過去の読書録 『夢見る宝石』 & 『人間以上』
前記事にいただいたコメントにリプライしていて思い出した。
シオドア=スタージョンの 『夢見る宝石』 と 『人間以上』。
『夢見る宝石』 は高校生の時に、『人間以上』 は大学に入ってから、友人に勧められて読んだ。
シオドア=スタージョンの 『夢見る宝石』 と 『人間以上』。
『夢見る宝石』 は高校生の時に、『人間以上』 は大学に入ってから、友人に勧められて読んだ。
世の中の仕組みや、割り切れなさがわかりはじめた若者は、
1.これではいけない、と、世直しの決心をしたり、
自分はそれに染まらないでいようと頑張るタイプ。
自分はそれに染まらないでいようと頑張るタイプ。
2.世の中は所詮こんなものなのさ、面白おかしく生きりゃいいんだから、
俺のことは放っておいてくれ、と拗ねるタイプ。
俺のことは放っておいてくれ、と拗ねるタイプ。
(何も感じない人も時にはいるとは思うが)たいていは両方を行ったり来たりして、
どっちかに振り分けられていく人が多いのではないかとと思う。
どっちかに振り分けられていく人が多いのではないかとと思う。
私は2だったので、美しいだけの芸術や、世紀末文学に傾倒した。
スタージョンは、ちょうどその頃に読んだ本だ。
当時の印象だから、今読むとまた違うのだろうが、鮮烈なイメージを伴ったまま記憶しているので、
読み直すのは怖いような気もする。
そもそも、アマゾンのレビューを読んで、確かに小説のどの部分へのレビューか思い当るのだが、
そんなに難解な本だったろうか、とか、こんな内容だったろうか、と首を捻っている。
極端な誤解のもとに読み進んだのかもしれない。
その上で、勝手な感想を書かせていただくことにする。 (← まあ、いつものことかもしれないが)
先に読んだ 『夢見る宝石』...........
夢見る宝石: http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A2%E3%81%BF%E3%82%8B%E5%AE%9D%E7%9F%B3-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%89%E3%82%A2-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3/dp/4150115486/ref=pd_cp_b_0
夢見る宝石: http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A2%E3%81%BF%E3%82%8B%E5%AE%9D%E7%9F%B3-%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%82%AB%E3%83%AF%E6%96%87%E5%BA%ABSF-%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%89%E3%82%A2-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3/dp/4150115486/ref=pd_cp_b_0
とにかく、美しいイメージとグロテスクなイメージが交互に押し寄せて、
(深読みはしなかったので) オスカー=ワイルドの唯美主義を絵に描いたような作品だなあ、と思ってた。
水晶は夢を見ているというより、まどろんでいる感じで、はっと目を覚まされたら裏切られてしまうような
そんな危うさも感じた。
人間であること、人間でないこと、人間のようなもの、人間の定義を揺り動かされるという意味では、
『電気羊』 にも通じる何かがあったのではないかと思う。
(深読みはしなかったので) オスカー=ワイルドの唯美主義を絵に描いたような作品だなあ、と思ってた。
水晶は夢を見ているというより、まどろんでいる感じで、はっと目を覚まされたら裏切られてしまうような
そんな危うさも感じた。
人間であること、人間でないこと、人間のようなもの、人間の定義を揺り動かされるという意味では、
『電気羊』 にも通じる何かがあったのではないかと思う。
非常に難解な小説だと言われていて、そういうわけでレビューも解説もそれぞれに違う (苦笑)。
アマゾンのレビューがバラバラなので、違うものにリンクしておく。
人間以上: http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/00885210.html
アマゾンのレビューがバラバラなので、違うものにリンクしておく。
人間以上: http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/00885210.html
集合体としてはじめて形をなす生命体の一員が
それぞれ個別に悩んでいたらこんな風になるだろうな、と思う様な主人公たち。
多くの平均的な人々や、世間に入り込めない人々、あるいは単に世間に入り込めないと思っている人間への
多大なメッセージを含んでいる小説だったと思う。
集合体として意識を持つ生命、と言うだけなら、SF小説の設定としてはさほど珍しいものでもなく、
フレドリック=ブラウンの赤と黒の蟻さんたちや、銀河ヒッチハイクのネズミさんとか、
鉄腕バーディ (これは小説ではなく漫画) のフォルテ捜査官とか、即座にあれこれと思い浮かんだりする。
だから、上記のメッセージ性と、描かれている世界のグロテスクさ、美しさがなければ
それほど印象に残る小説でもないのではないのかもしれない。
それぞれ個別に悩んでいたらこんな風になるだろうな、と思う様な主人公たち。
多くの平均的な人々や、世間に入り込めない人々、あるいは単に世間に入り込めないと思っている人間への
多大なメッセージを含んでいる小説だったと思う。
集合体として意識を持つ生命、と言うだけなら、SF小説の設定としてはさほど珍しいものでもなく、
フレドリック=ブラウンの赤と黒の蟻さんたちや、銀河ヒッチハイクのネズミさんとか、
鉄腕バーディ (これは小説ではなく漫画) のフォルテ捜査官とか、即座にあれこれと思い浮かんだりする。
だから、上記のメッセージ性と、描かれている世界のグロテスクさ、美しさがなければ
それほど印象に残る小説でもないのではないのかもしれない。
私の頭の中には、1シーンが映像化されて残っている。
雨の中、路肩の泥にスタックしたまま、朽ちているトラックが一台。
トラックには、人類初の反重力装置が組み込まれているのだが、そんなことは誰も知らない。
誰にも知られないまま、錆びて、朽ちていく。
その反重力装置は、超能力 (or素晴らしい科学知識) を持つ幼児が、
足の弱くなったお爺さんのために、作り上げたものなのだ。
誰にも知られないまま、錆びて、朽ちていく。
その反重力装置は、超能力 (or素晴らしい科学知識) を持つ幼児が、
足の弱くなったお爺さんのために、作り上げたものなのだ。
でも、お爺さんがいなくなったら、反重力装置もいらない。
トラックもいらない。
だから、雨の中、トラックは朽ちていく。
トラックもいらない。
だから、雨の中、トラックは朽ちていく。
価値あるものが、その価値を認められず、無駄に消えていくのは、十分に退廃的、世紀末的で美しい。
だが、その美しさの根底に、人外の者が抱く、自分を守ってくれた人への、柔らかな感謝の心がある。
ずいぶん昔に読んだ本だし、記憶だけで書いているので、
小説の本文とは多少違ってしまっているかもしれないが。
そんなわけで、この小説は 退廃的だけど、暖か..... という、他にないジャンルの本として、
私の記憶に深く残っているのだ。
だが、その美しさの根底に、人外の者が抱く、自分を守ってくれた人への、柔らかな感謝の心がある。
ずいぶん昔に読んだ本だし、記憶だけで書いているので、
小説の本文とは多少違ってしまっているかもしれないが。
そんなわけで、この小説は 退廃的だけど、暖か..... という、他にないジャンルの本として、
私の記憶に深く残っているのだ。
冒頭の写真は季節も内容も関係なく、雨をキーワードにググったときに、
一番美しかった写真を素材にさせていただきました。 ありがとうございます。
http://haira.halfmoon.jp/photo/plant/hana-akihuyu/