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読書録 『ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル』 & 『………赤の………』

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今日は大学で講義でした。大学の傍のアジサイが綺麗。

学部学生については180人体制にしばらく慣れていたので、50人くらいだと気楽なような(苦笑)
大学院生相手の講義だと、数人いるだけでもプレッシャーを感じるんですけどね。


さて、通勤の傍らで、

今野敏 『ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル』講談社文庫 読了
  & 今野敏 『ST警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル』講談社文庫 読了


しろねこさんの所で、『隠蔽捜査』を紹介していただき、
一気にこの作家のファンになって買いあさったりしたのだが、
STシリーズに関しては、実のところどうかなあ...。とは思っていたのだ。

それぞれの名前の中に色の1文字が入り、赤、黄、緑、黒、青となっていて、
まるで戦隊ヒーローもののような科学捜査の専門家集団、ST(Scientific Task Force)。
この個性的なメンバーをまとめていくのが、まだ若い警視庁のキャリア警部、百合根。

それぞれのメンバーは、医学、心理学、薬学などの専門知識の他に、
特殊な聴覚を持っていたり、嗅覚を持っていたりする。

       ………マンガじゃん..... orz

と、思っていた。読むまでは。


いや、確かに、設定はそのままだし、こんなに都合よく集まるもんか。という気はしないでもないのだが、
話としては、非常によくできていたように思う。
設定の馬鹿馬鹿しさを、カバーしてありあまる面白さがあったと思う。



実はシリーズもの一作目ではないことが、あとがきを読んでからわかったのだが、

まず、私が初めに読んだのが、『青』
気まぐれだが、プロファイリングと文書鑑定の達人である超美青年の青山が活躍する話。
謎ときのメインになるのが、心霊現象の解明みたいになってくる。
難を言えば、すべての心霊現象を、電磁波に押し付けるのは無理があるだろう。
ただ、小説の中でもそのエクスキューズ的発言はあるし、何一つ心霊現象に押し付けてはいない。
人の感情の動きも、突飛ではない。
良くできてるなあ....と思って、読み終わる前に、次の作品である 『赤』 を購入した。


で、『赤』 はついさっき読了。
インフルエンザがもとで、アレルギー性の薬害にあい、大学病院に搬送された男が急死。
医療ミスを訴えたものの民事裁判で敗れた遺族が刑事告訴をしたため、STが捜査を開始する。
問題の大学病院で研修医をしていた赤城が活躍する。

医療問題をテーマにした推理小説は、実は好きではない。
医者が書いているものだと、ゴタクがうるさすぎることが多いし、
そうでない場合は、おいおいおい、という現実との微妙なズレが鼻につく。

これもイマイチかな~、 と、あまり期待しないで読んだのだが、思いの他 Goodでした。

大学病院の問題、救急医療の問題をからめ、
その一方で、自らが思い描く理想と現実とのギャップに悩む3者がでてくる。
一人は正義感を持ったつもりで犯罪者になり、
一人は理想どおりでない現実をひねくれて受け止めて僻み、
残る一人である赤城は、心の中に正義を秘めたまま、STの一人となっている。

理想と、現実のギャップにどう立ち向かうかというのは、
今野敏のテーマなのかもしれない。

  例えば、隠蔽捜査の竜崎は、自分の理想どおりに行動する。
  彼には理想から自分がはずれるという悩みはない。
  竜崎は今野敏が理想とする形の一つなのかな、と、思った。


なお、このシリーズの主人公 (小説記述上の主格) は官僚の百合根となっている。
加えて、緑というグラマーな女性がいるので、頭の中は 『現在官僚系 もふ』 の絵で進行していました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E5%AE%98%E5%83%9A%E7%B3%BB_%E3%82%82%E3%81%B5

ついでに言うと、5色の戦隊もので一番先に思い浮かぶのは、たこやきマントマンだったりします。


そういうわけで、双方ともお勧めです。