼓』も、性格の悪い女と、片思いをして恨みつらみの中で破滅した男の話だ。
鼓って、そういうイメージあるのかな?
よくわからないが、子供の頃に好きで、今は好きでもなんでもなくなった楽器の一つである。