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寒い日の読書録『月の上の観覧車』

キンドルでなく紙の本を読むのは、ブックカバーが好きだからなのではないか、とさえ思う。
これはどこかで購入してきた、襖表で作られたブックカバー。手触り、いいです。

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爪を仕事で切りそろえたので、肌に近いライトオレンジにラメのコートを上乗せ。目立たない……
 まあ、寒い日のダウンコートには、垢抜けない指先コーディネートか。(ダウン好きの人、ごめん


さて、読書録。
新潮文庫 荻原 浩 『月の上の観覧車』 読了。

本来は、日常のちょっと不思議で素敵な話、という彼の描く分野はそれほど好きではないのだが、
押入れのちよ』 を気に入ったので、何年かぶりにこちらも手にとってみた。

文章が読みやすくて、ツルツル読める、表現が的確できれい。
その辺は良いとして、女性が主人公のときのなんともいえない違和感というか、作り物っぽさが残念だ。
うまくいえないが、外から見た女心と、そのモノローグみたいな、強烈な違和感があった。
好きな女性作家は少ないし、それほど読みもしないのだが、
登場人物の好き嫌いや、自分の考え方との乖離は別にして、「こんな奴いねぇよ」 と思うのは少ない。
読んでいて、この主人公、女の子だったの? というのもあった。

        ……ブログの文面から、頻繁におっさんだと誤解される私が言うのもなんだが

短編集なので、ワンポイント感想。

トンネル鏡』 冒頭の自分の姿にはっとする、などは良かったのだが、全体として詰まらん。
      田舎や郷愁など、日本独特のこの世界観に縁がないからかもしれない。
      ただ、お母さんとのやり取りが、どこかコミカルで面白い。
『レシピ』 は、そういうわけで主人公の女の作り物っぽいモノローグが気持ち悪い。
『上海魔術師』 は、比較的好きかな。
『金魚』 も、どろどろした欝ではなくて、適度に冷めている感じがいいかな。
『チョコチップミントをダブルで』 唯一世界観がぴんときたかも。 と思うのは、美大や芸術に進もうとして、
      暮らしが思うようにいかず苦悩している知り合いを見てきたからか。
      「巻き戻すべき時計の針はひとつではなく、数え切れないほど存在するだろうから」 これ、秀逸。
『ゴミ屋敷モノクローム』 わかるけど……こんないい話はあまりないかと。 
『胡瓜の馬』  精霊馬は、いろいろ雑念が入っちゃうんだよな、芸術的なのを見すぎて。      
『月の上の観覧車』 ―――読んでいるときに乗換えが多くて、ぴんとこなかった。 
      表題作だし、評判が良いみたいなので、あとでちゃんと読み直す予定。


全体的に、中年以降、初老にかかる人だったら、「そうそうそう」、と思うのかな、と推測するが。
10年くらいたって読み直したら、もっと面白いのかもしれない。