読書録 『同期』

講談社文庫　『同期』　今野敏　読了

　　　「教えてくれ。おまえはいったい何者なんだ」　怒濤の長編!警察小説
　　　汚名を背負い姿を消した同期。組織の壁と謎。迷宮の闇の中、宇田川は友のため、闘う。
　　　警視庁捜査一課の宇田川は現場で発砲されるが、突然現れた公安所属の同期の蘇我に救われる。

　　　数日後、蘇我は懲戒免職となり消息不明に。宇田川は真相を探るが、調べるにつれ謎は深まる。

　　　"同期"は一体何者なのか? 組織の壁に抗い、友を救おうとする刑事の闘いの行方は!?

　　　今野敏警察小説の最高峰がここにある!　（amazonより内容紹介）

読み始めると止まらないので、一気読みしちゃうんだよな～　今野作品。
途中で降りられず、偉い勢いでストーリーに引き込まれるジェットコースタームービーと言う表現があるが、
今野作品の多くは、ジェットコースターだ。
次々事件が起こり、話が転がり、気がつくと引き込まれている。
　（正反対だったのが、このミスの『ブレイクスルー・トライアル』ね）

同期という、親しくもライバルであり、気になりつつも、友人のようでただの友人とも違うポジションを、
警察小説の中でうまく使っていると思う。
時々ドラマにあるような甘アマな関係でもないので、リアルだったと思う。
ドラマ向きだと思う。
"おっさん祭り"になると思うけど。

ただの刑事ものとも、官僚ものとも違う、今野作品でちょうどよい位置なのかもしれないが、
少し、スパイ者にするには風呂敷を広げすげた感じがあって、
冒頭の宇田川（主人公の刑事）の単純な新人っぽさと、後半の度胸や明晰さが似合わなかった。

とはいえ、この作品は目立つ突っ込みどころもなく、綺麗にまとまっていて面白かった。

まとまりすぎてて―――ちょっと物足りないかな