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読書録 STシリーズ 『黄』 『緑』 及び 『毒物殺人』

特に忙しくもないのに体調不良。 暑いからかなあ......

金曜日に研究所を休んで病院に行ったものの、それほど画期的に回復はせず、
                (ロキソニンは相変わらず、あまり効かない)
それでも今日は外せない会議があって、この暑い中、出ていったのに
会議室の様子がぜんぜん違うので、受付に聞いたら、

       「その会議なら、明日の予約になってますが?」

                    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・死ぬ。

気を取り直して、今野敏のSTシリーズ、一気に読了。
            これは、拾わせていた画像ですが…… 色収差のないレンズのようでww

イメージ 1

 
『ST警視庁科学特捜班 毒物殺人』 講談社文庫
『ST警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル』 講談社文庫
『ST警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル』 講談社文庫
いっぱい読んだような気がするが、各1時間ちょっとなので、読書時間としては大したことはない。
読書時間は短いものの、お話自体は非常に面白い。
バリバリのエンターテイメントであり、楽しむことが基本だ。

シリーズ全部を通じて、STのキャップでキャリアの百合根が語り手役なのだが、
この人のカラーが (よく見れば 「白」 でなく 「百」 なのだw) 白であることも、妙に心地いい。
つまり、強い毒がないっていう意味で、このシリーズをうまくまとめているように思うのだ。


さて、まず 『毒物殺人』

美形の心理学者、青山君と、お坊さんの山吹さん、お医者の赤城さんがメインの事件。
実際にはシリーズ2作目に当たるそうだが、
第一作目はキャラクターの説明にしかなっていないと不評なので、ここから買った。

事件の多少薄っぺらいが、話の流れには無理がない。
STのお守係 (?) で、他の刑事たちへの通訳 (?) の菊川が、今回ちょっとかっこよかった。
でも、フグ毒とゾンビがキーワードで、新興宗教って、すぐに謎解きできちゃう人も大勢いると思うのだが (^^;

残念なのは、魅力的なSTに比べて、主人公の女子アナが軽薄で魅力がなかったのと、
彼女が舞い上がってる自己啓発セミナーの創始者もぜんぜんピンとこないこと.... orz

  #女子アナではないが、『町長選挙』 内同録の 『カリスマ稼業』 に出てきた女優の方が、
  #短編でありながら、はるかにリアルで、魅力的なのはなぜだろう? 

これを単体で読んだら、次の作品は読まなかったかもなあ、という、私的には残念な作品。


   山吹さんの名言 「イエズス・キリストは死んでから復活しました。ありゃ、ゾンビです」 




次、『黄の調査ファイル』

STの中で、わたしの一番のお気に入りである山吹さん担当の事件。
  #いや、赤城さんは普通に、そこそこの距離はあるのもの友達になりそうで、
  #青山君は見てみたいような気がする程度で、
  #翠さん、黒崎さんは、今だアンノウン、
  #百合根さんは、近くにいたら、少し意地悪して楽しんでしまうかもしれない。 
  #山吹さんが、一番興味ありますね~。 たまに発するセリフが魅力的。

読む順番が悪かったかもしれない。 新興宗教もどきが絡む、毒物殺人と似たような設定。
ただ、こちらの方がはるかに面白い。
練炭自殺をしたと思われる、4人の若者。 
彼らは同じ新興宗教に入信していて、もともと自殺願望があった。
新興宗教の教祖と、そこから独立しようとしていた古顔の教団幹部、やはり古くからの信者である美人幹部。
死亡した4人と一緒に行動していた、もう一人の若者。 
毒物殺人の方は、初めから、こいつが犯人で、こういう理由だろうなあ、というのがミエミエなのだが、
黄の事件ファイルは ……… 関係者全員が怪しい (笑)

謎解きをする時点で、山吹の口から、誰にもさしたる悪意がなくて、とまとめられるとおり、
ある意味、悲劇なお話ではある。

百合根と容疑者の少年が、山吹の実家で座禅を組むシーンがあるのだが、臨場感があって面白かった。
百合根の自覚していない明晰さと素直さが、寺のりんとした静けさとよくあっていて、
音も、空気も、気温さえ見事に伝わってくる。
この人が語り手なのは、やっぱりこのシリーズの成功、というか著者のうまさだよなあ。

今野敏の宗教感がポーンと出てきていて、普段はそういう著者の主張は “ウザい” のだが、
うまくストーリーに埋まっていて、悪くなかったと思う。
というわけで、名ゼリフ、迷ゼリフの山でした。



さて、『緑の調査ファイル』

どうでもいいが、文庫の帯が、ちゃんと調査ファイルの色とあっていて、憎いな、と思うw

特殊聴覚を持った翠が活躍する事件。
事件自体は、有名ヴァイオリニストが日本に持ってきたストラディバリウスが盗難にあい、
その調査をしている最中に、今度は殺人事件が起こる。、
翠と同じ聴覚を持った指揮者と、ヴァイオリニスト、彼女の婚約者、
それから彼女や指揮者のかつての指導者だったコンサートマスターが出てくるのだが、
人数が多い割に、事件のからくりは容易に推測できる。
青山君の指摘を受けるまでもない。
 
  #百合根や菊川、居並ぶ盗難係の刑事たちが、誰も気づかないのが、
  #少々不満だったが……
  #推理小説で感じることだが、名探偵を名探偵らしく見せるために、
  #まわりを無理やり愚かにするのは、小説として何の得にもならないと思う。

今野敏は、音楽に造詣の深い人だったのか。
クラシックは好きなので、ラスト付近のコンサート風景が、少々、余計だと思ったのだが、
確かに、コンサートの音の洪水は伝わってくる。
テレビドラマにして、音をつけてあげればいいのに…… なんてことを考えてしまった。

翠さんの名ゼリフ、同じ特殊聴覚を持った男性を追わないのか、という菊川に、
 「人を変わった動物みたいに言わないでよ。
           朱鷺じゃないんだから、つがいにして増やそうったってダメよ」




このシリーズ、絶対面白いよ~ と、電話をかけて他人に勧めるほどではないが、
シリーズ全部、気軽に楽しめるので、
通勤などで、読書をする時間の時間がたくさんある人は、一冊手に取ってみるのはいかかだろうか。

STシリーズはもうちょっと残っている。
私には楽しみをとっておく習性はないので、さっさと探し回ろうと思う。



   でも...... 今、ジョナサン = キャロルも持ってるんだよね......