読書録 『白銀ジャック』
めちゃくちゃ忙しい日だったので、本当は帰宅途中の電車の中も仕事をしたかったものの、
中途半端に混んでいて座れなかったので、文庫本と相成りました。
ゲレンデの雪の下に爆発物を隠したという連絡を受け、身代金（？）を要求される、ゲレンデスタッフ達の話。
面白いことは面白かったし、サクサク読めたのですが、
難を言えば、スキー場の広さとか明るさとか、雪の冷たさとか寒さとかが、
ほとんど伝わってきませんでした。
真保の 『ホワイトアウト』 で、吹雪の寒さと怖さが一番記憶に残るのとは対照的です。
とはいえ、ラスト以外は面白くて、のめり込めます。
ラストに関しては、すべてを明確にしてしまいたい理系人間ならではの欲求が
マイナスに出てしまった感じです。
事故の犯人は分からない方が広がりと苦さが残って良かったと思うし、
悪者役たちにすべての犯人を押し付けてしまうという、無理矢理勧善懲悪な所も、無駄な気がします。
予想はしていましたが、無理にハッピーエンドに持ってくるような水戸黄門的細工も
この小説には不要なのではないかと思いました。
そのあたりが、少し残念でした。
