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昔の読書録 『青い虚空』  & ネットの“困ったチャン”達

思いだしたが吉日。 
・・・・・・・じゃなかった、最愛の書なのに、読書録書いてませんでした。 
          講義資料づくりの現実逃避なのかも知らんけど、 急に書きたくなりました。
 
ジェフリー=ディーバー 『青い虚空』 文春文庫      
                       読んだのはいつだっけ?  
 
   <あらすじ>
       護身術のHPを主宰するシリコン・ヴァレーの有名女性が惨殺死体で発見された。
       警察は周辺捜査からハッカーの犯行と断定。コンピュータ犯罪課のアンダーソン刑事は
       容疑者特定のため服役中の天才ハッカージレットに協力を要請する。
       ゲーム感覚で難攻不落の対象のみを狙う連続殺人犯は何者か?
       息詰まるハッカー同士の一騎打ち。
 
まあ、こういうⅠT 系、しかも最新テクニックを書きこんだような作品は、
世の中側の進歩とともに、陳腐化しちゃうのも早いとは思うのだが、
読んだタイミングが実時代だったので、ひたすら楽しむことが出来た。 
この本が世に出た頃、PCオタクの方々は、小説中のPCの動作におかしい部分があるとかないとか、
かなりホットに議論されていたが、それはそれで、この小説を愛している証しだったのではないかと思う。
 
読んでからずいぶんたっているので、もしかしたら記憶に誤りがあるかもしれないが。
 
  理科系学部の人間なら20年も前から、最近であればどんな人たちも、
  バーチャルなネット遊びやボードでのやり取りに親しみ、
  趣味のサイトやチャットで当たり前のようにネットを楽しんで、
  その結果、顔を合わせずに始まる人間関係も、山とあるのではないだろうか。
  相手が、実際の性別や年齢、職業などを書いているとは限らないし、
  そのすべてを伏せたままで、考えていることなどを良く話すようになる人もいる。
  面白い人、面白くない人、感じのいい人、不愉快な人、さまざまである。
  下心満載でチャット相手と会おうとする人もいるし、
  こいつ、ちょっとヤバいんじゃないか、と思うような病的な発言を繰り返す人もいる。
  そう言うのを全部ひっくるめて、バーチャルな人間関係について私は、
 
       (お見合いサイトなんかはともかくとして)
       私は会話する相手のプロフィールが、真実であろうとなかろうと構わない。 
       一方、性格や考え方、思想は、ホンモノが伝わってきてるんじゃないだろうか、と思っている。
 
作中で、元ハッカージレットは、虚構の肩書きであろうと、でたらめな経歴であろうと、
とにかくそのキャラとして、周りの人々と対等な人間関係を築くことが出来ている。
それは何かのきっかけで現実が充たされず、すさんだ生活を送っているとしても、
チャンスさえあれば、彼が正しい道に戻れると思わせるのに十分である。
偽名を使って逃亡しているリチャード・キンブル(映画 『逃亡者』)や、Dr.テンマ(漫画 『MONSTER』)が、
逃亡する先々で、親しい人を作り、暖かい交流をするのに似ている。
いっぽう、サディスティックな殺人者、フェイトの虚構は、虚構のままだ。
二人のハッカーの対比、明暗が、それはもう見事なのだ。
 
   自分が知っているネット上の知人、友人、あるいは望まずして出くわしてしまった人々を、
   それ以来、フェイト型、ジレット型と、分類しているのは内緒だ(笑)
 
なお、ハッカー(不正に覗き見をする人)とクラッカー(不正アクセスして、いたずらをしてくる人)の両方を
一般的にはハッカーって訳しているんだと思ってたんだけど(白ハッカーっていう言い方はある)
この小説では、ちゃんと言い分けられてました。
すぐに古くなっちゃうんだろうなあ、と思いながらも、ネットスラングなんかも面白かったです。
 


 
以下、少しずれるが、思い出してしまったので、笑い話的にネットで出会った困ったチャンたちの紹介を。
 
 自分の身の回りの人間は、自分をわかってくれない、自分はもっと認められるべきだといった内容の
    ゴタクを、場の雰囲気を無視して延々聞かせる方々(比較的、大勢いる)。
 
 SF小説サイトで、科学考証に対してどっちが正しいか議論していた時、
    おもむろに、「自分は東京大学卒業なのだから、私の言うことが正しい」、と言っちゃった某氏。
    おまけで、
    突っ込みどころがありすぎて、(ex SF考証に学歴はいらない、肩書きが面倒だからネットなんじゃないのか、
    自説説得の切り札が学歴というのは情けない,etc) なんて考えつつ、ダイレクトには言うことが出来ず、
    「それは、それは素晴らしいですね~。 よっ、東大!」 などと冷やかしを返してた 我々(複数)に
    「そういう学歴偏重の世の中が、間違いを生むんだ!」 と、喰ってかかってきちゃった某氏。
 
 どこぞのチャットサイトで、大検を受けて大学卒業のち大学院生の子(実は知人の研究室の学生)が
    「高校行ってないんです」 と言ったのを真に受けて (まあ、事実なんだが)、
    「お前なんか現実には口をきけない相手と喋ってるんだぞ」 とか何とかホザいた、自称お医者さん。
 
 自分は○○病なんだから気を使え! と歪んだカミングアウトをする方々。
 
 とにかく自分は素晴らしい発明をして、ベンチャーを作ったから投資しろ、って言う人もいたな。
     内容は盗まれるとやばいから絶対教えない、って、それじゃ詐欺だよ(笑)
 
まあ、職業は黙ってても、(なんとなく業界くらいは) 伝わってしまうもののようだし、
知識レベルや会話の言葉の選び方で、なんとなく、自分の会話相手かどうかもわかるものである。
その一方で、
 
 ニュース記事についてわかんないよ~ と叫んでいると、必要な情報をサクサク出してくれる謎の人とか、
 
 数学科の出身だろうと踏んでいたのに、数学は好きで自分で本読んだだけで、大学行ってないんですよ、
    という某氏と知り合ったことや
 
 自分は不登校でひきこもっている、自分は負け組だと言いながら、
    博学で、政治批判も(情報収集も含めて)驚くほど的を得ている若者がいたりして
 
自分の先入観に気付かされるとともに、
どこにでも、どう言う職業、どういう年齢にも、自分と同じ趣味を持っていたり、気があう人がいたり、
自分の周りの高学歴な方々よりも、はるかに賢い人達がいるんだなあと、気付く面も多かったりしました。
   今でこそ、学歴は 「知識人の可能性が高い、という指標」 にすぎない、とわかっているけれど、
   受験勉強の余韻が残っている頃は、私も学歴主義にスポイルされてたのよ。
   (それでも、学歴は 「優秀であることを保証しない」 のは知ってましたが)
だからこそ、ネットでは、そういう肩書を撤去して、自由に話し合うのが楽しいわけです。
まあ、英語チャットなら、語学練習 (乱れるだけか?) にもなるし。
 
忙しくなると、遊びとしてのネットからは足が遠のいてしまうけれど、
                       まあ、青い虚空 (ブルー・ノーウェア) の世界も楽しかったです。