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読書録 『ソウ ―SAW』

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さて、セイント星矢の脳内BGMとともに私が読んでいた本は、
 『ソウ―SAW 』 角川ホラー文庫  行川 渉(ノベライズ)

中途半端に見てしまった映画や、予告編だけ見て見そびれた映画のノベライズ作品を
時々買ったりするが、これは映画を先に見たかったなあ。

単なるスプラッタ系グロ映画ではなく、そこかしこに犯人の悪意が満載されていて、なかなか面白い。
ストーリー展開が綿密に計算されているのか、読み弛みさせない。
小道具の動きや布石が、畳みかけては種明かしを繰り返すロンド型の展開に隠されていて、
いったん使わなかったネタが浮上したりするから、一文一文が読み飛ばせない。

もうこれはね、ひとえに映画の原作がいいのだと思うのですよ。
最後の何重ものどんでん返しとか。
映画の方は 『CUBE』 や 『セブン』 に似ているとか言われたけど、
どう考えてもこちらの方が“面白いはず”。


そう、ストレートに“面白い”、と書かないのはなぜか?

ノベライズの作者があまり良いとは思えないからだ。

映画で視点が変わるのと同様に、章ごとに主格となる一人称が変わるのだが、
医者とチンピラカメラマンのハズなのに、章タイトルの人名を見ないと何者の言葉かわからないくらいだ。
引っかかるほどの文法ミスはないし (←先日の山田某と比較しても仕方ないがww)、
淡々と書くのが悪いわけではないのだが、書いているだけになってしまっては面白みがない。
感情を入れないことで、シーンの凄まじさが増長される場合もあるが、この場合それもない。

(ノベライズと翻訳は違うが) 主人公の性格でも、事件の深刻さでもない、
執筆者の作る文章の善意悪意だってあっていいと思う。
ダジャレSFのブラウンあたりはともかく、ストーリーが面白いものでも、
SFっぽい文章に訳すか、社会問題風に訳すかなど、文章作りのパワーを発揮する部分はあると思うのだ。

特に、日本語は言葉遣い、言葉選びだけでも、性別や性格を表現できるから、
“Who are you?” を 「どなた?」 とするか 「だれ?」 とするか 「テメエ、何もんだ?」 とするかで
全然変わってくる。
性別と年齢が決まっていたとしても、躓いて転びそうになって助けてくれた人に、
 「だれ?」 と聞く女と 「どなた?」 と聞く女では、後者の方が、天然でボケ~っとした感触になる。
このノベライズにはそういう小細工がないため、目に見えるシーンの上っ面を説明するだけになってしまった。

と、いうわけで、文章的にはいただけませんでした★

  トップ写真は球体間接人形を作る方のページから、いただいてきました。