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読書録 『おこう紅絵暦』

文春文庫  『おこう紅絵暦』 高橋克彦 読了。
 
いや、ホテルの風呂読書で読み終えてたんですけどね。
江戸時代、同心の関係者で、推理が得意な女性……・という類似点から、
読んでいるうちに宮部みゆきの作品だと誤解し始めて、
その割には、作風がちょっと変わったのかな、と思って、カバーを外して作者を確認しました。
 
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時代小説は、その理不尽さや、登場人物の考え方のギャップで、
時の流れを感じさせたり、現代で良かったな、等とほっとする部分があるのだが、
宮部みゆきの小説では、その理不尽さに、登場人物たちも矛盾を感じていたり、
少なくとも作者がこれで話を納めるのは辛い、と思っている節が読み取れる、
が、高橋克彦の小説にはそれがない。
理不尽が、理不尽なまま終わる。ハッピーエンドだったとしてもそうだ。
登場人物達、小説の中の世界と、自分とのギャップが、そういう意味で大きい。 
 
そのほんのちょっとした違いが、宮部の時代小説と、高橋克彦の時代小説の違いなのかと思う。
いや、ときどき、それが性差によるものなのかな、と思う事もあるのだけど。
………双方の作家とも、好きなんですけどね。
 
さらりと感じるのは、その作風のせいかもしれないけれど、
もっと書きこんで、もっと大げさなドラマになってもいいんじゃないかな、と思う面もあったので、
物足りないような気もするけれど、そこを書きこんじゃうと、現代小説みたいになっちゃうのかな。
 
家族に恵まれず、族上がりで水商売はしているものの、根はやさしく、気風もいい美女が、
ふとしたきっかけで刑事と知り合い、やがてその頭脳の明晰さで、警察組織を助ける存在になる。
…………現代劇でも、全くおかしくない気がするのはなぜだろう
いや、逆なのか、現代劇を江戸時代に投影した?
 
 
 
『だましゑ歌麿』 という作品の続編だったらしいので、こちらも探してみたいと思います。