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読書録  『水底の摩天楼』 他…安部公房・ラブクラフト・有栖川有栖 と 水

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  10年くらい前かな、オンラインの物書き同人に参加していた時、
  作中作品として水に沈む車の絵画を使った。(主人公が画家だったので)
  と、同時に、ラッセンやネルソンみたいな精密な海の絵に、車やビルなどの建造物が重なったら、
  さぞ奇麗な画像になるのではないかと、コラージュを試みたりもした。

  何のことはない、私の自己表現は文章より画像で具体化されるようだ。

  ランプさえ点いている沈んだばかりのタクシーを、イルカが覗きこんでいる……
  ビルを縫って魚群が泳ぎ、点滅する信号の上を交差する……
  成層圏目指して、空に上っていく泡 
  あるいは、夜空に浮かぶ海月

              (2月に撮影した東京タワーのコラ)
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近年、一番印象的だった小説は、短編集にあったものでも文芸誌にあったものでもなくて、
有栖川有栖 『作家の犯行現場』 という写真&旅行記&短編で構成されるエッセイの中にある。

推理小説の舞台となった土地を、写真と合わせてレポートしているこの本は、
取り上げている推理小説が好みのものだったのに加えて、
写真のインパクト、挿話のインパクトがとても強かった。
その中でも 『水底の摩天楼』 という9ページの短編がベストだ。

  「摩天楼の陰から、やがて飛行機のように鯨がのっそりと現れるだろう。
   ほら、きた。こっちにやってくる。
   そして、はち切れそうな腹を見せながら、俺の上を通り過ぎる。」

すごいなぁ....有栖川の言葉は鮮烈だ、と思う。
絵画以上の絵画のようだ。いや、動きがあるから映画なのか。

安部公房の『水中都市』にも好きなシーンがある。
今となっては、手元に本もないし、はっきりしたセリフを覚えていないが
登場人物が煙草をつけようとして付かず、指を宙にかざして

    「だいぶ水っぽくなってきたな」

水ではない。空気でもない。湿度150%の加飽和のアンビエントだ。


だんだんに、だんだんに魚になる……海中の緑色の巨石文明は、ラブクラフトだ。

頭の中に、水の底の古代都市が広がる。グリーンの巨石の間に魚。
クトゥルーの黒くて邪悪な魚ではなく、南の海の普通の魚。

                             (このくらいのほうがいいでしょうか)
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今日はお茶の水で会議でした。
     この街はときどき、水の匂いがします。

         だから今日のブログを書いているのかな? つまらんことを考えるのはよそう。  

条件反射的に 『 Lemon 』 に寄った。
描く時間などあるはずもないのに、筆や絵の具を選ぶ自分を、馬鹿だなぁ、と思う。

それでも、水色のインナーに黒とローズピンクのコート
研究会では目立つ姿が、並んだ画材や他の客たちにすんなり溶けて鏡に映って、
                               少し.... 嬉しかった。