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読書録 『魔笛』

文庫本山崩し、の、一冊。 面白いと評判だったから購入したものの、積ん読本になっていたようです。
積んだままになってた理由もなんとなくわかる。
私の好みに合わない、と言ってしまえばそれまでなのだが、
この人の他の作品が、やっぱり高評価だったのにも関わらず、私にはイマイチだったからだ。
 
そんなことを思いつつも、読み始めたら一気に読了。
講談社文庫 野沢尚 『魔笛』  
            いや、武蔵野線が止まってたおかげなんですけどね。
 
白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ!二千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。
新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。
妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔は実行犯の照屋礼子を突きとめるが、
彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。迫真の野沢サスペンス。
                                      <amazon Bookデータベースより>
 
新興宗教、出家信者、テロ、教祖の逮捕、信者の潜伏………オウムがモデルになのは、ほぼ間違いない。
この作品では、テロの実行犯が爆弾魔で、しかも職人クラスの技術を持つ。
警察側にも、爆弾マニア(爆弾処理班の若き天才)が出てくる。
ストーリーの筋は面白いと思うし、キャラクターもそれぞれに魅力的なのだが、
なんていうのかなあ、『呼人』 の時も思ったのだが、悪い意味でジュブナイルっぽい。 
つまり、リアリティに欠ける。 極端すぎる。 変人ばかりが多すぎる。
 
理想があったり登場人物たちに青少年特有の感情の揺らぎがあったりして、それがリアルだったりするのだが、
野沢尚の作品は、ジュブナイルっぽいリアリティのなさの中で、大人が「決められた演技」をしている気がする。
いや、いっそ映画の脚本ならばいいのだと思う。 
3時間程度の映画にしては、色々詰め込み過ぎだとも思うけど、とてもとても映像向き。 
 
そういえば脚本家でもありましたね、野沢尚氏。
 
 
 
それでも、一気に最後まで読み進めるジェットコースターノベルです。
 
元公安の照屋礼子(爆弾魔)と、鳴尾(刑事)との対決、
鳴尾刑事の妻である藤子と、照屋礼子が獄中に送り込んだ信者である知場ますみとの対決、
そして真杉(爆弾処理班の天才)と照屋礼子が作った爆弾との対決、
それが同時進行で進むラスト付近は、圧巻でした。
               真杉が子どものころを回想したり、藤子が解脱(?)したりするのは余計だけど。
 
…………・74パーセントくらいお勧めです。
 
そうそう、読みながら、ビッグコミック連載中の 『S 最後の警官』 を連想していました。
特に、真杉は、ここから抜け出てきたんじゃないかと思うようなキャラクターでした。
あら(笑) HPは、思いっきりハードボイルドですが、ふんだんに笑いが盛り込まれている……
こちらは95%お勧め漫画です。