読書録 『死神の精度』
文春文庫 『死神の精度』 伊坂幸太郎 読了
以前読んだ 『フィッシュストーリー』 が (評判のいい作家の割には) それほど気に入らなかったので、
特に彼の作品を探したりはしていなかったのですが、
こっちは素直に面白かったです。
死神の、人間臭いところと、人間ではない感性とのギャップが、ちょうど良かった。
冷たいのではなく、非情なのでもなく、他人の心を推し量る想像力がないわけでもなく、
ただあるがままに、死神な気がします。
死神、という名前を使っているものの、人の言葉を使う別の生物、のイメージ、と言えばいいんでしょうか?
お話がループになっているというか、最終話で第一話との関連があって、
これをやるのはこの作者の特徴なのかなあ。
フィッシュストーリーでも多用されてましたが......
悪くはないけど、笑いをとるのを目指したような表現同様、不要だった気もします。
小説読みにとっては、あまりにもありふれたテクニックに見えてしまうのと、必然性があまりないから。
でも、相変わらず、表現がカッコ良かったです。
万人ウケする作者だと思います、実際にそのようになっているようだけど。
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