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読書録 『犬はどこだ』

創元推理文庫 米澤 穂信 『犬はどこだ』 読了

多分はじめて読む作家なのではないかと思う。
文章は適度に軽くわかりやすくて、内容は軽妙、でも、軽薄なわけではない。
いや、軽すぎて面白くないという人もいるかもしれないが、私は好きだ。

が、好きだからといって、全面賛成はできないのが、なんとなく新人っぽいこなれなさ、だった。

wikiを引用すれば、あらすじは、
―――犬探しを掲げて探偵事務所を開業した紺屋が、助手のハンペーと共に初依頼となる調査に取り組み、
   仕事を分業した紺屋とハンペーの一人称が交互に代わりながら進んでいき、
   それぞれの調査が交差していくことで真相の全体像を明らかにしていく構成となる―――

のだが、二つの依頼、他の探偵事務所のかかわり、キーとなる古文書、うまく混ざりきっていない。
うまくまとまりそうなのに、なんだか最後までちぐはぐで、ばらばらである。

チャット相手としてしか出てこないGENや、弟子(?)のハンペーが、
あるいは紺屋の妹がものすごく魅力的なだけに、非常に惜しい。
シリーズ第一作のような、各キャラの活躍を予定しているけどまだ書いてないような延長感もあるのだが、
それにしても、物足りなさが残る。


だが、この登場人物たちの軽さと冷静さと、その奥に抱えてる問題の染み出し方はいいなあ、と、思う。
ある程度以上の年齢の人からは、「現実はそんなもんじゃない」、といわれるかもしれないが、
----その意味でラノベジュブナイルに通じるものがあるのだが―――
私にとっては、この現実感のなさ、自分自身の突き放し方、投げやりさは、とてもリアルだ。


他人に勧めることはしないかもしれないが、この人のほかの作品も探したい、と、思う。