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昔の読書録 『火の粉』

雫井脩介の 『虚貌』 が、とても気に入って、同じ小説家の作品だったので、期待して読んだ。 
 
幻冬舎文庫  雫井脩介 『火の粉』
 
読んだ時は……とてつもなくつまらなかった…………という記憶しかないのだが、
ちゃんと最後まで読んで、しかもトリックまで覚えている所を見ると、それなりに面白かったのだろうか?
 
   インフルエンザならちゃんと寝ていなさいと突っ込まれてしまうので、
   理由を書くと、さっき、テレビドラマでやってたのですよ
   2時間ドラマっぽい、再放送で。 http://tv.yahoo.co.jp/program/66277904/
 
<番組表よりあらすじ>
 温かい家庭を夢見る雪見は俊郎と結婚して幸せをつかむ。
 しかし、隣家に武内が越して来てから、夫の祖母の変死など不吉で不可解な事件が頻発する。
 かつて武内は殺人の罪で逮捕されたが、裁判官だった夫の父によって無罪判決を得ていた。
 隣人は殺人者なのか…。
 
ここから小説の感想とドラマの感想が混ざるが、
細かい点を抜かせば、ドラマは原作通りに作ってあったと思う。
主人公が、追い詰められていく様子もそうだし、主人公の配偶者のヘタレ加減もそのままだ。
主人公が味方を増やして行って、だんだんに犯人に迫っていく所が、ワクワクすると言うと言えばワクワクする。
このあたりだけは、やっぱり 『虚貌』 の作者だな、という気がする。
 
加えて、ドラマは犯人役がこれ以上ないというくらい好演。
犯人を(狂った犯罪者だととわかっているのに)気の毒に感じてしまうのも、同じだった。
頭が良くて資産家の武内は、絶望的に家族に飢えていて、他人との距離感が掴めない。
小さなきっかけで知り合ったり、自分に親切にしてくれた人に、過剰に尽し、近付こうとする。占有しようとする。
はじめは好感を持って対応してくれる友人も、近付かれ過ぎれば不審に思い、距離をとろうとする。
武内はそれが許せない、邪魔をする人間を殺し、距離をとろうとする相手も許せなくなってしまう。
                              ………………いや、でも現実にもそういう奴って結構いるよな。
武内は幼児の様な欲求を、明晰でずるがしこい頭脳で、着々と満たしていく。
それは醜悪なんだけどさ、気持ち悪いんだけどさ、
誰かちゃんと彼に寄り添ってやればよかったのに、と、思ってしまう。
相手に気に入られようとして尽くす武内は、相手に好感を抱かせるのには充分魅力的で、
それは親が資産家だからと、弁護士浪人のくだらない男と結婚した主人公よりも、
はるかにまともな人間の気がしたからだが………
 
感想を書いていると、面白くなかったのではなくて、キャラクターが気に入らなかったって気はする