ブログ引越し検討中 (仮住まい)

yahooブログからの引越しを検討中です。現在テスト使用中。

真実の探求 昔の読書録 『星を継ぐもの』

  
読書録といいながら、書評はホンのおまけである。
あまりにも有名なホーガンの名作SF 『星を継ぐもの』 を読んだのは、20年以上前のことである。
自分の感動を書いてもいいのだが、いろいろ面白いので、アマゾンのレビューをリンクしておく。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/448866301X/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

私としてもメインの感想は、アマゾンに書かれている多くの人たちと同じだったかもしれない。
だが、20年前から実験系の理学部に進む運命だった私は(←大げさw)、
メインストーリーとは別の部分に感動した。

   月面で、高性能な宇宙服をまとった5万年前の人間の遺体が発見される。
   身体の構造からDNA組成にいたるまで、人類と全く同じ。
   5万年前に高度な科学文明が栄えていて、人類は月まで到達していたとでもいうのだろうか?
 
   なぞを解明するべく乗り出す科学者として、
   原子物理学者のヴィクター=ハントと、生物学者のダンチェッカーという二人が出てくる。
   お互いが根拠とする事実と、その結果導き出される真実が真っ向から対立し、一歩も引かない。
   時には相手の人格攻撃まで行うが、真実を導き出したいという心意気だけは双方が同じである。
   そして、お互いが引かずに追求し続けたことによって、
   『その双方が根拠としていた事実を、すべて説明できるような、真の真実』 にたどり着くのだ。

今、研究者として仕事をしていると、ほかの研究者がほかの実験手法で導き出した結論と、
自分の実験手法で導いた結論が対立することなど日常茶飯事だ。
なんとなく、こういうエラーが出るんだよね、という論文に書けない傍証みたいなものを、
ほかの研究グループと共有している場合もある。

対立する説を主張する相手が大御所だからといって、納得しないまま引いてはいけない、と思う。
自分の説を主張するために、都合の悪いデータを握りつぶしては、決していけない、とも思う。
それは、どこかにある真実から、遠ざかる行為だ。

  まして、自分の主義主張のために、科学者が事実を曲げたり、嘘をついては絶対いけない。

 #話は少しずれるが、研究費を使ったあとに提出する報告書について、
 #「予測が外れた」 だの、「目標を達成しなかった」、だの書くのはいけない、
 #と、指導されていた時期がある。
 #確かに、自分の評価を上げるためには、正解なのかもしれない。
 #しかし、「それをしたら、自分の首を絞めるだろ」 と、断言した大御所がいた。
 #「○○に成功した」、と書いては、その後、本当の成功のために必要な研究費が
 #請求できなくなるだろう、というわけだ。
 #報告書ではなく、研究本来の姿と、次の予算申請のことを考えているのだ。
 #今、膨大な研究費で、非常勤職員たちを並べて実験をさせている
 #その大御所の研究体制を100%支持はしていないが、
 #研究者の当たり前の姿勢を見せてもらったようで、ちょっと感謝している。

 #関係者および職場の皆さん、誰のことと誰のことだか、深読みしないように (笑)

イメージ 1
ラザフォードのバックスキャッターの逸話が好きだ。
 (図は、ラザフォード散乱のwikiから借りてます)
昔、原子は上の図のように、正電荷負電荷
一様に散らばる雲のようなものだと考えられていた。
スカスカで、何でも通り抜けられるだろう、と。
確かに、アルファー粒子は、原子を通り抜けた。
 
しかし、ラザフォードと弟子たちは
そこに打ち込んだアルファー粒子のごくごく一部が
その雲を透過できず、
雲の中で何か硬いものに当たって
手元に跳ね返ってくることを確認。
   
数にして、8000個のうちの、たった一個。 
   
そこから彼らは、実は原子の構造は
負電荷の雲の中に、正電荷原子核という塊がある
下の図のような構造になっていると推論する。
   
  
今となっては当たり前のように知られている、
原子核と電子雲の話だ。
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%B6%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E6%95%A3%E4%B9%B1
  
私は、8000分の一の確率で現れるデータを、エラーとして処理しないでいられるかな。 
と、データ処理をするときの自戒にさせてもらっている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、どこが読書録 (笑)