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美術と美学と科学

今日は会議出席をキャンセルして執筆活動をする。
教科書というか辞書的なものを作っているのだが、これがなかなかめんどくさい。
大学院生向けの専門書なら、一人か二人で書けるのであまりトラブルもないが、
学生向けの教科書は専門範囲が広いので、共著者が増え、すべての共著者とうまくいくわけでもない。
年齢とともに思い違いが多くなったり、横暴になる方もいて、いろいろと気を使わせられる。

ストレスたまるなあ……

そんなときは衝動買いである。いや、買わないまでも、きれいな物を見るのが好きだ。

で、この綺麗なものというのが、時として自分の専門の物理学にリンクしている。

宝石>>結晶>>構造解析、 

絵画>>名画のX線分析、 

壁画やミイラ>>年代測定、  

絵画>>教会>>建築の力学   いや、ノーベル賞受賞式のストックホルム市庁舎の天井は、本当に怖いのよ

和服>>テキスタイル>>色>>光の波長や発色性、透過性、経年劣化

ネイルアート>>ジェルネイル>>紫外線重合>>亀の甲羅       



気分転換に、ぱらぱらと目の保養。


オパールは大好きな石だけど、結晶構造としてはガラスに近くて、シンプル。そこに5~10%の水が入ってる。
(画像はコトバンクと、英国の博物館からの拾い物)

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オパールを核に真珠表面をカービングしたガラテアパールは、
この世のものとは思えないくらい美しいと思う。イメージ 3

これをなぜ、日本の養殖真珠会社が思いつかなかったのかと悩んだが、そーかそこが代理店になったか(笑)
宝飾業界も多分に漏れず姉妹企業や系列があるが、系列ごとにポリシーや主張がはっきりしているようで
(値段に関係なく天然真珠に拘ります、とか、カラー真珠には手を出しません、とか、薄利多売は目指さない、とか)
それをうれしく感じるのは、それぞれにポリシーを守るところに美しさを感じるからかな。



ガラス(二酸化ケイ素)も好きだ。美しい色と形を持つ工芸ガラスが好きだ。
ほんのわずかに入れた金属不純物が、ガラスの色と、輝きと、弾いた時の音を変える。

桜の花を一輪入れた、小さなフレスコ型ミニボトルのリキュール『櫻玉』、絶対にほしいと思っていた。
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探したのだが、その後しばらく見つからなかった。
見つけて惚れ込んだのが2010年、販売元の笹の川酒造は福島県の会社だった。
震災後には米の不買運動が起きていたし、風評被害は大変だったろうな。
さっき見つけて、また手に入ることを知った。  え?売り切れ?


ドイツのワインボトルもきれいなのがたくさんある。ブルーボトルとか、ヴァイオリン型のボトルとか。
グリーンのもきれいだ、モーゼルワインとか、ボックスボイテルになってるフランケンとか。
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ブルーボトルと、ヴァイオリン型のはきれいで捨てられなかったので、自宅のどこかに転がっているはず。


他にも、Blair Athol Whiskey の瓶なんて芸術的だけれど、
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デザイナーがデザインした限定品というのは、なんか違う。
どこのボトルも誰かがデザインしてるんだろうとは思うけど、
なんかね、もっと機能性とか価格とか、運びやすさとか、いろんなことを考えて工芸品はできてると思うんだ。



工芸品とは言えないが、日本のテキスタイルはきれいだな、と思う。

夏に知り合いの結婚式があるので、絽の着物を探しているのだが、なんだかんだと目移りする。
現在あるのは紺系の小紋白っぽい小紋と、娘に譲る約束の派手目の小紋だ。
絽の着物は小紋ばかりだから、気軽なパーティはよくても結婚披露宴はなあ。
ただ、着物が小紋なのに、どこから紛れ込んだのか絽の袋帯が家にあるこの矛盾。

訪問着と色無地だったら、どっちにしようと悩んだけれど、こちらのページを見て、色無地にしよう♪ と。

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美しいなあ。華やかな銀の半襟も参考にしよう♪ 
でも、青磁色は確かに好きだけど、私は紫とかボルドーを選ぶと思うんだ、色無地。
さて、一応実家に探しに行くか、反物を見るか、呉服屋に当たるか。

そうそう、着物を検索すると、Usedやリサイクルの通販が多く目に入る。
身近に相談しやすい『たんす屋さん』があるので、通販で着物を購入することは少ないのだが、
(良品が多いといわれる『壱の蔵』だって、着物購入はギャンブルだと思う。あ、ジュサブローの耳長兎の小紋、一瞬で売れたみたいだ)
悪徳な通販業者と同じくらい、Usedの着物に熱い思いを書き綴っているお店もあり、
見始めるとついつい楽しんで、読みふけってしまうのだ。

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  昭和50年代、手描きバラの絽訪問着、
  2013年、当店で洗い張り・仕立て直しをいたしました。


  手描き手差しで描かれた斬新で強いタッチは、
  個性の豊かな女性が、
華やかで自己主張のできる
  シチュエーションで着用していただきたいものです。

  この着物が生まれた時代は、着物の中に
  このような華を生み出していた時代だったのです。 
                 (リサイクル着物 『衣の詩』)


昭和50年代なら生まれていたはすだが、どんな時代だったんだろうね。
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もっと遡ると、絹や蚕糸の品種改良は江戸時代から行なわれていて、
蚕糸・昆虫研究所(現在の農業生物資源研究所)では、
江戸時代の繭や、カラー蚕を展示していた。
新人研修で見学に行ったとき、ウェディングドレスなども展示されていて、
当時花形だった半導体研究をしていたはずなのに、
ちょっと絹の研究の人たちがうらやましくなった。(←当時は独身)

今でこそ薬品開発に蚕を利用(体内で薬品生成可能、移動距離が短い)
しているし、遺伝子研究にも使われているが、
一時期はあまり先のない研究機関で、寂れてたんだよね。
あの雰囲気、好きだったけど。

そうそう、遺伝子操作がしやすいからって、
リンゴ食べる奴とか色つきの奴とか、光る奴とかいろいろ作られているが、
蛍光発色シルクなんて着たら、古代に行ったら卑弥呼になれるぞ。



富岡の製糸工場世界遺産になって、絹の研究もこれまでより人目に触れることが多くなっていると思う。

ぶっちゃけて言ってしまうと、絹糸も蜘蛛の糸もフィブロインっていう長~いタンパク質で、
空気分子や単分子は通すが、水分子は通さない、便利な多孔質構造だ。
体内に入れたときに馴染みやすく、その回りに細胞再生がされやすい。手術用の糸になる。
だから研究されていた。別に国費を使ってカラー絹糸を作ろうとしていたわけではない。
そもそも蚕が出した状態ではニカワ質(セリシン?)がくっついていて(←だからペタペタして繭になる)、
私が見学に行ったころには、品種改良や簡単な操作で色を乗せられるのはこっちだった。
だから、生糸にして膠質を取り除いてしまうと、色も抜けちゃう……と、聞いていた。

でも、その後研究が進んだのだな、たぶん。 
産業連携や企業連携が盛んになって、企業研究自体驚く進んで、新しい絹糸ができるようになったのだろう。
フォローしていなかったが、楽しいものである。


うん。日本の文化はさ、古典であって、でも、最先端でもあるんじゃないかな。
いつか富岡の製糸場を見に行こう。