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読書録 『からくり糸車』

笠岡治次 『からくり糸車 百姓侍人情剣』 (廣済堂文庫)  読了

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京成小銭文庫....って勝手に名付けてしまおうかな。
京成線のキオスクには、普段書店を探してもなかなかない廣済堂文庫の本が
良く置いてあります。

  昔、オムニバス形式の短編集 (作者はバラバラ) のなかで、
  現代ものに一つだけ紛れ込んだ、瓦版屋の一団が主人公の時代ものを読んだ。
  私は、江戸時代の町人をネタにした小説が好きで、
   (時代小説というと、いつも違うものをイメージされるので、あえてこう書いている。
    木版画人形浄瑠璃から入っているので、時代ものと言っても、かなり限定されるのだ)
  瓦版屋たちが探偵となって、事件を解決するその話は、思い切りツボにハマっていたので、
  この人の小説を、何とはなく探していたのです。

  作者を覚えていなくて、しかも、元の短編集すらもタイトルを失念しているので、
  どうしようもないと言えばどうしようもないのだが、この人かなあ、と、購入してみた。

百姓仕事が嫌になり、江戸へ出て香具師の見習い、検客の内弟子
北町の定町廻り同心の養嗣子となって、その職を継いだ神岡茂平が主人公。
『からくり糸車』 は、既にシリーズの7作目なので、彼の周りの人物たちも定着している感じだ。

一つ一つの話は、大したことはない。
武士としては型破りで、一本気、善人の茂平が、その仲間と一緒に事件を解決していく。
(この本に関して言えば) 深い謎はないし、切なさもそれほどない。
痛快さや、派手なシーンがあるわけでもない。

ただ、何というか、楽しかった。
特に、銀次郎という、茂平と仲の悪い同心が、彼の足を引っ張ろうと躍起になる話が楽しかった。
キャラクターそれぞれの人格が完ぺきではなくて、
それでも、どうにかうまくやっているんだよ、という、
…………やっぱり庶民の話なのかな。

こんな時代劇があってもいいかな、と思いました。

     瓦版屋の話を読んだ時ほどのインパクトはありませんでしたが……

なお、冒頭の写真は、十手のお店のHPからいただきました。
              http://kaumart.com/s/20202/