再読書録 『犯行現場にもう一度』 『舌づけ』
一時期(15年~10年くらい前かな)、アンソロジーの短編をたくさん読んでいた。
引っ越のせいで乗り換えが多くなって、長編推理の布石を覚えるのがおっくうになったからだ。
島田荘司達一派の本格推理に飽きて、他の作家を発掘したいと思っていた理由もある。
アンソロジーというのは似たような話ばかりが続くから、
よほど好きな分野でもない限り、個々の小説としては面白さが減じられてしまったりするのだけど、
自分の好みにあう作者を探すという点においては、とても有意義だったりする。
特に、最近の、○○ネタの新作を、有名作家に書かせて一冊にする書き降ろしのアンソロジーではなくて、
編者の好みで昔の作品から面白いものを集めるタイプのアンソロジーだと、
傑作ぞろいで、思わぬ逸品に出会う事がある。
編者の好みで昔の作品から面白いものを集めるタイプのアンソロジーだと、
傑作ぞろいで、思わぬ逸品に出会う事がある。
BOOK OFFに売り払おうと思っていた文庫本の中から、
先日も、外勤の電車の中で読もうと、アンソロジーを一冊、取り出した。
歌野晶午「水難の夜」……多分新本格の分野。面白かったし、ちょうど二時間ドラマ風かな(笑)
これは読みやすかったけれど。この後、この人の気に入った作品に出会わないのが残念。
http://blogs.yahoo.co.jp/green_zebra_2008/33673501.html
最後まで解決されないほろ苦さなんかもあって、傑作でした。
中嶋博行「不法在留」……印象の強い作品ではないのだが、弁護士の主人公のキャラはなんとなく好きだ。
テレビシリーズになったら、面白いんじゃないかと思う。
テレビシリーズになったら、面白いんじゃないかと思う。
貫井徳郎「崩れる」……あいかわらずだなあ、この人、犯罪者心理の追い込み方が上手い、と、いつも思う。
(の割には、女性はステレオタイプなので、無理をして女を書く必要はないのに、とも思う)
加納朋子「ガラスの麒麟」、藤田宜永「生きた証拠」も、読了感が良かった。
夏樹静子、小池真理子、も、いずれも破綻なく面白く読めた気がする。
古い作家もこの当時新しかった作家もとりどりに入り混じり、トリックを覚えていた話もあったが、再び楽しめた。
アンソロジーはこうあるべきだよね、と思うような一冊でした。
夏樹静子、小池真理子、も、いずれも破綻なく面白く読めた気がする。
古い作家もこの当時新しかった作家もとりどりに入り混じり、トリックを覚えていた話もあったが、再び楽しめた。
アンソロジーはこうあるべきだよね、と思うような一冊でした。
作風が…・…ええと 合作してはいかがだろうか、と思うのは私だけ?
菊池秀行「舌づけ」……ええええ、そのオチですかい? 覚えてなかったので軽いめまいが
まあ、ホラーらしいホラーはこの人だけだったので、しょうがないかな。
小林泰三「影の国」……この人の作品、大抵、気にいるんですよね~
ちょっと普通とずれた展開がいいのかもしれません。トリック(?)も効いていてGood。
山田正紀「青い骨」……○○賞等華々しくとっている人ではないし、 友人の勧めで高校時代に読んだ
『神狩り』も『孔雀王』も、イマイチだったんだけど、
この作品はホラーの不思議と、謎解してサスペンスに落とす匙加減が、丁度良かったです。
この作品はホラーの不思議と、謎解してサスペンスに落とす匙加減が、丁度良かったです。
赤江爆「弄月記」……名前は知っていたけど、この人の作品を読んだのはこれだけだと思う。
冒頭の老人の口語文はとても読みにくかったけれど、
姥捨て山と月の情景がとてもきれいで(主人公の老人が画家という設定だったからかも)、
姥捨て山と月の情景がとてもきれいで(主人公の老人が画家という設定だったからかも)、
惹きこまれました。
乃南アサ「口封じ」……彼女にありがちな、ドロドロした昼ドラの様な話。
書かれたのは20年くらい前の様だが、当時はこのネタはシャレになったのかな?
子供時代に入院して、付添婦に苛められた記憶のある私としては、シャレにならなかった。
今だと、付添婦や病人介護士の団体から苦情が来るかも。
今だと、付添婦や病人介護士の団体から苦情が来るかも。