読書録 『チヨ子』
amazonのリンクは長いので、せめて(幾分URLの短い)レビューの方を。
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ミステリーとは言うものの、推理物ではなくて、少しオカルト気味の短編集。
一作ならばともかく、似たようなトーンの“解決しない話”を、何作も読み進むと、物足りない気がした。
もっともこれは小説自体の問題ではなく、刊行の仕方の問題だが。
宮部みゆきは、子供を書かせたら右に出るものがいないと思っているのだが、この小説にも
虐待されていたり、学校での問題に悩む子たちがいたりして、とにかく圧倒的な筆力で読まされてしまった。
表題作 『チヨ子』 の、ひとがぬいぐるみに見えるという、漫画的だけれど毒のない不思議さ加減や、
『いしまくら』 の、オカルトとは言い切れないような読者との距離感がいいな、と思った。
ただ、『聖痕』 は、正当防衛とも思えるくらいの母親殺しの少年の更生が、あまりにも気の毒だったので、
ホラーやオカルトに逃げずに、解決してほしかった。
多くの人が感じているあろう諦めと矛盾を、宮部は登場人物たちに語らせている。
例えば、
-自分たちが (犯罪者に無作為に選ばれる) 被害者になる恐怖から逃れるために、
被害にあった人が特別な人間だと思いたがってしまうことや、
-被害者がいるにもかかわらず、そんなことはあってはならない、と考える人々が、
結果的に事件を隠蔽してしまう、加害者を守ってしまうこと、
-家庭内暴力事件で、どちらに肩入れしても、実際に調べるとひっくり返ることもあるということ。
書き込んでしまったら心苦しいようなテーマが、ここでは深入りせずに書かれている。
物足りないような、いやここまでだから読めるのか、と思うような、中途半端な読了感ではある。
書き込んでないから物足りない、解決してないから物足りない、そう言いつつも、
しかも短編集で超常現象を扱った作品群なのに、……・重かったです。
(でも、1時間ちょっとで読めちゃいました………)
毎日、暑いですね、そろそろ花火の季節かなあ。
祭日の月曜日、我が家もですが、近所でも花火をしているお宅が多かったです。